超鈍感力! 羽鳥の絶縁宣言を屁とも思わないスズ子とタケシは似た者同士

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-03-26 15:40
投稿日:2024-03-26 15:40

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第26週「世紀のうた 心のうた」#123

 歌手引退――。スズ子(趣里)はその決断を、愛子(このか)や大野(木野花)に伝えた。

 羽鳥善一(草彅剛)に絶縁すると言われ、タケシ(三浦獠太)が大反対し家から飛び出していっても、スズ子の決心は揺らぐことはなかった。

 スズ子は、同志でありライバルである茨田りつ子(菊地凛子)にもその思いを伝える…。

 一方で、羽鳥はスズ子の引退を思いとどまらせることができないかとりつ子に相談をする。

【本日のツボ】

羽鳥の絶縁宣言を屁とも思わないスズ子

 ※※以下、ネタバレあります※※

 25日放送回で、「もしも君がほんとうに歌手を辞めるというなら、僕は君と絶縁します」と羽鳥に宣言されていたスズ子。その場では涙ぐんでいましたが、決意は変わらないようで…。

 りつ子にも、相談ではなくあくまでも報告。「そう、それは残念ね」と言うりつ子に対して、「えっ! 茨田さんやったら、『そう。勝手に辞めたら』とか言わはるって思ってましたわ~」とりつ子のものまねも交え、どこかおどけた感じ。

 そんなスズ子に、「あなたとは同志だと思ってきたから。そう。歌手として女として同じ時代を生きてきた同志。だからあなたの決断を尊重します」と。

 あの、なかなか人を認めない茨田りつ子に同志と言われても、「私は生涯歌い続けるわよ、1日でも長く」と言われても、その意志は変わりませんでした。

 さらに、りつ子に羽鳥に報告したのかと聞かれ、「ほんまに引退したら絶縁する言われました」と。

 絶縁という言葉は相当重いと思うのですが、スズ子のあの感じだと「ま、なんとかなるやろ」と思っているようにしか見えません。羽鳥もずいぶん軽く見られたものです。

人並みはずれた鈍感力と、女性らしい可愛さ

 スズ子と羽鳥の師弟を超えた関係に、りつ子も、そして、羽鳥の妻・麻里(市川実和子)も嫉妬していたというのは、これまでのドラマを見ていれば、誰でもわかることですが、スズ子はまったく気づいていなかったという描き方が面白く…。

 スズ子の人並みはずれた鈍感力と、りつ子と麻里の女性らしい可愛さが同時に伝わってきました。

 それにしても、タケシの「僕はスズ子さんについた時、正直、スズ子さんの歌の良さがわかりませんでした」発言には仰天です。

 スズ子のコンサートを舞台袖で初めて見た時に、てっきり覚醒したとばかり思っていたのですが、どうやら違ったみたいです。

 あの時の拍手はなんだったのでしょう。スズ子とタケシ、案外、似た者同士なのかもしれません。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


伊藤健太郎は破局して正解! “小栗旬軍団”加入でバーター出演の機会にも恵まれる
 伊藤健太郎が帰って来ました。これは朗報です。あの不祥事からかれこれ4年。本人も充分反省しているようですし、そろそろ許し...
【写真特集】背中ぱっくりドレスを着こなす滝クリ。健康的な美脚も披露!
【この写真の本文に戻る⇒】滝川クリステルに「好きになれない」の声多数。バリキャリだけど同性ウケしないのはなぜ?
航一も明治生まれの男。娘に手を上げるのか!? と一瞬緊張が走ったシーン
 のどか(尾碕真花)の婚約者・誠也(松澤匠)が星家にやってくる。しかし、星家では航一(岡田将生)と優未(川床明日香)が優...
桧山珠美 2024-09-12 17:15 エンタメ
「東出昌大の再婚を叩いたら負け」なのか? SNS社会は彼に試されている…
 2015年1月、朝ドラ『ごちそうさん』で夫婦役を演じた杏と結婚して3人の子を授かるも、映画『寝ても覚めても』で共演して...
堺屋大地 2024-09-11 06:00 エンタメ
夫婦水入らずの何気ないシーンが描いたもの。爆速で進む物語、子どもたちは誰が誰やら…
 8年にも及ぶ「原爆裁判」を終えた寅子(伊藤沙莉)たち。竹中(高橋努)は渾身の記事を書き、よね(土居志央梨)と轟(戸塚純...
桧山珠美 2024-09-12 16:53 エンタメ
【写真特集】若っ!金髪姿の岡田将生。浴衣、くるんくるんパーマヘアも…
【この写真の本文に戻る⇒】岡田将生「ラストマイル」沼にハマる人続出!「虎に翼」との共通項も考察
岡田将生「ラストマイル」沼にハマる人続出!「虎に翼」との共通項も考察
この投稿をInstagramで見る 映画『ラストマイル』公式【大ヒット上映中】(@...
朝ドラ史上、いやテレビ史上に残る名判決シーン。「政治の貧困」の言葉が胸に突き刺さる
 昭和38年6月、桂場(松山ケンイチ)は最高裁判事のひとりに任命される。  竹もとで修業に励む梅子(平岩紙)、そし...
桧山珠美 2024-09-07 06:00 エンタメ
夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り
 昭和37年1月、「原爆裁判」の原告のひとり、吉田ミキ(入山法子)が法廷に立つことを承諾。広島から上京してきたミキを、原...
桧山珠美 2024-09-05 17:30 エンタメ
虎に翼の脚本は朝ドラ特有の“中だるみ”なし!塚地出演「あさイチ」との連携プレイにも救われた
 昭和34年、優未(毎田暖乃)は高校1年生に。直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、猪爪家はますますにぎ...
桧山珠美 2024-09-02 17:30 エンタメ
東出昌大“狩猟系イケメン”面目躍如。通り過ぎていった女性たちは何を思う
 期待に応える男、東出昌大(36)がまたまたやってくれました。今度は“デキ婚”ですって。いつかやってくれるだろうとは思っ...
第110回感動のラストシーン! 余貴美子演じる百合さんの“ある台詞”がとっても可愛かった
 寅子(伊藤沙莉)たちとの同居がつらいと本心を語り、家を出ようとするのどか(尾碕真花)。そんな彼女に、優未(毎田暖乃)は...
桧山珠美 2024-08-31 06:00 エンタメ
【写真特集】10年前の初々しい東出昌大。オールバック、ナチュラル、横流し…髪型3変化
【この写真の本文に戻る⇒】杏との離婚から4年、東出昌大“デキ再婚”で話題の養育費問題。子のために前妻が即やるべき事【弁護...
虎に翼108回目でお見事だった2つのシーン。世の中の“普通人”の理不尽な思いを代弁させた
 稲垣(松川尚瑠輝)と小橋(名村辰)にも手伝ってもらい、裁判所で中学生向けの法律の勉強会を開いた寅子(伊藤沙莉)。だが話...
桧山珠美 2024-08-28 17:15 エンタメ
松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
「生きるお笑い界の伝説」ことダウンタウン松本。還暦を迎えた今も大人気の冠番組を複数抱え、お笑い界で最も大きな発言権を誇る...
帽子田 2024-08-28 09:38 エンタメ
なんて賢い子!“星家イチのオトナ”が優未だった件。27日あさイチに“料理男子”井上祐貴が降臨
 寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)は星家で暮らし始めるが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕...
桧山珠美 2024-08-26 17:35 エンタメ