久々に動き出したコミュニティ。投稿者はなんと…
今さらmixi? と思われるかもしれないが、ここはもはや閑散とした公園だから逆に心地がいい。大声でわめいても苦情が来ない。
3年前にその快適さを知ってからは、ことあるごとにここに逃げ込み、あっちの公園ならすぐ炎上しそうな火の粉をまき散らしている。
書き終え、深呼吸をしてマイページを更新すると、珍しく通知がきていた。
<<『WYC東京12期生あつまれ!』のコミュニティにコメントがあります。>>
背筋にひんやりとしたものが伝う。
――私以外にまだmixiを見ている人、いるんだ…。
私は慌てて、公開していた日記を非公開に設定変更した。
「こんな人だった?」再会した友人に違和感
「おまたせしましたー」
なぜか今さらコミュニティが動き出した。コメントをした3人で同窓会をすることになった。
時間きっかりにたどり着くと、久々にコメントを書き込んだ主の麻梨乃さんが1人待っていた。
「翠、久しぶり。今日はありがとうね。私が言い出したのに、予定のすり合わせや場所の提案までしてくれて」
宴の場は、あの頃よく授業帰りに行っていた町中華だ。
コンビニやチェーン店以外で、西大井で変わらない場所と言ったらここしか思いつかなかった。適当に選んだので礼を言われるのが申し訳なかった。
「いいんですよ。忙しくて予定がすぐ埋まるから、早めに決めたかっただけです」
「忙しいって、今、何してるの?」
「ざっくりいうと、丸の内の商社で働いているんです。出張も多くて」
メンバーは私と、今は3人の子持ちという麻梨乃さん、あとは現在何をしているのか謎のすみれだ。すみれは少々遅れるという。
「大変そう。でも、そういうのが翠は合ってるよ。バリキャリってやつ?」
「麻梨乃さんも幸せそうじゃないですか。結婚して3人も子供がいて…普通に幸せを手に入れているって感じです。私にはムリだけど」
「当時から翠はテキパキとした優等生タイプだったもの。社会人として優秀だったから、なぜあんなとこに? って今も思ってる」
彼女の言葉は、へりくだっていながらもどこか上の方から聞こえた。確かに、年上ではあるものの。
――あれ?
『こんな人だったっけ?』と首をかしげる。
慎重に謙虚に言葉を返すことにする
それでも表向きには謙虚な言葉で応戦する。雪の日の坂道のような慎重さを持ちながら。
「ありがとうございます。私がWYCに入ったきっかけは、単に対人スキルを磨きたかったからなんですよ」
麻梨乃さんの疑問に、私は用意された後付けの理由を答えた。本音を言うと足元がすくわれるような気がして。
当時、どこにも就職できなかったことが理由なのに。
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