悩めば悩むほど抜け出せない! セックスレスはまるで蟻地獄

神田つばき 女と性 専門ライター
更新日:2020-01-29 06:00
投稿日:2020-01-29 06:00
 前出のモヨ子さん(仮名・OL)がセックスレスを意識したのは交際して1年、同棲をはじめて5カ月のころだったそうです。レスになるキッカケがあったわけではなく、「ある日気がついたら、そう言えば1カ月ぐらいしてないな~、エッチな雰囲気に突入するタイミングがつかめないな~、みたいな感じでした」

彼にとって私は何?反応のない男性の態度に深まる悩み

 結婚する前にレスになるのは避けたい、彼と話し合って解決しようとモヨ子さんは決心します。家でお酒を飲みながら、楽しい雰囲気の夜に切り出しました。

「私たち、最近エッチしなくなっちゃったね~。なんでなんだろうね?」

と、気軽な口調で言ってみたのですが…。

「う~ん、なんかさ~、妹っていうか親友っていうか、そういう存在感だよね?」

「えっ、じゃあ…嫌いになったわけじゃないんだ?」

「当たり前じゃん、モヨのこと大好きだよ?」

 よかった~、と彼の背中に抱きついてみました。このままエッチに突入してもいい、ぜひそうなってほしい、と願いながら。でも、彼からの反応はゼロ。

「私、妹や親友になりたくていっしょに暮らしてるわけじゃないし。いったい、私はあなたの何なのよ!とショックでした」

 モヨ子さんの悩みはかえって深くなってしまったのです。

どちらが悪いわけでもない原因不明のセックスレスは致命的

 モヨ子さんカップルのような「仲良しレス」が増えています。原因のハッキリしたセックスレスとはまったく別物です。

 日本でセックスレスという言葉が定着した1980年代に問題になったのは、

〇どちらかが浮気をしている
〇性交痛などで女性がセックスを拒否している
〇男性が性病にかかり、女性が嫌悪している
〇出産や育児で疲れている、時間がない

 などによってエッチをしなくなることでした。これらのレスは深刻ですが、原因が解決すれば元に戻る可能性もあるのです。

 一方、「なんとなく、なぜかセクシーな気分に切り替わるスイッチが見つからなくなった」というレスはなかなか改善されず、そのまま男性がED(勃起不全)になってしまったり、妻にだけ勃起できず外で性欲を発散する「妻だけED」と呼ばれる状態に陥ってしまったり。

 こうなるともう「恋のはじめの離れがたい気分が思い出せない」という膠着(こうちゃく)状態に陥ります。

恋人を抱かずにAVを見ていた彼

 その後、モヨ子さんは彼がクローゼットに隠し持っていたAVを見つけてしまいました。「私には手も触れないくせに、こんなもので自分でしていたなんて……」と、傷ついたモヨ子さんはとうとう彼氏を問い詰めてしまいます。

「ねえ……どうして私としないで、こんなものを見てるわけ?」

 モヨ子さんにAVを突きつけられた彼氏は一瞬言葉に詰まり、それから開き直ったように言い返しました。

「はあ? なんで人の荷物とか探るわけ? 気持ち悪いことするなよ!」

「気持ち悪いって……ひどい! 私のこと気持ち悪いって思ってるんだね! だから私に触れたくないんだね、よくわかったよ!」

「何言ってんの? いい加減にしてくれよ!」

女性として無視されたことにブチ切れ!!

 仲良しレスは男性も何が原因だかわかっていないので、女性から指摘されると必ず逆ギレします。女性は女性で、さんざん彼に気を遣ってきて我慢してきたのに、指摘した途端に怒るなんて!と傷つきます。

 その瞬間にモヨ子さんが取った行動は……

「この人は私を女性として見てくれていないんだ、無視しているんだ、という気持ちが突然わき上がってきました。気がつくと、彼に突きつけたAVをバッキバキに割っていたんです。彼が驚きと嫌悪の目で見ているのに気づきましたが、どうしてもやめられませんでした」

 エッチはなくても楽しかった2人の暮らしは、この日を境に疑いと気まずさに満ちたものになってしまいました。

(次回に続きます)

神田つばき
記事一覧
女と性 専門ライター
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”女性に生まれたことの愉しみを取り戻すべく、緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などを企画。最近は女犯罪者や緊縛表現者に関するZINEの制作・販売を開始。Xnoteblog

関連キーワード

ラブ 新着一覧


【2025年人気記事】男性に聞きたい。自分よりずっと「若い女」と本気で付き合いたいんですか? 中年女の“やっかみ”と言われても
 2025年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初...
豆木メイ 2025-12-30 10:00 ラブ
【2025年人気記事】「特等席を予約したから」50代女性が20代イケメンと花火デートに興じた夜。大人の余裕で落とした作戦
 2025年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初...
内藤みか 2025-12-29 09:00 ラブ
意中の彼にアピる! 技アリ女の「あけおめLINE」3選。友達→彼女になれた“きっかけの一言”
 あけおめLINEは、意中の彼と連絡を取る1つのきっかけ。でもそこで普通のLINEを送っても、会話がすぐ終わったり、数あ...
恋バナ調査隊 2025-12-28 08:00 ラブ
50歳夫が母のモラハラを認めないワケ。妻のストレスは“更年期”のせいだと思ってる?
「冷酷と激情のあいだvol.278〜女性編〜」では、これまではスルーできていた義母のモラハラ発言に苛立ちが募るようになっ...
並木まき 2025-12-27 11:45 ラブ
「さすが三流大学ね」義母、9年間のモラハラ発言がもう限界。44歳妻の訴えに夫は他人事…なぜ?
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-12-27 11:45 ラブ
「ブロックしたのに…」配信者女性に近づく“ネットストーカー”の恐怖。男が取った驚きの手段
 ネット社会が発展するにつれ、リアルなストーカーとはまた違う「ネットストーカー」という存在が増えつつあるといいます。ネッ...
内藤みか 2025-12-26 11:45 ラブ
「完全に重い女でした」46歳女性の懺悔。“お守り代わり”が男性を激怒させ…愚かさが招いた最悪の結末
 世の中、不倫の話題で持ちきりだ。2024年に実施された調査によると、既婚男性の約2人に1人、既婚女性の約3人に1人が婚...
蒼井凜花 2025-12-26 11:45 ラブ
やったー、親の「結婚は」攻撃を撃退できた! とっておきの反撃方法5つ
 年末年始の帰省は、家族との団らんが楽しみな反面、「そろそろ結婚は?」「いい人いないの?」という圧が飛んでくる季節でもあ...
恋バナ調査隊 2025-12-25 08:00 ラブ
30代、クリスマスは“ただの平日”になった。気楽だけど…胸の奥がキュッとするのは何故?
 クリスマスは恋人と過ごすべき特別な一日だった20代、そんな焦りは消えて「ただの平日」になったアラフォーの今。 気楽に過...
おがわん 2025-12-24 11:45 ラブ
彼氏よ、ごめん! クリスマスプレゼントを“即売り”した4つの理由。美顔器は家賃に消えました…
 街中がロマンチックなムードに包まれる中、フリマアプリでひっそりとクリスマスプレゼントが即売りされているのをご存じですか...
恋バナ調査隊 2025-12-24 08:00 ラブ
もう「恋人と過ごす=勝ち組」はやめない? クリスマスは“特別じゃなくていい”と気づいたわけ
 20代の頃、クリスマスは恋人と過ごすべき特別な一日だった。でもアラフォーになった今はちょっと違う? 大人になって変化し...
おがわん 2025-12-23 11:45 ラブ
【漫画】「僕のマーメイド」元夫から届いたポエムメールに絶句…なにこれ?『元夫から「ロミオメール」が届いた件について』#3
【『60点の夫婦でいいのに』あらすじ】 『あの頃、まだ若い僕たちはなにが真実の愛なのかもわからず、ただ彷徨っていたね…...
「もう友達には戻れない」30代女性が忘れられない冬の夜。ふたりの“関係が変わった”背徳感
 クリスマスが近づくと、ふと昔の恋を思い出してしまう人もいるのではないでしょうか。  今回はアラサー女性が大学時代...
おがわん 2025-12-22 08:00 ラブ
【漫画】バカはそっちだろ!新婚早々、目撃した“最悪”の現場『元夫から「ロミオメール」が届いた件について』#2
【『元夫から「ロミオメール」が届いた件について』あらすじ】 『あの頃、まだ若い僕たちはなにが真実の愛なのかもわからず、...
聖夜に冷めるわ!クリスマスを台無しにする呆れたLINE3つ。「プレゼントは俺」って言う男いるんだ…
 街中がイルミネーションに包まれて、ロマンチックなムードが高まるクリスマス。心ときめくメッセージが届くのを期待していたの...
恋バナ調査隊 2025-12-21 08:00 ラブ
「俺が損してる」妻の“だらしなさ”を叱るのはモラハラか? 帰宅拒否寸前、44歳夫のストレス
「冷酷と激情のあいだvol.277〜女性編〜」では、結婚2年目にしてモラハラ疑惑が浮上した夫と、離婚以外の方法で問題を解...
並木まき 2025-12-20 11:45 ラブ