自民党はいつまで愛子さんを中ぶらりんにしておくのか…「女性天皇」の議論まったく進まず

更新日:2025-10-05 17:03
投稿日:2025-10-05 17:00

【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】

 新総裁が決まった。その人間がやるべきは物価高対策、賃上げ、党改革といろいろあるが、過半数割れの与党では、すぐに画期的な手を打ち、好転させることなど期待できはしない。

 だが、どんより逼塞した日本の現状を打破し、一気に明るく変える「妙案」がある。それは、多くの国民が待ち望んでいる、近い将来の「愛子天皇」の誕生である。

 今回の総裁選に出ていた候補者たちは、自民党内のウルトラ保守層に阿(おもね)り、急成長した参政党の影に怯え、女性天皇について触れることさえしなかった。無責任というしかない。

 9月に秋篠宮家の長男・悠仁さんが「成人式」を無事終え、成年皇族の仲間入りをした。しかし、これで戦後初めて未成年の皇族は一人もいなくなってしまったのである。

 もし、現天皇があと20年後に、現上皇が先例をつくった「生前退位」をするといい出したら、秋篠宮は「辞退する」意向を表明しているから、悠仁さんはわずか39歳で即位しなければならないのだ。

 昭和天皇は父親の大正天皇が早く亡くなったため25歳で天皇に即位しているが、現上皇は55歳、現天皇は59歳の時だった。

 小泉進次郎の父親、小泉純一郎は首相時代の2005年、有識者会議に女性・女系天皇を容認する報告書を提出させたが、秋篠宮家に悠仁さんが生まれたためそのままになってしまった。だが、保守派の安倍晋三元首相も「愛子天皇」は容認していたと、安倍と親しかった元NHK記者・岩田明子が文芸春秋で明らかにしている。

 石破茂首相が「女性天皇容認」派であることはよく知られている。国民だけでなく、主要な政治家たちも愛子天皇実現に賛意を表明しているのに、国会に提出された有識者会議の「安定した皇統を維持する解決策」についてさえ、まったく進展していないのである。

 ウルトラ保守派たちは、明治時代につくった皇室典範を不磨の大典のようにありがたがるが、これも1947年に昭和天皇の意向により改訂され、一夫一婦制の原則を尊重し、「側室制度」を廃止しているのだ。

 2024年10月に国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、日本の皇位継承制度が男系男子のみを継承者と定めていることに対し、女性差別撤廃条約に違反するとして皇室典範の改正を勧告した。

 だが、日本政府は呆れ果てたことに、「皇位継承資格は基本的人権に含まれないとして、委員会に勧告の撤回を求めた」のである。日本の常識は世界の非常識なのである。

 このような政治による問題解決の先送りがこれ以上続けば“あの時”のように、天皇自らによる「おことば」で政治を動かすべきだという憤りの声が、国民の間から上がりかねないと、「女性自身」(10月7日号)は危惧している。

 あの時とは、天皇が皇太子時代の2004年5月、意を決して述べた「雅子妃の人格否定発言」のことである。

「陛下は欧州歴訪前の記者会見で、《それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です》と述べられ、国内外に衝撃が走りました」と、同誌は宮内庁関係者の話を伝える。

 現憲法を順守するといっている天皇が、そのような発言をするのはあり得ないことだとは思うが、我が子を思う親の心は誰も同じである。

 愛子さんも12月がくれば24歳になる。日赤の仕事をやりながら公務に励んでいるが、数年先の自分の「ライフプラン」さえ描けない状況に置かれたままである。

 新首相は、皇族の一人一人にも人権があり、個人として尊重され、幸福を追求する権利があることを真剣に考え、早急に手を打ってほしいと切に望む。 (文中一部敬称略)

(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)

エンタメ 新着一覧


所ジョージも捨てセリフ? テレビ局の番組改編があまりにセコすぎる…オワコンの始まりか
【桧山珠美 あれもこれも言わせて】  秋の番組改編期を経て10月から新番組が続々と始まっているが、華々しくスタートとい...
2025-10-05 17:03 エンタメ
NHK朝ドラ“女房もの”はいつも話題になるが…今度の「ばけばけ」は大丈夫?
 著名人の妻がヒロインの「女房もの」は、NHK連続テレビ小説の人気ジャンルとして、すっかり定着した。9月29日から始まっ...
2025-10-05 17:03 エンタメ
紅白歌合戦"お断り"でも韓国イベント出演を決めたSnow Manの胸算用と拒否されたNHKのヤキモキ
 Snow Manが12月13日と14日に、東京・国立競技場で開催予定の「2025 MUSIC BANK GLOBAL ...
2025-10-05 17:03 エンタメ
見えそうで見えない、柴田理恵の権威とは無縁の自由な笑い
【今週グサッときた名言珍言】 「私たちは隠すことが美学だから!」 (柴田理恵/フジテレビ系「ぽかぽか」9月25日放送)...
2025-10-05 17:03 エンタメ
平野紫耀らの「脱退発表」から約3年…Number_iとKing&Prince、それぞれの現在地と課題。“二大天然ボケ”不在の影響はあるか?
 2022年11月、King & Prince(以下、キンプリ)から2023年5月をもって平野紫耀(28)、神宮寺勇太(...
こじらぶ 2025-10-05 11:45 エンタメ
「シークレット・メロディ」若かりし日の恋の疼きが蘇るファンタジー
【孤独のキネマ】  シークレット・メロディ  (新宿ピカデリー他で全国公開中)   ◇  ◇  ◇  老若男女、...
2025-10-04 17:03 エンタメ
千原せいじは日本仏教会に「不適切行動」暴露され…謝罪模索も最悪タイミングの辞任で炎上終わらず
 一般社団法人「日本仏教協会」は、お笑い芸人の千原せいじ(55)が今年7月に同協会の顧問を辞任したことについて、9月30...
2025-10-04 17:03 エンタメ
元吉本興業会長・林正之助さん「伝説」の数々…なんばグランド花月では“会長警報”が
【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#260  林正之助さん   ◇  ◇  ◇  林元会長には数々の「伝説」がありま...
2025-10-04 17:03 エンタメ
前橋市長のラブホ騒動がらみで「長澤まさみ」がトレンド入り! 完全に別人なのに風評被害のお気の毒
 前橋市の小川晶市長(42)が既婚の市幹部職員と公用車でラブホ通いしていた問題で、女優の長澤まさみ(38)がとんだトバッ...
2025-10-04 17:03 エンタメ
参政党さや議員はバブル崩壊後の青短女子OG  小中高は公立、就職氷河期の荒波に揉まれて…
【続・あの有名人の意外な学歴 】#2  さや(参議院議員)   ◇  ◇  ◇  50代以上の世代にとって青山学院...
2025-10-04 17:03 エンタメ
梅宮辰夫の友思い…酒浸りの山城新伍に手作り弁当を
【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】  先日、知人から連絡があり、直腸検査を受けてポリープを切除したという話を聞いた。...
2025-10-04 17:03 エンタメ
シニア路線のフジ秋ドラマ 菅田将暉「もしがく」は不発…“二の矢”の沢口靖子月9で起死回生の勝算
 10月1日に始まった菅田将暉(32=写真)主演の連ドラ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」(フジテレビ...
2025-10-04 17:03 エンタメ
加勢大周や能年玲奈が独立後に“芸名使用トラブル”…ようやく厳正対処される芸能界の悪しき慣習
 政府は30日、芸能人と芸能事務所の契約を巡る不当な慣行を是正し、適正化に向けた指針を公表。独立や移籍をした芸能人のテレ...
2025-10-04 17:03 エンタメ
「DOWNTOWN+」月額1100円に「高い!」と不満広がる…松本人志はネットで活動再開できても地上波復帰は遠い
 11月1日からの運用開始が告知されていた「ダウンタウン」の独自プラットフォーム名が「DOWNTOWN+」(ダウンタウン...
2025-10-04 17:03 エンタメ
「ばけばけ」は“聖地巡礼”したくなる朝ドラの予感。実際にある島根県・八重垣神社の“恋占い”してみたい!
 明治19年。トキ(髙石あかり)は、借金を返すために親戚の雨清水傳(堤真一)が経営する機織り工場で働いていた。しかし、膨...
桧山珠美 2025-10-04 10:42 エンタメ
「あんぱん」アンパンマンは粒あんか、こしあんか…“お遊び”が楽しかった特別編。蘭子の“その後”はモヤモヤだけど
「あんぱん」が終了したと思ったら、早くも翌週の9月29日(月)~10月2日(木)の四夜連続で、スピンオフが放送されました...
桧山珠美 2025-10-04 08:00 エンタメ