恋人は恵まれている自覚がなさすぎる
「結婚しないでこのトシになりましたけどね、恋愛はそれなりにしてきましたよ。俺は好きになった相手には一途です。
ゼニのある男はあっちこっちに愛人をつくりたがりますけど、俺はそういうのは性分に合わないので、この女だって決めたらその女以外と関係はもちません。
亜紀には本気なので、この2年間浮気もしていませんし、他の女性と食事にすら行っていませんよ。LINEだって交換しないから、誠実の極みです。まさに女性が考える誠実な日本男児っていう生き方をしています。
こんな誠実で、しかもゼニのある男を選んだ亜紀は、世間の女性たちから見たら憧れの人生を歩んでいるのに、本人にその自覚が足りない」
自分への自信に溢れた口調で、亜紀さんの話を続けるユキノリさん。インターネットでの出会いには期待をしていなかったけれど、亜紀さんと出会えたことはラッキーだったと感じているそうです。
俺の世話だけしてればいいのに
「亜紀はそろそろ仕事をやめて、俺の世話だけしていればいいんです。でも『仕事を辞めて引っ越してこい』って言っても、そうしないんですよ。
仕事を辞めるなら、亜紀には月に6万円を渡してあげるつもりです。
毎日の仕事のストレスから解放されて、俺のそばにいるだけで月に6万円ももらえるなんて、このご時世にこんな恵まれている環境はなかなかない。それなのに亜紀は、俺がそう提案してもイエスともノーとも言わないんです。
俺ね、ゼニはありますが清貧な生活を好むんですよ。もちろんここぞというときにはいくらでもゼニを使いますよ。だけど普段は質素な生活が気持ちいいね。
ゼニなんて稼げばいくらでも増えるけれど、使いすぎるとロクなことはありません。亜紀みたいな女性と清貧な余生を過ごせれば、理想通りの人生だね」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
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