大人も新鮮!新作絵本の楽しみ方に気付いた 2022.11.5(土)

コクハク編集部
更新日:2022-11-05 12:41
投稿日:2022-11-05 06:00

可愛いだけじゃない、動物たちの表情にハマる

とんでもない」鈴木のりたけ作(アリス館)

 主人公の男の子は自分のことを「ふつうのこ」と思っています。窓の外を眺めながら、「ぼくにしかできないこと ぼくにしかないすごいところ」が見つからないと、立派な鎧を持ったサイをうらやましく思います。

 それを聞いたサイは「とんでもない」。重い鎧を背負うのにも苦労があるようで……。体が軽くてぴょんぴょんと跳ね回るウサギのことがうらやましいと言います。

 その後はクジラやキリン、ライオンなどの動物が登場しますが、みんなそれなりに大変みたい――。

 細部まで書き込まれた絵と、妙に人間臭い仕草や表情の動物たちがとてもコミカル。

 不満を述べる動物の語り口もおもしろくて、この絵本を読んだ後の子どもたちの口癖はしばらく「とんでもない!」になりました(笑)。

海外に行った気分になるアートな絵本

あさになったのでまどをあけますよ」荒井良ニ作(偕成社)

 子どもたちが窓を開けて朝を迎えます。山に住む子も都市に住む子も、窓から自分の住んでいる場所を眺めて「やっぱりわたしはここがすき」。

 花が咲き乱れたスコールが降る場所、砂漠に数本の椰子の木が生えた乾燥した地域。どんなところにも朝はやってくる――。

 ぼんやりと眺めていると、どこか遠くの異国へ行ったような気分にさせてくれる1冊です。一見、ラフな描写にも見えるのですが、その筆跡や色彩が絵の中に流れる時間や気温まで表現しています。

 説明的ではないけれど、その分、リズミカルな言葉が心に染みます。うちの子どもは直前まで騒いでいても、この絵本を開くとなぜか静かに座り始め、じっと絵を眺めておとなしくなるので不思議です。

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


私の心が狭いのか? 甥っ子が放った「お金持ちだから好き」発言にモヤモヤした話
 あっという間に、9月ですね。早い! 夏休みの帰省で姪っ子や甥っ子に会った方も多いのでは。  筆者にも、5歳の甥っ子が...
テーブル下でこっそり放熱中…ステンレスで涼をとる賢い“たまたま”君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
子どものいない祭り
 都会の喧騒の中で見つけた祭り。  そこにははしゃぐ子どもの姿はなかった。  たまにはいいかな、自分のためだ...
ほっこり癒し漫画/第81回「センセッ ジカンデスヨッ」
【連載第81回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
「鉄漿」って読める? ヒント:最古のメイク
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
子ども同士のLINEにもドラマが!将来の夢はスパイに忍者…ピュアな感じがたまらん
 最近では、小学生でもスマホを持っている子が増えていますよね。連絡ツールとして友達とLINEを使いこなし、時代は変わった...
女はお嫁さん要員? 年収800万でも「行き遅れ」と見下される田舎の地獄
 西新宿の高層ビル内にある大手食品会社のデザイン室に勤務し、初台に暮らす咲子。実家とはほぼ縁を切ってはいるものの、悠々自...
毒親の介護をしたくない 実家から逃げた女が「決別」のため払った金額は
 西新宿のビル内にある大手食品会社のデザイン室に勤務し、初台に暮らす咲子。実家とはほぼ縁を切ってはいるものの、おひとりさ...
田舎を捨てた「独身女」は不幸ですか 絶縁した家族が来て…今さら何の用?
 いまだ残暑が残る9月の初め。月曜日のAM7:30。  すでに汗ばむ陽気に包まれながら、西村咲子は新宿西口の高層ビ...
職場で飛び交う「大人のちくちく言葉」4選。無意識に同僚・後輩のモチベを下げてない?
 人の気持ちを不快にさせる、ちくちく言葉。子どものちくちく言葉は「アホ」「バカ」「マヌケ」などストレートですが、大人にな...
“たまたま”に見覚えあり!尾道市立美術館の「ケンちゃん」ではないかぃ?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
大優勝!秋から元気な“開運最強”花5選。一輪挿しでも存在感たっぷりで映える1本を紹介
 台風10号の遠隔豪雨は、神奈川にあります猫店長「さぶ」率いる我がお花屋にも様々な影響を及ぼしました。大雨を睨みなが...
みんなどうしてる? 大地震の経験者が語る我が家のリアルな地震対策7選
 南海トラフ地震の危機感が高まる中、「我が家も地震対策を見直さないと」と思っている人は増えているようです。ただ、実際に被...
バツイチ女一匹「昭和の意地」を捨てたおじさまから商店会会長を任されましたよ…!
 前回、ポンコツ商店会再起動という渦に巻き込まれた私。とりあえず、様々な問題解決のため、床屋さんと元酒屋さんとの密なミー...
猫飼う40独女が準備する「防災グッズ」元カレのアレと被災した親の経験談が沁みる…
 9月1日は「防災の日」でした。地震や台風などに対する不安が高まっている今、災害に備えていますか? 私は、しなきゃしなき...
40代“子育て女”キャリア再形成に苦戦中。専業主婦→パートを経たその先のハードルが高すぎる
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。  最近、フ...