朝ドラ史上初の快挙!ヒロインの月のもの(生理)事情が描かれた

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-04-15 15:48
投稿日:2024-04-15 15:40

NHK朝ドラ「虎に翼」~第3週「女は三界に家なし?」#11

 生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため2年生の寅子(伊藤沙莉)たちは先輩の久保田(小林涼子)・中山(安藤輪子)と法廷劇を上演することになる。

 演目は実際の判例を元にした「毒まんじゅう事件」。脚本は涼子(桜井ユキ)が担当。

 よね(土居志央梨)でさえ、居場所を守るために参加すると言い、喜ぶ寅子。準備のため寅子の家に集まって衣装制作を行うことに。

 しかし花江(森田望智)は浮かない顔で…。

【本日のツボ】

お月のもの

 ※※以下、ネタバレあります※※

 昭和8年。週が明けたら、寅子たちがもう2年生になっていたのは驚きです。物語も寅子も全力疾走中。ぼやぼやしていたらおいていかれてしまいそうな勢いです。

 3年生はとうとう2人に。2年生も60人いた同級生が20人に減りました。自分たちの居場所を失わないよう、女子部存続のために奮闘する寅子。

 春から入学した後輩たちのお世話に、女子部の待遇改善を求めて大学に交渉したり、有志で行う傍聴会など多忙を極めている様子です。

 場面変わって、自宅玄関でしゃがみ込み、ため息をつく寅子。雄三(仲野太賀)の前では平静を取り繕ってはいましたが…。

 自分の部屋でもため息をつく寅子。よくよく見ると右手は袴の中でお腹をさすっているような。なんともいえないような苦い顔です。

 袴を脱ぎかけ、中を見て「うぁー」と心底嫌そうに天を仰ぎました。

 寅子に何が起こったのか。布団を被って寝ていた寅子が顔を出したところで、「寅子はお月のもの、つまり、月経が少々人より重めでした」とナレーションの声。

 よもや朝ドラのヒロインの月のもの(生理)事情が語られる日が来るとは!

 間違いなく、朝ドラ史上初の快挙です。さすが「生理のおじさんとその娘」(NHK)の脚本家です。

4日間学校を休んだトラコに…

 朝食を取りながらも、普段とは明らかに様子が違う寅子に、「まだ寝てたほうがいいんじゃない?」と労わるように声をかける母・はる(石田ゆり子)。

 それに引き換え、「毎日、傍聴だ、水泳だって忙しいからトラは」と寅子の憂鬱をみじんも理解していない父・直言(岡部たかし)の能天気さにイラっとしました。

 たしかに100年後の今でも男性の前で生理の話をするのは抵抗があるわけで、寅子の時代ならなおさらです。

 それにしても、当時はナプキンもタンポンもなく、どういうケアをしていたのか、気になってしまいました。

 寅子のため息に、花江のため息、今週は女性たちの“ため息”がポイントになりそうです。

【おまけのツボ】

法廷劇「毒まんじゅう事件」

 寅子が弁士になり、モノクロの無声映画のような仕様で語られる「毒まんじゅう事件」。このパターンもあるのか、とその遊び心に嬉しくなりました。

 難しい事件の内容も一気に入ってきて一石二鳥です。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


『バチェラー6』第4話を正直レビュー。石森さんまさかの本命? みんな久次米さんの魅力をもっと伝えて~!
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第4話。ホワイトローズを受け...
中村未来 2025-06-18 06:00 エンタメ
奥平大兼、世間とのギャップに戸惑い「僕のプライベートを見たら驚くと思う」悩んだときの考え方は?
 長澤まさみさんと共演した映画『MOTHER マザー』でのデビューに始まり、映画やドラマで常に心に残る芝居を見せている奥...
望月ふみ 2025-06-18 06:00 エンタメ
田中圭ショックか?木梨憲武、玉木宏ら「夫婦円満」をアピールするイケメンたち。向井理も丸くなった
 サントリー「角瓶」のCMが新しくなりましたね。「♪ウィスキーがお好きでしょ」の歌をバックに、バーテンダーの井川遥と客の...
「あんぱん」嵩(北村匠海)と健ちゃん(高橋文哉)コンビが心強い。岩男には“嫌な予感”しかない…
 嵩(北村匠海)は、絵の才能を見込まれ宣撫班勤務を命じられる。宣撫班では紙芝居を見せていた市場でひと騒動があったといい、...
桧山珠美 2025-06-16 16:45 エンタメ
前田敦子の「アイドル否定発言」に物議。卒業後に佐藤健と撮られても、現役時は“偶像”を演じきったプロなのに
 先月、『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ系)に出演した元AKB48の前田敦子。番組内で「『アイドルになりた...
堺屋大地 2025-06-16 06:00 エンタメ
ジュニア退所は「timeleszのせい」…何かと荒れるタイプロ界隈、それでも彼らは“必要だった”といえるわけ
 6月2日、STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所。以下、SE社)のジュニア内グループ・Go!Go...
こじらぶ 2025-06-23 18:09 エンタメ
「あんぱん」戦場での緊迫シーンにホッ。嵩(北村匠海)らの“偶然の再会”、まるでドラマみたい…は禁句です
 小倉連隊に動員が下令され、嵩(北村匠海)は中国に行くことに。出発前日、嵩はひとり星を眺める八木(妻夫木聡)にこれまでの...
桧山珠美 2025-06-16 16:27 エンタメ
【話題】岸田文雄氏、“元総理系YouTuber”がトレンド入り「辞めてからのほうが楽しそうだな」「なんか複雑」賛否の声
 Xはじめ、さまざまなSNSで発信活動を行っている第100・101代内閣総理大臣の岸田文雄元首相。6月12日に岸田元首相...
『バチェラー6』第3話を正直レビュー! いまだ久次米さんのツボがわかりません。決め手は「LOVE」より「自然体」なのか? となると…
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第3話です。村岡さん、河地さ...
中村未来 2025-06-13 06:00 エンタメ
黒谷友香、50歳目前で感じる“服選び”の変化「ファッションは失敗してもいい」ステキでいられるコツとは?
 高校在学中から雑誌のファッションモデルとして活動を開始し、俳優に転身後、ドラマ『はみだし刑事情熱系』『ハンチョウ〜神南...
望月ふみ 2025-06-13 06:00 エンタメ
『バチェラー6』第2話 正直レビュー。劇的なデート、私たちはこれが見たかった! でも黒澤さんは恋してる?
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第2話です。  前回、...
中村未来 2025-06-12 14:53 エンタメ
「あんぱん」嵩(北村匠海)まさかのスピード出世! …で、階級“乙幹”ってなに?
 厩舎で居眠りしてしまったものの、神野(奥野瑛太)に頼まれた島(横田栄司)の取り計らいで受験できた嵩(北村匠海)は、乙種...
桧山珠美 2025-06-16 16:27 エンタメ
ミセス大森元貴と鎮西寿々歌、匂わせ投稿が話題だが…どこから“共通点”を特定する? 相手を許せないファン心理
 人気バンド「Mrs.GREEN APPLE」のボーカルでギターの大森元貴(28)と、アイドルグループ「FRUITS Z...
「イエエエーーーイ!」中川翔子、サンシャイン池崎ら『Switch 2』をめぐる有名人の叫び。一方、宇野昌磨は…
 6月5日に発売された「Nintendo Switch 2(以下、Switch 2)」。シリーズ待望の次世代機であり、発...
『バチェラー6』第1話 正直レビュー。令和の王子・久次米さんにドキドキが止まらないのだが。恋リア界隈のネットワークって何なの?
 ついに始まりました、待望の『バチェラー・ジャパン』シーズン6! シリーズの大ファンである筆者が、第1話を、正直にレビュ...
中村未来 2025-06-12 14:53 エンタメ
「エール」から「あんぱん」に再登場。軍人役はやっぱりこの人がハマる。八木上等兵(妻夫木聡)は何者だ?
 嵩(北村匠海)は高知連隊から福岡の小倉連隊に転属。新兵教育係の馬場(板橋駿谷)ら先輩兵士の厳しい指導の下で過酷な軍生活...
桧山珠美 2025-06-09 13:30 エンタメ