更新日:2022-07-19 14:18
投稿日:2022-07-08 06:00
冷めた料理と仏頂面の彼
どれくらい経ったか分かりません。
少し体調がよくなったので、席に戻ると、テーブルには冷めた料理の皿が並んでいました。
そして、仏頂面の彼がぽつんと座っていました。
料理に手を付けることもなく――。
私が『もう、体調はよくなったから、一緒にいただきましょう』と食事を再開したのですが、ムードは白けたまま。当たり前ですよね。時刻を見ると、私は30分も化粧室にうずくまっていたんですから。
それでも何とか食事を終えて店を出たんです。
「ホテルはキャンセル」彼の冷たい言葉に涙
私が『さっきはごめんなさい。早くRさんに抱かれたい』と、しなだれかかったんですね。
すると、『ホテルはキャンセルしたよ。またの機会にしよう』という予想外の言葉が返ってきたんです。
私はとっさに『もう体は大丈夫よ。せっかくの記念日なのに……』と言うと、彼、クールな表情で『タクシーまで送るよ』とひと言。
私は呆然としたまま、彼が停めてくれたタクシーに乗りました。
(うそ……こんなことになるなんて……)
思いがけない展開に涙を滲ませながら、ぼんやりと流れゆく車窓の風景を眺めて――。
その後、さらに恐れていたことが待ち構えていたんです」
続きは次回。
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