「レンタル彼氏」に恋愛感情を抱くことはあるのでしょうか?

内藤みか 作家
更新日:2019-06-20 06:00
投稿日:2019-06-20 06:00
 映画『月極オトコトモダチ』は、アラサー女性がレンタル友だちを借りて「男女間の友情は成り立つか?」を考える物語。けれど、その男性はイケメンで大変優しいので女心は複雑に。「レンタル彼氏に恋愛感情を持つことはあるのか」ということまで考えさせられます。

男を思い通りに操る快感

 映画では「レンタル友だち」となっていますが、徳永えりさん演じるヒロインの望みは、男性を自分が行きたいところに連れ回したり、自分のわがままを聞いてもらったりと、限りなく男女交際に近いこと。レンタル彼氏に「あんまり恋愛っぽくしないで友だちとして楽しく一緒に飲んでほしい」というようなリクエストはたくさん来るそうなので、つまりは「レンタル彼氏」を借りているのとほぼ同じような状況だと思っていいでしょう。

 さて、取材の一環としてレンタル男友だちを借りたヒロインは、彼からいきなり「月極プラン」を提案されます。月額5万円を支払えば、1ヶ月15時間まで彼を使い放題なんです。1時間の料金は3333円ですから、単発でレンタル彼氏を借りる一般的な相場は1時間5000円程度なので、少しお安め。絶妙な価格設定のように思えます。

レンタル彼氏に恋愛感情を持つとどうなる?

 さて、ヒロインは月極でレンタル男友だちを借り始めたのですが、会えば会うほど情が湧くのが女心。自分が行きたいところに文句ひとつ言わずに付き合ってくれて、決して叱らず、いつもニコニコ笑っている。そんなイケメンがいたら、好きになってしまいそうですよね。実際、好きになってしまう女性は少なくないそうです。けれど彼にはお金を払わないと会えない。これはたまらなくせつないですね。

 前原滋子さんの漫画「かれのお値段20万円」は、1970年代の作品であるにもかかわらず、イケメンを1日2万円で借りる女の子が描かれています。貯金が底をつきた彼女は日雇いの仕事を必死にこなして彼をつなぎとめようとしてその必死さが胸を打ちました。この漫画のように、有料男子にハマると、彼に会うお金を稼ぐために馬車馬のように働き出す女性も多いのです。ヒロインも次第に彼を呼ぶ回数が増える、つまり費用がかさんでいきます。リピートしたこと自体がもはや、惚れた合図のようなものです。

客に惚れられたらレンタル彼氏はどうなる?

 彼氏だと勘違いし始めた女性に対し、レンタル彼氏はあくまでも仕事。ここで2人に大きな差ができます。女性はできるだけ安く長く男性と会おうと目論むようになるのです。少しずつ安くすればいつか無料になるのではという妄想を抱いているのですね。しかしレンタル彼氏は逆で、時給アップやブランド品などのプレゼントを狙い始めます。お互いの思惑が面白いくらい真逆に働くのです。

 映画でもレンタル彼氏はヒロインと距離を取ります。「僕は男女関係にならないスイッチを持っている」などと言ってみたり、プライベートに立ち入らないし、立ち入らせようともしません。幸せなのはお金を払って会っている時だけという関係は、せつないものです。だって彼は、日常生活では他の女性と無料で会っているわけです。お金を積んだら彼女になれるかというと、そういう問題でもないのです。

レンタル彼氏の実態が見えてくる

 それにしてもレンタル彼氏を演じる橋本淳さんには感動しました。絵に描いたような典型的レンタル彼氏像だったのです。何人ものレンタル彼氏に会ってきた私ですが「いるいる!こういう人!」と心底納得できました。ちょっと悲しそうに微笑みながら女性の後ろをついて歩く姿など、言動も完璧です。もしかしたら相当取材して役作りされてきたのではないでしょうか。

 レンタル彼氏というのは、ホストと違い、外見をあまり盛りません。女性と一緒に歩いても大丈夫な感じの、ごくごく普通の格好をする人が多いんです。まさに映画に出てくる橋本さんのような感じなんで、つくづく感心してしまいました。実際に借りたらどんなことが起きるのかがかなりリアルに描かれているので、レンタル彼氏に興味がある人にはこの映画はおすすめです!

内藤みか
記事一覧
作家
著書80冊以上。大学時代に作家デビューし、一貫して年下男性との恋愛小説を書き綴る。ケータイ小説でも話題に。近年は電子媒体を中心に活動。著書に「あなたに抱かれたいだけなのに」など。イケメン評論家として、ホストや出張ホストなどにも詳しい。
XInstagram

関連キーワード

ラブ 新着一覧


夫にわかってほしかった…でも無理だった!妻が訴えるリアルな“離婚”体験談4つ
「夫がわかってくれない」、その不満は離婚につながる原因の1つです。離婚を経験した女性たちに、夫になにをわかってもらいたか...
2025-10-23 08:00 ラブ
旦那LOVEが止まらない! 夫が好きすぎる妻の“暴走エピ”7選。トイレにもついて行く♡
 結婚後、夫への愛が増していく人はどれだけいるでしょうか? 今回は夫への愛が溢れすぎて、“好きすぎるあまりにしてしまう行...
恋バナ調査隊 2025-10-22 08:00 ラブ
「察して」じゃわからん! 妻に言いたい男の本音7選。お小遣い減額、母とバトル…夫からの切実なSOS
 今回、本音を語ってくれたのは、普段尻に敷かれている男性陣! 妻に逆らったり意見したりできない男性たちの“切実なお願い”...
恋バナ調査隊 2025-10-21 08:00 ラブ
妥協するんじゃなかった…! 後悔だらけの「結婚」失敗談。バツイチ女性の経験からの3つの助言
 結婚している女性を「羨ましい」「勝ち組」と思う人もいるでしょう。しかし、結婚相手に妥協し、後悔しながら生活している女性...
恋バナ調査隊 2025-10-20 08:00 ラブ
交際0日婚しちゃえ!→やっぱり無理でした。女たちが泣いた4つの失敗談。外見で選んだ私がバカだった
 交際ナシで結婚する0日婚って本当にうまくいくの…!? と疑問を感じる皆さん、お察しのように後悔するケースもあるようです...
恋バナ調査隊 2025-10-19 08:00 ラブ
「妊活代なんて出したくない」30代夫が“親に請求すべき”と主張するトンデモ理屈
「冷酷と激情のあいだvol.268〜女性編〜」では、5歳年下の夫が両家の親に“タカリ”をしているようで「幼稚」と感じてい...
並木まき 2025-10-18 11:45 ラブ
「偉そうな態度も不快です」老いた親に酒を“タカる”夫にゲンナリ。35歳姉さん女房の深い後悔
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-10-18 11:45 ラブ
「断るならバラすよ」マッチした男の“正体”に愕然。ときめきが地獄に変わった残酷な瞬間
 世の中、不倫の話題で持ちきりだ。2024年に実施された調査によると、既婚男性の約2人に1人、既婚女性の約3人に1人が婚...
蒼井凜花 2025-10-17 11:45 ラブ
文系男子に一目惚れ♡→現実はだたのオタク!? 婚活女子が忘れらない“ドン引き”体験談3つ
 いまや恋活・婚活の主流となったマッチングアプリ。手軽に理想の相手と出会える一方で、合コンや友達の紹介などとの出会いとで...
恋バナ調査隊 2025-10-16 08:00 ラブ
「本当に好きなのか分からない」“別れ”を決める前のサイン、6つの判断基準を聞いてみた!
 長く交際していたり、ケンカが絶えなくなったりして、相手のことが好きかどうか分からなくなるときもあるはず。そんなときは別...
恋バナ調査隊 2025-10-15 08:00 ラブ
恋が終わる危険も!? 「とりあえずドライブデート」の落とし穴。沈黙、渋滞、迷子…帰りたくなった瞬間5つ
 会話を楽しみ、小旅行気分も味わえる「ドライブデート」。でも実は、ちょっとしたミスで失敗に繋がりやすいデートでもあるんで...
恋バナ調査隊 2025-10-14 08:00 ラブ
【漫画】「避妊しなくていいよ」女の悲しい言葉。一夜限りの男が返した“意外な一言”に救われた夜『できても、できなくても』#3
【『できても、できなくても』あらすじ】  「桃生翠さん…残念ですがあなたは不妊症です」――ブライダルチェックで発覚した...
「いいよ」連発は離婚のサイン? 夫婦関係が壊れる寸前の“危険ワード”6つ
 離婚を経験した男女に、離婚直前に飛び交っていたワードをうかがいました。ご夫婦の間で、これらのワードが口癖のようになって...
恋バナ調査隊 2025-10-13 08:00 ラブ
【漫画】「家には帰りたくない」クズ男との別れ…“魔王”と呼ばれるイケメンは何者?『できても、できなくても』#2
【『できても、できなくても』あらすじ】  「桃生翠さん…残念ですがあなたは不妊症です」――ブライダルチェックで発覚した...
「寄生虫としか思えない」47歳男性が“専業主婦 希望”を一蹴。更年期の妻を受け入れない複雑事情
「冷酷と激情のあいだvol.267〜女性編〜」では、仕事への活力が下がり、退職して専業主婦になりたい夏菜子さん(仮名)の...
並木まき 2025-10-11 11:45 ラブ
専業主婦になりたいのに…貯金ナシの44歳妻、夫が意地悪すぎると嘆き「結婚の“特権”ですよね?」
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-10-11 11:45 ラブ