口をプーっ! 草彅剛演じる羽鳥の駄々っ子な表情に注目して

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-01-22 15:35
投稿日:2024-01-22 15:35

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第17週「ほんまに離れとうない」#77

 トミ(小雪)から伝言があると、社長秘書室長の矢崎(三浦誠己)が、スズ子(趣里)と愛助(水上恒司)のもとにやってくる。

 その内容は、そろそろ2人が結婚してはどうかというものだった。ただし、スズ子が歌手を辞めることが条件だという。

 2人を応援したい坂口(黒田有)は、トミを説得しに大阪へと向かう。

 一方、スズ子から歌手を辞めろと言われたことを聞いた羽鳥善一(草彅剛)はとても動揺してしまい…。

【本日のツボ】

羽鳥の「アカン」と草彅剛の顔芸

 ※※以下、ネタバレあります※※

 スズ子が歌手を辞めることを条件に、愛助との結婚を認めるというトミからの伝言でした。

 愛助と結婚できるなら歌手を辞めてもいい…と言い出すスズ子ですが、誰よりも歌手・福来スズ子のファンである愛助がそんなことを許すわけもなく…。

 場面代わって、羽鳥家。スズ子の話を聞いた羽鳥、「何言ってんの、駄目だよ、駄目駄目。君が歌手を辞めるなんて、僕が音楽を辞めるようなもんだよ。そしたら僕はどうなってしまうのさ。絶対アカンて」と興奮気味に訴えます。

「まだ辞めるやなんて言うてやしまへん。そりゃワテかて辞めたあらしまへんけど、それが愛助さんと一緒になる条件なら…」と言うスズ子にかぶせ気味に、「せやからそんな条件飲んだらアカンて!」と。

 取り乱す善一に妻の麻里(市川実和子)は、「アナタ、少し声が大きいですわ」と注意しますが、ますますヒートアップする善一、「そりゃ声も大きくなりますよ。福来スズ子が歌手を辞めるっていうんだからこれは一大事だよ!」「福来くん、僕はね、また君と面白いことをやろうと考えてるんだ」と。

「麻里さん、あれ持ってきて。楽譜、楽譜」と頼みますが、「持ってきません。アナタ、少し落ち着いてください」とたしなめられます。

 この時の善一の表情に注目です。麻里を見て、口をプーっとふくれっ面、まるで駄々っ子。

「今、あなたがやりたいことは関係ないの。今、大切なのはスズ子さんの気持ちでしょう。大好きな歌と大好きな人のどちらかを選べと言われてるのよ。そんな時になんですか、子どもみたいに!」と叱られ、「たしかにそうだね…そうなんだけど」と。

 麻里の説教をくらっている間の表情がまたなんともいえない情けない顔でした。

“下宿編”を盛り立てた面々の安否は…

 興奮すると「アカン」と大阪弁が出るところ、すべて表情に出てしまうところ、妻に頭が上がらないところ、善一のチャーミングさ全開の回でした。

 ところで、スズ子は悩みがあるといつも羽鳥家に相談に行きますが、たまには下宿していたチズ(ふせえり)のところにも顔を出しているのでしょうか。

 あれ以来、一度も出てこないので安否も含めて心配です。おでん屋の伝蔵(坂田聡)さんも。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


永野芽郁が「清純派」って誰が言った? 批判するのはお門違いなワケ。江頭2:50への“涙”も大正解!
 日曜劇場『キャスター』(TBS系)で共演中の韓国人俳優であるキム・ムジュンを自宅に連れ込みお泊りし、なんとその翌日に妻...
堺屋大地 2025-05-02 06:00 エンタメ
「あんぱん」蘭子と豪の秘めたる恋に“過去の名作”を思い出す。河合優実は百恵ちゃんによく似ている
 縁談の返事をしに出掛けた蘭子(河合優実)を連れ戻したのぶ(今田美桜)に、蘭子は本心を明かす。季節は巡って秋になり、うさ...
桧山珠美 2025-05-01 19:16 エンタメ
なにわ男子・道枝駿佑は“肉食女子”から守られたのか?「キャスター」男性俳優陣が気になるよ
 芸能界広しといえども清純派と呼べるのは芦田愛菜だけ。長年、そう訴えてきましたが、今回の一件が図らずともそれを証明したの...
共亜事件は「虎に翼」のオマージュか。あんぱん、ブギウギの3人が同時代を生きている
 昭和11年、家族や嵩(北村匠海)に見送られ、のぶ(今田美桜)は女子師範学校の寮に入る。軍国主義の担任・黒井雪子(瀧内公...
桧山珠美 2025-04-28 18:40 エンタメ
「あんぱん」最後まで毒親だった登美子(松嶋菜々子)。去っていく彼女に問うてみたいこと
 受験したのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の明暗が分かれる。静まり返った柳井家で、寛(竹野内豊)たちに頭を下げる嵩。そこ...
桧山珠美 2025-04-26 12:50 エンタメ
春ドラマの評判を調査!『最後から二番目の恋』は令和の鬼渡?『あんぱん』『対岸の家事』の感想は
 2025年4月期も話題のドラマが続々スタート! 多すぎてどれを見るのか迷ってしまう…。そんな人のために忖度なしでドラマ...
「あんぱん」千尋(中沢元紀)は本当に良い子…史実どおりの展開なのか。しょくぱんまんのようなイケメンだ
 けんかした嵩(北村匠海)と千尋(中沢元紀)に、寛(竹野内豊)は改めて後継ぎはいらないと告げる。そして、何をしながら生き...
桧山珠美 2025-04-23 17:51 エンタメ
こうでなくちゃ! 志尊淳の正解を「恋は闇」で見た。いい人よりも“妖しい姿”に妄想が駆り立てられる
 新ドラマ「恋は闇」(日本テレビ系)の志尊淳が良きです。  前クールの「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった...
「あんぱん」なんて贅沢!今が旬、河合優実の“目で語る”表現力と色気に驚く。俳優・ソニンのEE JUMP感を消した演技も見事
 なりたい夢を見つけたのぶ(今田美桜)は、女子師範学校合格に向けて猛勉強をし始めるが、成績が思わしくなく頭を抱える。同じ...
桧山珠美 2025-04-21 14:23 エンタメ
怪演・市原隼人に「ヤバい超大物」2人が熱烈ラブコール。迫真すぎる“ガンギマリ”の演技がモテる理由か
 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)にて、盲目の大富豪にしてゾクッとする異様な雰囲気を放つ鳥山検校を怪演...
堺屋大地 2025-04-21 06:00 エンタメ
ラランド・サーヤは「名誉男性」なのか? お笑い界の“女すぎる”という悪口に思うこと
 ラランド・サーヤが参加するバンド「礼賛」が大阪で行ったライブで、痴漢行為が発生。被害女性がSNSで被害を訴えたことで発...
帽子田 2025-04-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」松嶋菜々子の“毒”さえチャーミングにする厄介な美しさ。ドキンちゃんにも見えてしまった
 8年間音沙汰のなかった登美子(松嶋菜々子)が突然帰ってくる。登美子に対してわだかまりが残ってはいるものの、自分の漫画を...
桧山珠美 2025-04-19 06:00 エンタメ
「あんぱん」登美子(松嶋菜々子)の登場が不穏…色っぽいけど。貴島中尉(市川知宏)は“あのキャラ”を意識?
 新聞社に出した漫画で賞金をもらい、ご機嫌の嵩(北村匠海)。一方のぶ(今田美桜)は、パン食い競走で転びそうになったところ...
桧山珠美 2025-04-17 16:02 エンタメ
カトパンへの嫌味に物議…新井恵理那は承認欲求のカタマリか、悪役を演じる聖人か?
 昨年3月、8年間出演して総合司会も務めていたテレビ朝日系の朝の情報番組『グッド!モーニング』を降板したフリーアナウンサ...
堺屋大地 2025-04-17 06:00 エンタメ
【募集】春ドラマ何見る? 面白かった&ガッカリを教えて!『最後から二番目の恋』『あんぱん』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「期待している」「面白...