第111回ブギウギの“三大なぁぜなぁぜ”…畑仕事する農家の手じゃない!

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-03-08 15:50
投稿日:2024-03-08 15:50

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第23週「マミーのマミーや」#111

 梅吉(柳葉敏郎)が亡くなった。葬儀では松吉(木内義一)が号泣しながら、遺影の自慢をする。

 そんな中、スズ子(趣里)は、葬儀に参列していた杖をつきながら歩く初老の女性と目が合う。

 それは、およそ15年前に一度だけ話をしたことがあるスズ子の生みの親、キヌ(中越典子)だった。

 あのときは幼かった2人の息子たちも今では立派な青年となっていた。

 スズ子は、キヌと2人で話をすることになる。

【本日のツボ】

なぁぜなぁぜ 疑問あれこれ

 ※※以下、ネタバレあります※※

 梅吉の葬儀に参列する実の母・キヌを一瞬で見つけるスズ子。15年前に一度会ったきりなのにすぐにわかったのは、やはり血のなせる業でしょうか。

 生みの母とはいえ、人生で2度しか会っていないわけで、さぞや話も盛り上がらないことでしょう。

 キヌを演じた中越典子は実年齢44歳。白髪やメイクで老けて見せても、地肌のキレイさは隠せません。

 なによりも驚いたのは手です。手タレかというほどそれはそれは美しい手で、とてもですが毎日、土にまみれて畑仕事をしてきた手には見えません。なんとかならなかったのでしょうか。

 23年前に中越がヒロインをつとめた朝ドラ「こころ」で、中越の母を演じたのが趣里の母、伊藤蘭。そんな繋がりで今回の役に起用されたのかもしれませんが、それならばいっそ、ランちゃんのサプライズ出演でもよかったぐらいです。

 もうひとつ、愛子に「あのおばあちゃんは誰? マミーのお友達?」と聞かれ、ためらいつつも「マミーのマミーや」と答えるスズ子。それを少し離れたところで聞いていたキヌの姿がありました。

 自分のことを母と認めてくれたと、なんともいえない表情でこちらを振り返るキヌ。なかなかの名演技でした。

 今週のタイトルも無事回収、感動の場面ですが、ふと思ったのが「マミー」ということばに反応したキヌ。若いうちから奉公に出て苦労してきたキヌが「マミー」と聞いてすぐに母のことだとわかったのはどうしてなのか、と。

 その後の「愛子のおばあちゃんや」の台詞を耳にした後ならわかるのですが…。

亀は香川に残るのなぁぜなぁぜ

 もうひとつの疑問は六郎の亀のこと。愛子があんなに可愛がっているのだから、てっきり譲り受けるのかと思ったら、そうではなかったようで…。

 スズ子もスズ子で、亀の代わりにキヌから貰った実父の形見の金の時計を渡すって、どういうこと?

 いくつものなぁぜなぁぜが湧き出た回でした。

 次週、日本で一番刑事の似合う俳優、内藤剛志が刑事役で出演。こちらも右京さん(水谷豊)ならよかったのに、と思ったり。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


優三も草葉の陰で苦笑い? 前代未聞な別れの“懺悔”は直言らしい名場面に
 直言(岡部たかし)は栄養失調と肺炎でもう長くはないと診断される。直言が大事なことを隠していたと知った寅子(伊藤沙莉)の...
桧山珠美 2024-05-30 18:50 エンタメ
「見るんじゃない」と直言。ダチョウ倶楽部の“押すなよ、押すなよ”を彷彿
 直言(岡部たかし)の体調が優れない。寅子(伊藤沙莉)と直明(三山凌輝)はマッチ製造の仕事を紹介してもらい、はる(石田ゆ...
桧山珠美 2024-05-28 15:30 エンタメ
視聴率苦戦だから失敗に物申す!山下智久と錦戸亮、5年ぶり民放作の意義
 山下智久(39)が主演を務める「ブルーモーメント」(フジテレビ系)、錦戸亮(39)がキーマンとして出演する「Re:リベ...
こじらぶ 2024-05-25 06:00 エンタメ
「おいしいものは一緒に」出征前の河原デート。はて?初回を思い出すと…
 寅子(伊藤沙莉)は訪ねてきた後輩の小泉(福室莉音)から、女子部が閉鎖されることになったと知らされる。  今年は高...
桧山珠美 2024-05-24 15:30 エンタメ
優三の優しさシャワー全開!寅子のゴロゴロ床入り作戦も大成功だった神回
 昭和17年3月。直言(岡部たかし)の工場は軍からの注文が途切れず、順調に稼働を続けていた。戦時下で食べ物が貴重になる中...
桧山珠美 2024-05-21 15:30 エンタメ
朝ドラヒロインは「大日本国防婦人会」と揉めるのがお約束
 結婚した寅子(伊藤沙莉)は弁護の依頼も来るようになり順調な日々を送る。  ある日、手伝いとして働くよね(土居志央...
桧山珠美 2024-05-20 15:30 エンタメ
角界一の美容力士・翔猿らが明かした脱毛&モテ事情、全力で推したいのは
 圧倒的な強さと精神力、鍛え抜かれた筋肉美、昭和の名横綱“ウルフ”千代の富士、整った顔立ちと沸き立つ色気がたまらない“各...
「僕じゃ駄目かな」あすなろ白書のキムタクを想起、優三渾身のプロポーズ
 寅子(伊藤沙莉)は、弁護士として社会的な信用を得るためにお見合いをさせて欲しいと直言(岡部たかし)とはる(石田ゆり子)...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ
事件はいつも「あの階段」で起こる! 岩ちゃん演じる花岡もう婚約
 晴れて弁護士になったが、女性であることを理由になかなか依頼をしてもらえない寅子(伊藤沙莉)。「女の幸せより大事なものか...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ
炎上芸人・粗品は松本人志にビビってない!キンプリへの暴言も計算済み?
 2018年にコンビとして『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)のチャンピオンとなり、2019年にピン芸人として『R-1ぐ...
堺屋大地 2024-05-15 06:00 エンタメ
「握手」の演出に伏線?寅子と花岡は友情の証、優三のそれとは真逆だった
 寅子(伊藤沙莉)の1年先を行く花岡(岩田剛典)は司法修習後の試験に合格。どうしても早く伝えたいと寅子に電話をしてきたの...
桧山珠美 2024-05-14 16:00 エンタメ
あぶ刑事ヒットならドラマ化も?柴田恭兵の“枯れた老人”は世を忍ぶ仮の姿
 先月までNHK-BSで放送していた「舟を編む~私、辞書つくります~」はなかなか素敵なドラマでした。  三浦しをん...
映画『広末涼子』(仮)の鳥羽氏は中盤キャラ?スキャンダル史まだ続く説
 昨年6月、人気シェフ・鳥羽周作氏とのダブル不倫が報じられ、無期限の謹慎処分を受けていた広末涼子。その後、夫だったキャン...
堺屋大地 2024-05-11 06:00 エンタメ
花岡(岩ちゃん)、寅子に匂わせプロポーズ!?でも黄色いバラの花言葉は…
 とうとう合格した寅子(伊藤沙莉)、先輩の久保田(小林涼子)、中山(安藤輪子)。そして寅子と合格者が3人も出たことで、廃...
桧山珠美 2024-05-10 15:30 エンタメ
生田斗真“無痛おねだり”大炎上の後始末 羊水発言は“謹慎4カ月”だったが…
 俳優の生田斗真(39)が大炎上している。生田はインスタグラムのストーリーズで、ファンから質問に回答する企画で「今日で妊...
優三のいい人キャラさく裂!予告でヒヤリとした梅子の断崖絶壁シーンも〇
 涼子(桜井ユキ)と香淑(ハ・ヨンス)の思いを背負って、寅子(伊藤沙莉)たちは再び高等試験に挑むが、今度は梅子(平岩紙)...
桧山珠美 2024-05-09 16:30 エンタメ