男性との性交もうダメ?子宮と卵巣を失ったがんサバイバーの限界突破記
おりものは出なくなった
ちなみに先ほど潤滑ゼリーの話をしましたが、子宮頸がんの術後はおりものはまったくなくなり、いつも乾いている自覚があります。それはやはりエストロゲンの不足であり、更年期症状のひとつなのだと思います。
「でも濡れないってことはないはずなんだよね、ホルモン補充もしているし、別のところはこれまでのように感じるから大丈夫なはず」
と、主治医はたいへん貪欲に性生活を謳歌するように言ってくるのですが……こんなに痛いならもうしなくてもいい、と思っていました。
ホルモン補充で不調が治まった
ホルモン補充とは、更年期症状を緩和するために、飲み薬や貼り薬、塗り薬でホルモンを補充すること。私はジュリナ錠という薬を飲んでいますが、不妊治療にも使われる薬です。
ホルモン補充をする前はホットフラッシュに悩まされ、不眠だわ、憂鬱だわ、もうつらい、死にたいという気持ちでした。ところが、ホルモン補充を始めると「イエーイ! 元気ですー!」と驚くほど症状が治まりました(個人差はあると思います)。
先生によるとホルモン補充によって卵巣があったときのように体調がよくなり、膣の潤いも少し蘇るということなのですが……。
更年期障害で日常生活や性生活に支障が出る場合は、婦人科で相談してみるのがいいと思います。
そして私は性生活にほぼ興味をなくし、ダイレーターでのトレーニング(?)もその後2回ほどしか行わず。
実際に性交渉することになったのは、手術の2年半後。3年ぶりにできた彼とでした。
彼氏と温泉旅行、一体どうなる?
彼は仕事が忙しく、趣味ややりたいことが多いので、性的な行為にあまり興味がないタイプ。風俗店にもあまり行ったことがないそうですし、これまでお付き合いしてきた人数もとても少ないと言っていました。
そんな彼は超がつくほどシャイで奥手で、付き合うまではまったく性交渉をしていませんでした。
交際から1カ月ほどしたころ、温泉に泊まりに行くことになり、いよいよ試合か、という雰囲気になりました。
ここで問題が。
じつは私は子宮頸がんの既往歴を彼に話していなかったのです。やっぱりがんだったという事実は人によってはとても重く、付き合うのはやめておこうかなとか、普通に性交渉できないのはちょっとやだな、と思われる可能性がゼロではないと思っていたからです。
私のお腹にはへそ上まで手術の跡があり、それは今も消えていませんが、電気を消していればわからないはず……。
彼には子宮頸がんの話はせず、照明のリモコンを隠して、真っ暗でいざ試合開始!
次回に続きます。
(文=石見かぐら/ライター)
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