そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。
1. 肩だけじゃなく頭皮もガチガチ! どうすればいいの?
今回は、広海さん(39歳女性/仮名)からご質問を頂きました。
「頭痛と首のこりに加えて、眼精疲労と肩こりに悩まされていて、どこを治せば改善されるのかわかりません。どうすればいいですか?」
広海さんは、肩を触りながら眉間にシワを寄せてつらそうに話します。
「いろいろな症状が重なるとつらいわよね。たしかに、これほどまでに症状が重なるとどこを解消すればいいのかわからないわよね」
「そうなんです! しかもこのあいだ、美容師さんに『頭皮がガチガチにこってますよ』って笑いながら言われて。肩だけじゃなく頭皮までこっているなんて、ちょっとショックでした」
これは放っておけません!
2. 肩こりってどうして起きるの?
「肩こりは血行不良が原因というのはなんとなく知っているのですが、なぜ血行不良になると肩こりが起きるんですか?」
「そうね。血行不良になると筋肉に老廃物や疲労物質が蓄積されて、筋肉が緊張状態になるの。緊張状態はこり固まった状態、つまり肩こり状態のことね」
「なるほど。そういうことですか! 他にも原因ってありますか?」
「たくさんあるわ。眼精疲労やストレス、同じ姿勢を続けることが原因で肩こりが起きることもあるの。ストレスや同じ姿勢の継続は、血行不良につながって肩こりを起こすの。
眼精疲労の場合は、ピント調節機能の筋肉は副交感神経の司令によって働くのだけど、目を使っているときは交感神経を使わないといけないから、目を酷使すると自律神経のバランスが乱れて肩こりを引き起こすといわれているわ」
「なるほど。私の場合、パソコンを使う仕事だから、眼精疲労が原因かもしれないんですね。でも、肩こりでなぜ頭痛が起きるのですか?」
広海さんは、不思議そうに尋ねます。
「いい質問ね。肩こりによる頭痛は緊張型頭痛に当てはまるのだけど、肩こりによって血流が不足すると頭蓋骨の筋膜にまで影響が及んで、頭痛が引き起こされることがあるのよ」
「なるほど。じゃあ、私はまずは肩まわりの血流を改善しないと、頭痛も頭皮や首のこりも治らないんですね。でもどうすれば…」
「大丈夫よ。次に肩こりから解放される方法を伝えるわね」
3. もう肩こりに悩まない。解放へのメソッド
肩こりを改善する方法はたくさんありますが、今回は簡単に取り入れられる方法に絞って5つ紹介します。
3-1. 改善のための栄養素
肩こりの改善が期待できる栄養素は以下の通りです。
●ビタミンE:血管を拡張して全身の血流を促す
●ビタミンB12:神経の働きを保ち筋肉の働きを助ける
●クエン酸:筋肉疲労を回復する
<ビタミンEが豊富な食材>
アボカドやアーモンド、ごま、かぼちゃ、うなぎなど
<ビタミンB12>
しじみやアサリといった貝類、イワシ、サバといった青魚など
<クエン酸>
梅干し、グレープフルーツ、レモンといった柑橘類など
食事ですべてをバランスよく毎日摂取するのは難しいでしょう。そのような方は、サプリメントで補いながら食事の栄養バランスを意識するように心がけましょう。
3-2. 座り方の見直し
座った姿勢が猫背だったり、あごが突き出て首が前に出たりしていると、肩こりを招くので、座り方を見直しましょう。
正しい姿勢の作り方は、以下の通りです。
(1)背もたれに寄りかからないよう浅めに椅子に座る
(2)おへその下に力を入れて骨盤を立て背筋を伸ばす
(3)目線が20~30度下を向くようにパソコン画面の角度や椅子の高さを調整する
上記に加えて、こまめに休憩をはさみ、からだを伸ばすことが大切です。
正しい姿勢であっても、長時間続けると血流は悪くなります。なるべく30分?1時間に1回は立ち上がってストレッチしたり歩いたりしましょう。
3-3. 温めることのメリット
温めることで血管が拡張し、血流がよくなって肩こりの改善や緩和が期待できます。
また、肩こりの原因となるストレスも、温めることで解消につながります。
ただし、急性の肩こりには冷やすのがおすすめです。温めるのは慢性的な肩こりに悩む場合に行いましょう。
3-4. 漢方薬に頼ってみる
なかなか肩こりが改善されない場合は、漢方薬に頼ってみるのもおすすめです。
漢方薬は、ストレスや血行不良、冷えなど肩こりの原因や、一人ひとりの体質に合わせて選びます。
一般的に副作用も少なく、決まった量を飲むだけなので気軽に試しやすいというメリットがあります。
肩こりに効く漢方薬には「葛根湯(かっこんとう)」、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などがありますが、体質に合わないと効果がないため、医師や薬剤師、登録販売員に相談して試してみるといいでしょう。
3-5. ハーブティーで気持ちもリラックス
ハーブティーのなかには「血流をよくする」「ストレスを緩和する」「痛みを和らげる」といった効果をもつものもあります。
これらの効果がある代表的なハーブは、ローズマリーやタイム、カモミール、ハイビスカス、ラベンダーです。
寝る前や仕事の休憩中に飲んでみてはいかがでしょうか。
4. からだを動かすアプローチ
からだを動かすアプローチとして、下記のヨガのポーズをご紹介します。
【安楽座のポーズ】
安楽座のポーズは、あぐらの姿勢でゆっくり呼吸をするポーズです。
<手順>
(1)片足のかかとをからだの縦軸の中心に寄せる
(2)片脚を前に出した形であぐらを組む
(3)両手をそれぞれ両ひざの上に置き、呼吸を繰り返す
首と肩に意識をめぐらせながら呼吸を繰り返すこと、坐骨とひざを安定させることがポイントです。
【わしのポーズ】
わしのポーズは、立ち姿勢で行うポーズです。
<手順>
(1)立ったまま両手を腰に当てる
重心が崩れないよう、下に重心を持っていくイメージでバランスを保つのがポイントです。
【賢者のポーズ】
賢者のポーズは体幹を鍛えるのに効果的なヨガのポーズですが、肩こり解消も期待できます。
<手順>
【ダウンドッグ】
循環がよくなり代謝アップや疲労回復につながるポーズです。また、猫背気味の姿勢による肩こりを解消する効果も期待できます。
<手順>
5. 肩こりはさまざまなアプローチで解消
「肩こりは血行不良により筋肉が緊張している状態だから、血行を促す食事や姿勢、からだを動かすことを意識してみてね」
「ありがとうございました! 肩こりから解放されるために、できることから実践していきます!」
優しい表情でサロンを去っていく広海さんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。
★サロン「コクハク」のオーナー えりの
顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。
(漫画/腹肉ツヤ子)
◇ ◇ ◇
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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