トルコ大地震前に“不気味な雲”の目撃情報が…注目すべき前兆現象とは?

コクハク編集部
更新日:2023-02-10 12:27
投稿日:2023-02-10 06:00

「円形のUFOのような雲」が話題に

 トルコ南部のシリア国境近くで6日、マグニチュード7.8の地震が発生し、両国では1万5000人を超える死者が出ている(日本時間9日時点)。いまだに倒壊した建物の下には多くの人が取り残されており、救助活動が続いている状態だ。

 この地震を受けて、SNSでは約半月前の1月19日にトルコ北西部の都市ブルサでみられた「円形のUFOのような雲」が話題になっている。

「雲」が出た当時、地元ではニュースとなっており、1月23日のロイター通信は『トルコの気象局は地元メディアに対し、この奇妙な形の雲は、強い風が丘や山を越える際に発生する「レンズ雲」の一種だと説明した。』と報じている。この時、雲は『朝日を浴びて雲の色はオレンジから赤、黄へと変化』したという。

 地震後には再度Twitterでこの雲の画像が拡散され、《トルコと言えば...やっぱり、Twitterトレンドにも出てましたな 10日以上前に、トルコ某都市上空に浮かび上がった あの不気味な雲...U.F.O.型の雲 あれはやっぱり地震雲だったとかどうとか...》《前に見たトルコの不思議な曇ってやっぱり地震雲だったんでしょうか...?》などと心配の声が相次いでいる。

「地震雲」の信憑性は?

 実際、地震の前兆現象(宏観異常現象)のひとつとして必ずといっていいほど注目されるのが「地震雲」だ。

 日本では1995年1月17日に発生した、阪神・淡路大震災が有名。のちに「大阪市立大学阪神大震災学術調査団」が住民に前兆証言を募集し、1500件を超える証言を特徴ごとにまとめているが、圧倒的に多かったのは「血のように赤い月」「一本線でくっきり境界のある雲が出ていた」といった「空気と大気の異常」(29%)だった。武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏(地震学)が解説する。

「地震雲が発生するのは地震前に地下の岩盤の割れ目から水蒸気やラドンといった放射性ガスが噴出するためだといわれています。ただ、雲の発生原因はほかにも考えられますから、気象庁や多くの地震学者の間で『地震雲』は科学的根拠がないとして否定されています」

 気象学者の荒木健太郎氏も7日、自身のTwitterで『先月トルコで見られた雲を「地震雲」だという投稿も見かけますが、これは「吊るし雲」です。』と否定している。

宏観異常現象はデタラメとは言い切れない

 とはいえ、「宏観異常現象」がデタラメかというとそうではない。南海トラフの大地震の被害が懸念される高知県の危機管理部南海トラフ地震対策課は、2011年の東日本大震災を受け、防災対策のひとつとして13年から県民に宏観異常現象の情報を募集中。担当者は日刊ゲンダイの取材(20年7月4日付)に「研究を始めている機関もありますし、予知が難しい中、前兆を知る材料になる可能性はあると思っています」と語っていた。

 前出の島村英紀氏も「地下水の変化」と「動物の異常行動」には注目しているという。

クジラ、ナマズ、犬などは微弱な電磁波を感じる

「大地震の前兆として、地下深くが動き出すことで、地殻に歪みができる。その影響で地下の水の枯渇や温度変化など異変が起こることは理にかなっています。とくに震源の浅い地震の前兆として指標になると考えています。また、クジラやナマズ、犬などの動物は人が感じることができない微弱な電磁波を感じる能力も持っています」

 たとえば、京都大防災研究所の飯尾能久教授(地震学)は2016年に発表した論文で、「震源地を含む広い地域の地下深くに水が存在する」と推定し、水が地震を引き起こす可能性を発表している。

 動物の異常行動については、11年2月のニュージーランド地震発生直前には南西沖にあるスチュアート島でゴンドウクジラ107頭が座礁し、東日本大震災の1週間前には茨城県の下津海岸でクジラ52頭が打ち上げられた。

 いずれも研究途中で、科学的根拠は薄いかもしれないが、地震予知が難しい中、参考にはなりそうだ。

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「フェロモン診断」調香師が選ぶ GW旅行の疲れを癒すおすすめの香り
 もうすぐゴールデンウィーク、今年は旅行や帰省の予定を立てている人も多いのでは?  飛行機や電車での移動、長時間の...
新学期早々ピンチ! 子供の「学校に行きたくない」の最適解は?
 子供が「学校行きたくない」と言い出したら、親としてはとても不安になりますよね。理由は、いじめや人間関係、勉強の遅れや体...
黄・紫・桜♪
 春の三原色を見つました。
陽だまりでゴロゴロ♡ お日様パワーを吸収する“たまたま”君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ほっこり癒し漫画/第71回「はふはふぴたっ」
【連載第71回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
美人局の語源に「筒」と「陰茎」
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
結婚式前夜、娘の門出を祝う「親として最後の教え」の内容に涙腺崩壊!
 入学や卒業、就職による1人暮らしなど、門出は1つの節目。嬉しい反面、どこか寂しさや不安を感じる瞬間でもありますよね。 ...
占い好きな成功者と占い好きな非成功者の違い…占いライターで一攫千金も
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
豊洲の人生勝ち組妻でも幸せじゃない?彼女が裕福と引き換えに諦めた事
 独身時代は都心に暮らしていたが、結婚を機に武蔵境に暮らし始めた千佳。しかし、郊外のこの地を愛せない。そんな時、中学の同...
「夫の駐在時にね…」なぜあのコが?田舎の同級生“玉の輿婚”に心ざわつく
 独身時代は都心に暮らし、華やかな生活をしていた千佳。しかし、結婚を機に都内から離れ、武蔵境に住み始めた。しかし、妥協し...
メガバン妻が悟ったリーマンの限界値 吉祥寺より2駅下った中古マンション
 武蔵野の自然を携えそびえる瀟洒な白亜の建物は、まるでこの場所がヨーロッパの一都市であるかのような錯覚を与えてくれる。 ...
帰ったらお風呂に…夫「沸いてるよ!子供が入ってる」危機管理能力ゼロや
 子育て中のママにとって、子供の命と健康を守るのは一番大切な使命。だからこそ、危機管理能力は嫌でも高くなります。 ...
号泣しながら「愛の讃歌」を熱唱 なぜ人はスナックでダサい姿を晒すのか
 私はこれまで多くの夜の世界を見てきましたが、スナックは本当に不思議な場所です。  完全無欠のモテ人間ほど、なぜか...
大人は「さようなら」とハッキリ言わないけど…
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
春の行楽、御朱印集めはスタンプラリーと何が違う? 作法やタブーとは
 山形県東部にある山寺(山形市)で自らの行いについて考える出来事がありました。我よ、御朱印集めがスタンプラリーと化してい...
この勇姿もあとわずか…去勢手術予定“たまたま”を記念撮影!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...