田邊教授、パワハラ認定!? 画工の野宮と“ぼっち”波多野の笑顔に救われる

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-07-20 16:25
投稿日:2023-07-20 16:25

NHK朝ドラ「らんまん」~第16週「コオロギラン」#79

 植物採集とタキの墓参りに出掛けた万太郎(神木隆之介)。その頃、「日本植物志図譜 第二集」を手にした里中(いとうせいこう)が野田(田辺誠一)のもとへ。

 ふたりで図譜を見ながら、その出来栄えの見事さに感嘆。初めて万太郎が訪ねてきたことを思い出しながら、その成長を喜び合った。

 植物学教室では、田邊教授(要潤)が、画工の野宮(亀田佳明)に、「今後は槙野の植物画が水準になる」と万太郎のような画を描くように命じる。

 一方、藤丸(前原瑞樹)がいなくなり、寂しげな波多野(前原滉)。うさぎを抱きながら、藤丸との楽しかった日々を思う。

 そんな波多野に野宮が「顕微鏡で植物を観察する方法を教えて欲しい」と頼む……。

【本日のツボ】

「タマアジサイ 田辺誠一(54)」

 ※※以下、ネタバレあります※※

「私が今後求めるのはこの域の植物画を描ける人間だ」。

 世が世なら、パワハラで訴えてやりたい田邊教授の仕打ち。下請け画工の野宮が気の毒過ぎます。

 そんな野宮とぼっちの波多野が手を組みます。「肉眼では見えないけれど、命を司る仕組みを見たいと思っている。一生賭けてでも」と夢を語る波多野に、「もしも、そんなものが見えるとしたら一生賭けてでも惜しくはないでしょう。命の源をいつか描いてみたい」と野宮。

「じゃあ、僕と組みませんか」、握手を交わすふたり。「いい日です。さっきまで寂し過ぎて死にそうだった」と波多野が言えば、野宮も「そうなんですか。俺もわりと死にそうな気分でしたよ」と。

「野宮さん、今、俺って言いました?」、新コンビ誕生。笑顔になったふたりに安堵しました。

 万太郎に影響を受けた人たちがそれぞれ自分の道を求めていく。主人公以外の人物やストーリーもちゃんと描かれているのが、「らんまん」の素敵なところです。

 そして、ラスト。本日の花、タマアジサイを描いたのは野田役の田辺誠一でした。

 田辺画伯といえば、自身のTwitterに挙げた絵が独特すぎるとヘタウマで知られる存在で、「かっこいい犬」のイラストはグッズやガチャガチャになるほどでしたが、それがウマくなっていてびっくりです。

 神木くん、志尊くんに続き、田辺画伯の登場! 今後も最後まで目が離せません。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


朝ドラ史上、いやテレビ史上に残る名判決シーン。「政治の貧困」の言葉が胸に突き刺さる
 昭和38年6月、桂場(松山ケンイチ)は最高裁判事のひとりに任命される。  竹もとで修業に励む梅子(平岩紙)、そし...
桧山珠美 2024-09-07 06:00 エンタメ
夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り
 昭和37年1月、「原爆裁判」の原告のひとり、吉田ミキ(入山法子)が法廷に立つことを承諾。広島から上京してきたミキを、原...
桧山珠美 2024-09-05 17:30 エンタメ
虎に翼の脚本は朝ドラ特有の“中だるみ”なし!塚地出演「あさイチ」との連携プレイにも救われた
 昭和34年、優未(毎田暖乃)は高校1年生に。直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、猪爪家はますますにぎ...
桧山珠美 2024-09-02 17:30 エンタメ
東出昌大“狩猟系イケメン”面目躍如。通り過ぎていった女性たちは何を思う
 期待に応える男、東出昌大(36)がまたまたやってくれました。今度は“デキ婚”ですって。いつかやってくれるだろうとは思っ...
第110回感動のラストシーン! 余貴美子演じる百合さんの“ある台詞”がとっても可愛かった
 寅子(伊藤沙莉)たちとの同居がつらいと本心を語り、家を出ようとするのどか(尾碕真花)。そんな彼女に、優未(毎田暖乃)は...
桧山珠美 2024-08-31 06:00 エンタメ
【写真特集】10年前の初々しい東出昌大。オールバック、ナチュラル、横流し…髪型3変化
【この写真の本文に戻る⇒】杏との離婚から4年、東出昌大“デキ再婚”で話題の養育費問題。子のために前妻が即やるべき事【弁護...
虎に翼108回目でお見事だった2つのシーン。世の中の“普通人”の理不尽な思いを代弁させた
 稲垣(松川尚瑠輝)と小橋(名村辰)にも手伝ってもらい、裁判所で中学生向けの法律の勉強会を開いた寅子(伊藤沙莉)。だが話...
桧山珠美 2024-08-28 17:15 エンタメ
松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
「生きるお笑い界の伝説」ことダウンタウン松本。還暦を迎えた今も大人気の冠番組を複数抱え、お笑い界で最も大きな発言権を誇る...
帽子田 2024-08-28 09:38 エンタメ
なんて賢い子!“星家イチのオトナ”が優未だった件。27日あさイチに“料理男子”井上祐貴が降臨
 寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)は星家で暮らし始めるが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕...
桧山珠美 2024-08-26 17:35 エンタメ
木戸大聖が世間に見つかってしまった!月9「海のはじまり」スピンオフでファン急増中
 めめ(目黒蓮)の体調不良が心配でなりません。現在、フジテレビ系月9「海のはじまり」に主演していますが、Snow Man...
寅子の「心が躍るような」結婚式。放送残り1カ月ちょっと、NHKにスピンオフで描いてほしいこと
 お互いそれぞれの名字を名乗ったうえで、「夫婦のようなもの」になることを決めた寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)。猪爪家...
桧山珠美 2024-08-24 06:00 エンタメ
平手友梨奈がHYBEと契約終了、2度目の退所で訪れる転機。神童が“本物”に返り咲く日
 平手友梨奈(23)が今月8日、韓国の大手芸能事務所「HYBE」日本本社のレーベル「NAECO」との専属契約を終了した。...
こじらぶ 2024-08-24 06:00 エンタメ
【写真特集】女子アナ時代、初々しい浴衣姿の田中みな実
【この写真の本文に戻る⇒】 なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
 放送中のドラマ『ギークス〜警察署の変人たち〜』(フジテレビ系)にて、3人の主要キャラのうちの1人に抜擢されている田中み...
堺屋大地 2024-08-23 06:00 エンタメ
航一は本当に明治生まれなのか?「夫のようなもの」を許容できる男に疑惑
 航一(岡田将生)から、そこまで悩むのなら結婚をやめようと告げられた寅子(伊藤沙莉)。それは婚姻届を出す結婚をやめようと...
桧山珠美 2024-08-24 00:23 エンタメ
『ラヴィット!』に疑問の声。違和感たっぷりでもギャル曽根の「超ギャルル」を推すワケ
「日本でいちばん明るい朝番組」をコンセプトに、平日の朝に笑いと情報を届けている人気番組『ラヴィット!』(TBS系)。 ...