イケメンナルシスト俳優との恋でボロボロに…30代OLの告白#5

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2021-04-09 06:45
投稿日:2021-04-09 06:00

知りたくなかった…衝撃の事実

――良かったです。

「仕事でたまたま江の島神社に行ったときは、芸能の神様に『Oさんがもっと売れますように。そして二人が一緒になれますように』と、すでに結婚を考えている自分が居ました。

 ただ……出会いは元々SNSで、彼が声をかけてきたのが始まりです。よくよく考えれば、私は彼の事務所が借りている寮がどのあたりにあるかはよく知りません。

 いえ、より正確に言えば私鉄S線であることは教えてもらっていましたが、『うちの事務所は恋愛禁止だから』とプライベートは、一切秘密にされてる状態です。

 ウィキペディアで彼を調べても、九州出身で36歳であることや過去のメディア出演など、目新しい情報はありません。しつこく訊いたら嫌われるかもしれない恐怖が、私を『都合のいい女』にしていたんですね。

 セックスしている時は幸せでも、連絡手段はLINEのみ。それも『今日はロケで遅くなるから、夜はメールなしで』とか『明日から2泊の仕事が入った』と、徐々にぞんざいな扱いに変わっていきました。

 その割には、SNSをアップする時間と絶賛コメントの内容は細かく指示されるのですから……もう、メンタルがやられっぱなしですよ。誰にも相談できず、半年ほどが過ぎました。

――そんなR子さんに、転機が訪れた。

「今でも忘れません。

 会社の先輩と二人で、マンション内見の老夫婦をご案内した時です。先輩が運転する車で向ったのですが、新宿駅から二回乗り換えてさらに15分ほど歩いた緑豊かな場所です。

 大きな駅ではありませんが、近くには病院や公園もあって、治安も良くファミリー向けマンションも多いです。で、老夫婦の歩調に合わせてゆっくりマンションに向かっている時でした。 

 近くのコーポから『パパ、早くー』と小さい子供の声が聞こえたんです。何気なくそちらを向くと、マスクはしているものの、見覚えのある長身の男性がベビーカーを押してくる姿が目に留まりました。

 黒いジャージを着たその姿は、明らかにOさんでした。黒マスクも帽子も、私とラブホで密会する姿で……彼、結婚していたんです」

すべてのLINEを無視するように

――信じられません。

「私もその場に凍り付いたように、動くことができませんでした。

 心臓がバクバク鳴って、嫌な汗が全身に噴きだしてきて……やっとの思いで視線を流すと、男の子は3歳ほど。ベビーカーの赤ちゃんは……よく見ることができませんでした。今にも吐きそうになって……。

 幸い、先輩や老夫婦の陰に身を潜めたため、彼は私の存在に気づきません。そのあと、『ママ、早く~』と男の子が叫びました。私は、思わずその場にしゃがみこんでいました。先輩が「どうしたの?」と言ったので、とっさに「すみません、靴紐が……」と、ほどけてもいない靴紐を結びなおすふりをしました。

 顔を上げることができず、奥さんの顔は見られなかったけれど、やっとの思いで立ち上がり、Oさんたちのほうを見ると、スポーティな服装のボブヘアの女性の後姿がありました」

――そのような現実が待っていたとは……おつらかったですね。

「あの日、彼に会った衝撃は覚えているのに、そのあと、どのように内見をしたか、先輩やご夫婦とどのような会話がなされたか、まったく記憶にないんです。ただ、吐き気だけはおさまらず、その日は会社に戻ってから早退しました。

 翌日がちょうど水曜日で会社が休みだったのが幸いでした。何も食べられず、何も考えられず、ベッドでうずくまり……でも、眠れているのか、まったくわかりません。

 体がだるくて、気づけば涙が止まらなくて……寝ては目覚め、目覚めては寝て……目覚めた時、これが夢だったらと何度思ったか知れません。母が心配してくれて、おかゆを作ってくれました。

 家族のありがたみがよくわかりました。その晩、彼からLINEが来ましたが、無視しました。翌日も『どうしたの?』『メールしてよ』『写真アップしたからコメントしてほしい』との連絡がありましたが、一切無視です」

「失望」が忘れる一番のクスリ

――今はだいぶ落ち着きましたか?

「はい……半月ほどメンタルがボロボロでしたが、徐々に回復していきました。悲しいという気持ちより、あんな生き方しかできないOさんのほうが哀れに思えてきたんです。だって、恋愛禁止と言っておきながら、結婚して子供も二人いるのに、ニュースにすらならないじゃないですか」

――確かに、ある程度売れている芸能人なら「実は既婚だった」「実は妻子アリだった」など報道されますものね。

「本当、笑っちゃいますよね。話題にもならない……だから、SNSで女性をナンパしていたんでしょうね。セックスしたての頃、痛がる私に『だってR子ちゃんはキレイで幻のようで、今にも消えそうだから』なんて陳腐な言葉で欲望を満たして……。

 今回のことで一つ学んだんです。男の人を忘れるのに一番効くのは、怒りや憎しみじゃなく、『失望』なんだと確信しました。もう滑稽(こっけい)すぎて、呆れ笑いですよ。

 それに、こんなことは言いたくありませんが、彼の奥さんや二人のお子さんに同情してしまいます。『最低の夫とパパを持っちゃったわね』って。あは……私、性格悪いですね」

 ◇  ◇  ◇

 そう笑いながら、R子さんの白い頬にひとすじの涙がこぼれた。

 でも、口元は笑ったままだ。

 あんな男のために流す涙は無いと言わんばかりの、ある種のすがすがしさを感じる表情に、取材していた私も唇を引き締める。

「では、次の約束があるので」とにこやかに立ち去るR子さんに、私は心の中で「次は幸せな恋愛をしてほしい」と熱いエールを送った。

ー了ー

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

関連キーワード

エロコク 新着一覧


決行は排卵日、猫ババ女への最大復讐!元カレの子種を注いで妊娠へ #4
 出産を機に自宅でリトミック教室を始めたアミさん(仮名・31歳リトミック講師/既婚)。自らを肉食女子と言うショートボブの...
蒼井凜花 2023-08-13 14:35 エロコク
パパも美BODYもゲット! 26歳の保育士が20キロ減できたワケ
 コロナ太りからなかなか体重が戻らないなんて人も多いと思いますが……。  女性のダイエットへの興味たるや、出版不況...
中山美里 2023-08-01 06:00 エロコク
桃の香りにキュン♡ 乳首がふやけるほどしゃぶり尽くして!
 みなさんにとって官能を刺激される香りって何でしょう?  私は、桃の香りが好きです。甘い香りによって、口にしたとき...
桃子 2023-07-30 06:00 エロコク
元カレにフェラ顔を見せる幸福…ついに憎っくき“猫ババ女”と対面!#3
 出産を機に自宅でリトミック教室を始めたアミさん(仮名・31歳リトミック講師/既婚)。自らを肉食女子というショートボブの...
蒼井凜花 2023-08-07 14:01 エロコク
愛人ゲットのために加工します! オジサマたちの“盛り”事情
「出会い系で知り合った女子と写メ交換したら宇宙人みたいに目がデカい写真が送られてきてさ」  なんて経験はありません...
中山美里 2023-07-25 06:00 エロコク
完璧な“舌”でペロペロ…ねっとり潤滑剤でリアルさアップ♡
「クンニの流儀」というローターが発売されました。インパクトのある商品名ですね。私はひと目見て、この名がついたことに合点が...
桃子 2023-07-23 06:00 エロコク
復讐劇、開幕!同級生の女に“猫ババ”された元カレパパ友と寝室へ #2
 出産を機に自宅でリトミック教室を始めたアミさん(仮名・31歳リトミック音楽講師/既婚)。ショートボブヘアの似合うフレッ...
蒼井凜花 2023-07-28 10:39 エロコク
愛人関係にだってコミュ力大事! 良パパの条件は“聞き上手”
 風俗のお姉さんから、よくこんな話を耳にします。 「最近、コミュニケーションが苦手なお客さんが多いんですよねぇ」 ...
中山美里 2023-07-18 06:00 エロコク
極太好きの上級女性にピッタリ! 超ハード系ピストンバイブ
 私はアクション映画はそれほど好まないのですが、女性が主人公となると話は別です。「ワンダーウーマン」や「アトミック・ブロ...
桃子 2023-07-16 06:00 エロコク
大学進学で破局した「初めての男」と再会、結婚相手があの子なんて…#1
 昨今、不倫など珍しくないだろう。ただ、その相手が「思いがけなく再会した元カレで、なおかつ初めての相手」だったら……? ...
蒼井凜花 2024-09-03 13:53 エロコク
寝取られ好きの夫公認! お色気アラフォー美人妻の愛人生活
 愛人女性の中には、彼氏や夫という特定のパートナーがいる方も多くいらっしゃいます。  あるアンケートでは「日本の既...
中山美里 2023-07-11 06:00 エロコク
かわいすぎるラブグッズ!“ぶたくん”が敏感な部分をぺロペロ
 かわいすぎる……♡   目にした瞬間に心奪われたラブグッズはこれまでにも多々ありますが、だいたいが美麗でハイデザ...
桃子 2023-07-09 06:00 エロコク
35歳で処女卒業! 出会い系サイトで見つけた生身の女の幸せ
 今回ご登場いただく愛人女性の華子さんは、この方が35歳で処女を卒業し、遅咲きながら女の幸せを満喫していらっしゃいます。...
中山美里 2023-07-04 06:00 エロコク
インだけで刺激的! 前からも後ろからもいい感じで即昇天♡
「キャットパンチ リモビリフトローター」を初めて見たとき、私はてっきりアナル用バイブなのだと思いました。  その手...
桃子 2023-07-02 06:00 エロコク
大切な女の愛蜜に満ちたセックス、それでも「女風の経験は宝物です」#6
 女性用性感「Z」で人気セラピストとして活躍するジンさん(仮名・32歳)。彼は本業であるIT業の傍ら、女風(女性用風俗)...
蒼井凜花 2023-06-30 06:00 エロコク
指の延長みたい! 敏感な部分への刺激はランダムモードで♡
 指の延長のような感覚で使えるラブグッズ、というのは誰もが一度は想像したことがあるだろうと思います。特にグッズ未経験の人...
桃子 2023-06-25 06:00 エロコク