初めての“任務”は女性美容師の尾行
――出だしからいいスタートですね。続けてください。
「最初に与えられた任務は、ある女性美容師の尾行でした。あ、仕事じゃなくて任務っていうのが探偵になったんだなあって、嬉しくもあり、責任も感じましたね。
ただ、ドラマのように依頼人と会うことはなく、社長から『明日、○○という住所に住んでいる《対象者Q》の女性を尾行し、勤務先から帰宅するまでの一連の流れをLINEで報告すること。その際、動画と静止画の盗撮画像も提出すること』と指示がありました。
ターゲットの女性美容師の自宅をあらかじめ教えてもらい、彼女の玄関が見える位置に、バレないように小型カメラを設置するんです。外壁やガスメーターなどと同じ色のマスキングテープを貼って。
頑張れるのは社長のおかげ
そして、バッグの中にハンディカメラを忍ばせ、時おりスマホで彼女を撮影しながら尾行。私の洋服は目立たない黒やグレーのパンツスタイルが多いですね。
尾行がバレないよう、時々、ヘアを一つに束ねたり、マスクの色を変えたりと結構気を遣いました。
そうそう、カメラのアプリはシャッター音が鳴らない『無音アプリ』が便利です。これは自動的に日付も記されるので重宝します。
このように尾行から始まった探偵業ですが、毎日が『失敗は許されない』と緊張の連続。尾行の際は対象者を見失わないよう、常に気を張っていなければいけませんし、長時間労働のうえ、自宅の入り口に設置したカメラを取り外す作業もあったりと、とにかく一日の歩行数、待ち伏せ時間、トイレさえも行けない過酷な労働です。
何とか頑張れるのは、ひとえにA社長のおかげです。
A社長は褒め上手で『新人なのにT子さんは頑張ってるな。その調子!』とか、私が自腹で高性能のハンディカメラを購入した際は『すごい意気込みだよ。君を雇って本当に良かった』と喜んでくれるので、私はますます気合を入れて仕事に励むようになったんです」
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