若者が『めおと日和』の“昭和な恋愛”に胸キュンするのは何故? タイパ重視じゃないもどかしさ

mirae.(みれ) ライター
更新日:2025-06-12 12:45
投稿日:2025-06-12 06:00

昭和の恋愛には「待つ時間」があった。進展の遅さが生む、ときめき

 私が若かった頃、恋愛はもっと“もどかしいもの”でした。家の電話しか連絡手段がなかったから、親の目を盗んで電話をかけたり、文通の返事を何日も待ちわびたり……。

 SNSもLINEもなかったからこそ、会えない時間がそのまま、恋しく想う時間になっていたのです。

 けれど今は、マッチングアプリで手軽に出会え、LINEひとつで即座にやりとりできる時代。スピード感のある恋愛は、合理的で効率的。でも、そのぶん“ときめき”が早く消えてしまうこともあるのではないでしょうか。

 そんな時代の中で『波うららかに、めおと日和』のように、焦らずじっくりと関係を育てていく姿に「憧れる」と語る若者が多いのは、どこか不思議で、でもとても嬉しく感じます。

 昭和の恋愛が令和の心にも響くのは、“恋ってこういうものだったよね”という懐かしさと、その純粋さに、もう一度心を震わせたいという願いが重なるからなのかもしれません。

ドラマを観ながら、自分も“胸キュン”していた

 正直に言えば、このドラマのふたりの関係は、現実の昭和の結婚生活とは少し違うかもしれません。お見合い結婚といっても、実際にはもっと現実的で、こんなに美しいやりとりばかりではなかったでしょう。

 けれど、ふたりがそっと見つめ合う視線、敬語を使いながら丁寧に会話を重ねる様子、ぎこちない距離感に、私も思わず胸がキュンとしてしまいました。

 前回のコラムでも書きましたが、50代になっても、誰かに恋をしたいと思う気持ちは、決して恥ずかしいことではないと思っています。

 年齢を重ねるごとに「今さら恋なんて」と自分に言い聞かせるようになりますが、心の奥では「誰かに好きになってほしい」「誰かを好きになりたい」と願っている--そんな自分に気づくこと、ありませんか?

 私自身、「恋愛らしい恋愛」をあまりしてこなかった人生でした。だからこそ、ドラマのようなじれったくも純粋な関係性に、過去の「恋への憧れ」が重なって見えてしまうのかもしれません。

スピード重視より、スローな恋愛もいいじゃない?

『波うららかに、めおと日和』が話題を集めているのは、令和というタイパ重視の時代に、「恋って、もっとゆっくりでもいいんじゃない?」というメッセージが、多くの人の心に響いたからだと思います。

 恋愛に“正解”はありません。

 タイパが重視される現代でも、手をつなぐだけで胸が高鳴り、相手のたった一言に心が揺れる——そんなスローな恋愛があってもいいのです。

 周囲の価値観に流されず、ゆっくりと恋愛を育むこと。小さなときめきこそが、人生をふくよかにしてくれるのだと、このドラマはそっと教えてくれているように思います。

mirae.(みれ)
記事一覧
ライター
アラフィフのフリーライター。ライター歴は15年以上。いろいろこじれて48歳で処女卒業。現在は性に奔放で貪欲に、独身生活を謳歌中。
X

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


結局、暑いの平気な花ってどれ? 花屋が激推しする「夏の花」5選。ユリは日持ちとコスパの良さに文句なし!
「暑い!」というより「痛い!」が正しいような気がする今年の夏。  外に出かけようものなら「命懸けかい?」と、ためら...
そう来る!? AI提案の「酷暑の乗り越え方」に笑った。私が考えたオリジナル“心理的”対処法も教えます
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
終わった…海外トラブルで冷や汗。20代女子のリアルな旅行ハプニング、消えた荷物はどこに!?
 日本とは違った体験や景色が味わえる、それが海外旅行の魅力。しかし、その“違い”が思わぬトラブルを呼ぶこともあるんです。...
なぜ40~50代に参政党がウケたのか? 参議院選挙の"もうひとつの争点"、氷河期世代の本音
 2025年参院選で争点のひとつに「就職氷河期世代」の支援策もかかげられた。  1993年から2005年にかけて社...
正直いりません!ダサい服を送ってくる義母。悩める主婦がとった“仕方ない”手段「どうなんだ? とは思うけど…」
 令和を迎えた今の時代にも、姑の行動に深刻な不快感を示す妻もチラホラ…。一方、激しい対立をするほどの事柄ではなくても妻が...
やば! ブラ紐が“チラ見え”した時どうしてる? スマホ使ったスマートな技も
「えっ、ブラ紐見えてたかも…?」ふとした瞬間に自分のブラ紐が見えていることに気づくと、恥ずかしさで焦ってしまいますよね。...
「帰省キャンセル界隈」は親不孝じゃない。実家に帰らないための冴えた言い訳
 色々な理由で帰省をしない人はたくさんいます。帰りたくない理由があるのなら、無理にしなくていいのかも。 (コクハク...
ポンポン尻尾にメロメロ♡  “にゃんたま”丸見えの姿に心をくすぐられちゃう
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
【動物&飼い主ほっこり漫画】第101回「くまさんスイカ!シャクシャク」
【連載第101回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽの...
【“偏”探しクイズ】共通する偏をみつけて2文字の熟語を2つ作ろう(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
「頑張りが伝わってきたよ」ママ友の言葉にホロリ…思わず嬉し泣きしたLINE3選
「LINEに救われた」という経験、あなたにもあるのではないでしょうか? 連絡手段として用いられるLINEが、救世主のよう...
浴衣の下って何を着ればいいの? 下着をつけたくない場合の最適解とNG行動
 夏休み、家族や友人と旅行に出かける人もいるでしょう。でも、意外に知られていないNG行動のせいで、恥をかくことも…。 ...
「来月はハワイ♡」ってダルっ…。“幸せアピ”がウザい女友達のLINEエピソード
 自分が幸せの中にいるとき、周りに話したくなったりアピールしたくなったりする人もいるはず。でも、相手に「ウザい」と思われ...
「スナックのママ=不美人」説は本当か? 超納得のシンプルな理由を解説します
 「スナックのママって、そんなに美人いないよね」  これ、みなさんも思ったこと or 聞いたことないですか? 私は...
4割が「事故物件に住み続ける」と回答。それぞれの“ワケあり”事情とリアルな体験談
 夏といえば怪談。その中でも近年、特に目立って増えているのが「事故物件」をテーマにした話だ。  松原タニシの実話怪...
猫の「まなざし」に恋をした…“にゃんたま”には何が詰まっているの?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...