地殻変動!下剋上球児、うちの弁護士…視聴率では見えないバズり作品は

こじらぶ ライター
更新日:2023-11-25 06:00
投稿日:2023-11-25 06:00

23年10月期クールのドラマ視聴率が苦戦中

 シリーズものを除いた主要民放プライム帯ドラマ全12作の全話平均視聴率が5.9%(ビデオリサーチ調べ・関東地区・世帯=以下同)。それぞれ5~8話まで進んだ23年秋ドラマの視聴率がおしなべて苦戦している。

 同じ条件で過去のクールの全話平均視聴率を見ると、22年冬ドラマは8.9%、23年春ドラマは7.4%、同年夏ドラマは6.5%と綺麗に右肩下がりになっている。

 原因として、ドラマがどんどんつまらなくなっている、というよりは、ドラマ枠乱立による分散化と、見る人の視聴形態がテレビから配信に移行していることが考えられる。

10代20代の約半数がドラマは“スマホで視聴”

 博報堂DYメディアパートナーズ・メディア環境研究所の「テレビドラマの視聴実態と選択意識調査2022」によると、ドラマをスマートフォン(配信)で見ることがあると回答したのが、50~60代では5.4%だが、30~40代では22.3%、10~20代では45.5%。

 若い世代ほどドラマはテレビではなく配信で見るため、テレビ局が視聴ターゲットを若者に絞るほど、視聴率は下がることになる。

 代わりにTVerなどリアルタイム・見逃し配信サービスは右肩上がりに成長している。

 23年秋ドラマの執筆時点(11月23日)までの全話平均視聴率ベスト3は、1位が鈴木亮平(40)主演の「下剋上球児」(TBS系)で9.7%、2位がムロツヨシ(47)主演の「うちの弁護士は手がかかる」(フジテレビ系)で6.7%、3位が菅野美穂(46)主演の「ゆりあ先生の赤い糸」(テレビ朝日系)で6.4%。テレビの世帯視聴率なので、中高年層にリーチしている作品とも言えるだろう。

「下剋上球児」の見どころと“敗因”

 視聴率では秋ドラマのトップにいる「下剋上球児」だが、放送枠は日曜夜9時の「日曜劇場」。昨今でもほとんどのクールで2桁を記録してきた伝統枠で、それを超えられるかはギリギリのライン。TVerのお気に入り登録者数では、23年秋ドラマ12作品中7番目の72.1万人に留まっている。

 前クールの同枠「VIVANT」は全話平均視聴率14.3%。TVerお気に入り登録者数は3話の時点で早くも100万人を突破するなど配信でも大反響だっただけに、「下剋上球児」は少し物足りなさを感じる。

 廃部寸前の弱小野球部を立て直すという高校野球パートは鉄板で評判がいいものの、それを率いる元球児の高校教師・南雲脩司が無免許教師であるという社会派パートが影を差しているとも指摘されている。

 ただ、南雲演じる鈴木の重厚で繊細な演技は、球児たちとの絆も相まって涙を誘うものがあり、無免許問題をいかに乗り切るかによって、世帯視聴率自体は今後上がる可能性もある。

ほぼノーマークだった「うちの弁護士は手がかかる」

 23年秋ドラマ視聴率2位は「うちの弁護士は手がかかる」。フジ金曜夜9時に1時間ものとしては初めて設けられた新枠で、日曜劇場やNHK朝ドラなどと比べ視聴習慣がついている枠ではないこと、同枠はもとより裏に日本テレビ系「金曜ロードショー」があったり人気バラエティ・音楽特番が組まれやすく、世帯視聴率1位の「下剋上球児」とは開きがある。

 ただ、放送開始前ほぼノーマークだったことを考えると健闘と言えるだろう。

 6話までの見逃し配信累計再生数(TVer・FODの合計値)は1500万回を突破し、TVerのお気に入り登録者数は23年秋ドラマで2番目に多い110.2万人だ。

こじらぶ
記事一覧
ライター
STARTO ENTERTAINMENT、秋元康系女性アイドル、ローカル、地下アイドル等数々の現場を経験。Xでもご意見を募集しております。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


横浜流星は“まだ誰のモノでもない”感も含めて尊い! NHK大河が「べらぼう」に面白い
 NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」がスタートしました。主人公の蔦屋重三郎を...
【おむすびにモヤっと】メンチ切り合った2人がなぜ? 見たいシーンを出し惜しむのが「おむすび」クオリティ
 結(橋本環奈)と翔也(佐野勇斗)は、保留とされていた結婚を進めるため2人が考えた生活プランを親たちに説明する。会社で初...
桧山珠美 2025-01-11 06:00 エンタメ
【おむすびにモヤっと】サザエさん風に「歩、スマホを買う」「結、節約に目覚める」「翔也、仕事する」の3本
 歩(仲里依紗)に、聖人(北村有起哉)がまた携帯電話を買ったのか問うと、歩はスマートホンだと答える。新しい出始めの商品に...
桧山珠美 2025-01-08 17:30 エンタメ
「べらぼう」初回、セクシー女優3人が裸死体姿に…AV業界人どう見た?「裸に意味を語らせる照明が必要」
 5日にスタートした横浜流星(28)主演のNHK大河「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」(NH...
【募集】冬ドラマ何見る?『べらぼう』『家政夫のミタゾノ』『日本一の最低男』など期待&ガッカリ教えて!
 コクハクでは2025年冬ドラマを対象としたアンケートを実施します。あなたが現時点で「楽しみにしている」ドラマ、そして「...
【おむすびにモヤっと】「プロフェッショナル」で壮大なネタバレ感!14週は元スケ番vs元レディースの様相
 結(橋本環奈)が糸島から神戸に帰ってきて愛子(麻生久美子)や歩(仲里依紗)が迎える。だが、一緒に永吉(松平健)と佳代(...
桧山珠美 2025-01-31 16:57 エンタメ
【2024年人気記事】伊藤健太郎は破局して正解! “小栗旬軍団”加入でバーター出演の機会にも恵まれる
 あけましておめでとうございます。2024年は「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記...
【2024年人気記事】悪評だらけの天才、平手友梨奈が遅刻やドタキャンを繰り返す本当の理由
 あけましておめでとうございます。2024年は「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記...
堺屋大地 2025-01-04 06:00 エンタメ
【2024年人気記事】松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
 あけましておめでとうございます。2024年は「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記...
帽子田 2025-01-02 06:00 エンタメ
【2024年人気記事】なぜ塚地武雅、藤井隆はドラマ出演が続く? 不人気芸人との決定的な違い
 2024年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初...
【2024年人気記事】『新宿野戦病院』小池栄子の英語、海外はどう思う?「下手というより…」
 2024年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初...
映画「聖☆おにいさん」全力でおバカを演じる松ケン&染谷将太たち。評価は真っ二つだけど…
「M-1グランプリ2024」の準優勝バッテリィズに元気をいただきました。エースでしたっけ。やはり“おバカ”は最強です。優...
ラウール、高橋文哉…2024年「国宝級に検索されたイケメン大賞」TOP5の最も検索された日は…?
 2024年もあとわずか。今回は今年1年を通じて活躍したイケメンが、いかに世間の人々の注目を集めたかを調べてみたいと思い...
こじらぶ 2024-12-28 06:00 エンタメ
【最新回のおむすびにモヤっと】「豚肉と玉ねぎのニンニク炒め」はサラダの後に作ったほうが…
 スナック「ひみこ」で、佳代(宮崎美子)と話す結(橋本環奈)。永吉(松平健)とただいるだけで幸せだと言う佳代の言葉を聞い...
桧山珠美 2024-12-27 19:30 エンタメ
「M-1」令和ロマンが主人公なら、エバースは裏主人公。泥臭い秀才コンビを応援したくなるのが人のサガだ
 今年も最高の盛り上がりを見せた「M-1グランプリ」(ABC・テレビ朝日系)。令和ロマンが史上初の2連覇を果たしたものの...
帽子田 2024-12-27 06:00 エンタメ
面白かった「秋ドラマ」を調査!『海に眠るダイヤモンド』を抜いた1位は?期待外れに“あの作品”がまた…
 続々とクライマックスを迎えている2024年秋ドラマ。今期は見ごたえたっぷりの作品が揃い、ドラマに夢中になっていた人も多...