不仲でも「実力は認め合っている」関係
また、さや香のファンなら、ふたりが「実力は認め合っている」ことは十分知っています。
例えば、2013年のM-1グランプリのファイナリスト紹介動画で、石井さんが新山さんのネタについて「去年より平均点が高い、マジおもろかった」とベタ褒めする発言をした際、新山さんが「ファンか!」「ハードル上げるな」などと悪態つきつつも内心は嬉しそうでした。
ある番組でふたりきりでドライブをした際は、石井さんが仕事で新山さんに助けられたことに対し「ありがとう」と自然に伝えたことに動揺して(?)運転している新山さんが理由もなくウインカーを出したりと挙動不審になっていました。
そんな、絆の片鱗が見え隠れする姿は、あからさまに仲がいいよりもグッときます。ウエストランドにしても、河本さんの結婚式での感動的なスピーチにファンは絆を感じているようです。(井口さんはそう思われるのを嫌がっていますが)
つまり、不仲コンビは不仲コンビなりの関係性の味があり、ファンも十分楽しむことができているのです。
さらなる可能性を秘めている
そして、不仲コンビの一番の利点が、今後の飛躍の伸びしろがあることです。
アンタッチャブルも実力派の中堅芸人として一時期バラバラの活動をしている時代でも個々に活躍していましたが、コンビ関係復活によってレギュラー番組も増え、頭打ちだと思われていた従来のステージから上がったように思えます。
おぼんこぼん師匠だってそう。不仲なことで、今後万が一、仲が改善された以降の、さらに一皮むけるだろうというワクワク感があるのです。笑いの理論として有名なものに“緊張と緩和”という言葉があります。
プライベートでコンビ仲が不仲状態にあるというのは、ある意味『緊張』の時間。しかし、その中でお笑い、つまり“緩和”が繰り広げられることで、意図せずとも“緊張と緩和”を体現し爆笑に繋がる可能性をもはらんでいます。
前述の『アンタウォッチマン』でサンドイッチマンの伊達さんがさや香に言っていたように、不仲だとスタッフに嫌がられたり周りが気を使ってしまう部分はあるかもしれません。ただ、不仲コンビでも、ネタや芸が面白ければそれで十分です。
たとえ平場がピリピリしていてもそれはそれでコンビの個性。誰もが仲いいという状況はどこか息苦しいと思ってしまう筆者としては、不仲コンビにある種の多様性を感じ、ホッとするのです。
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