2人だけの晩酌
「浩介さんは週に2~3日は実家の夕食に来てくれるので、会えるのは嬉しいのですが、ふとした瞬間、私は彼の背中に触れそうになって…慌てて手を引っこめたことが何度もありました。
そして、食後には待ちわびたようにキッチンテーブルで2人だけの晩酌です。
2人きりなので、この時ばかりは肩を寄せ合いながら、甘い会話をしました。ホテルでの出来事を話したり、ちょっとセクシーな話題で盛りあがったり…(笑)。
ただ、離婚した妻…私にとっては小憎らしい義妹の話題も出ましたよ。浩介さんも、気の強い奥さんの尻に敷かれて大変だったようです。
――妻には尻に敷かれっぱなしだったからな…直美さんも、かなりキツイことを言われたんじゃないか?
――ええ…実は『遺産目当ての直美!』とか『子供も産めない役立たず!』と罵られてたの。
――そんなひどいことを…元夫として謝るよ。申し訳ない。
――謝らないで。あの人がいなくなったおかげで、浩介さんと結ばれたんだから、今となっては感謝しなくちゃ。
いつしか涙が…
私は精いっぱいの笑顔を作りました。
――アニキも悪いヤツじゃないんだけど、子供のころから『長男として、家と財産を守れ』って言われて育ってさ…だから金に細かいんだよ。直美さんと結婚する前に何度も見合いをしたんだけれど『金がかかりそうな女とは結婚しない』と譲らなくて。
――そうだったのね。あの人…あまり自分のことは話さないから。
――長男としてのプライドがあるんじゃないかな。僕や友人にも弱みを見せないタイプだし。僕は次男だから、わりと自由に育てられた。
――だから浩介さんは優しいのね。
――ははっ、直美さんは特別な人だから。
――ありがとう…私も浩介さんは特別な人。
――アニキには悪いけど、直美さんを思う気持ちは抑えられない。
――私も…浩介さんが好き…でも、この幸せがいつまで続くのかと思うと怖くて…。
話しながら、私はいつしか涙を流していることに気付きました。
決して許されない恋愛。義弟をこんなにも好きになってしまうなんて…同時に、夫や義理の両親も裏切っていることに申し訳なさも募る一方で…」
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