人柄が伝わる“40年前の色紙”エピソード
渡辺徹さんの訃報に驚きを隠せません。9月には文学座の先輩である中村雅俊と仲良く「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に出演し、いつものユーモアあふれるトークで徹子さんを笑わせていたのに……たった3カ月でこんなことになるなんて。享年61、人生100年時代というのに。あまりにも早すぎます。
たしかに、あの時、ちょっと痩せたな、とは思いましたが、そのぶん、まえよりもスッキリし、ダイエットでもしたのかな、と軽く思っていました。それぐらいいつもの明るく面白い渡辺徹さんだったものですから。
デビュー前、中村雅俊に書いてもらった色紙に、「いつまでもあると思うな仕事と人気」とあり、これからっていう後輩にそんなことを書きますか、なんて言いながらも、その色紙を40年経った今も大事に持っているところに、お人柄の良さが伝わりました。
「文学座」所属で舞台に出演し続けた
文学座といえば、その中村雅俊や松田優作、内野聖陽、長谷川博己などなど、一流どころの俳優を輩出しているのですが、みなさん、売れると辞めてしまうんですよね(言い方!)。そんななか、渡辺さんは退団することなく、生涯、文学座の座員として舞台にも立ち続けた、そこが凄いところです。いずれ、江守徹や角野卓造のような文学座の看板を背負う幹部になると期待していたので、本当に残念でなりません。
訃報を受けて、テレビが渡辺さんの人生をコンパクトにまとめていましたが、それを見て驚いていた若者が多数。そうなんです、ケメン俳優だったことが案外知られていないようなので、ここは断じて言わせていただきます。
渡辺徹さんをタダのおデブタレントと思っているアナタ、認識を改めてください。若い頃の彼は誰もが認めるさわやかイケメンだったのですから。
「太陽にほえろ!」出演当時は大谷翔平似
デビューは1981年。伝説の刑事ドラマ「太陽にほえろ!」(日本テレビ系)でした。ショーケンこと萩原健一がマカロニ、松田優作がジーパン、以下、テキサス(勝野洋)、ボン(宮内淳)、スコッチ(沖雅也)、ロッキー(木之元亮)、スニーカー(山下真司)、ドック(神田正輝)と歴代新人刑事が出てきては殉職するのが名物(神田正輝は最終話までいましたが)で、ここに颯爽と登場したのが、ラガーこと竹本淳二刑事役の渡辺さんだったのですから。
さきほど、その時の映像を見ましたが、誰かに似ていると思ったら、大谷翔平選手です。そりゃ爽やかなはずですよね。
当時、アイドル並みな人気で、ファンからの差し入れを食べ過ぎて太った、というのはウィキ情報ですが、その真偽はともかく、徐々に太っていったのはたしかです。後年、当時のことを渡辺さんは太ったのではなく、もともと太っていたのをデビューするために頑張って痩せて元に戻った、というようなことを言っていましたが、いずれにせよ、どんどん太り出し、刑事ドラマなのに走れなくなってきたとか。
「太陽にほえろ!」殉職シーンは一見の価値あり
歴代新人刑事は自分でどんなふうに殉職したいかと死に方を選べるのですが、ラガーは狙撃手とビルの屋上で闘い終え、帰ろうとしてエレベーターに乗り込んだところで力尽き倒れてしまい、お腹あたりがちょうどドアに挟まれ、何度も何度も開け閉めされるたびにお腹のぜい肉がポワンポワン揺れていたのが悲しいやらおかしいやら……。
渡辺さんのイケメンぶりを堪能したい方は、「太陽にほえろ!」をお勧めします。できれば最初のほうを。
エンタメ 新着一覧