ブギウギ最終回、水を差すようでスンマセン! 残念すぎる4つの演出と描写

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-03-30 11:41
投稿日:2024-03-29 14:30

NHK朝ドラ「ブギウギ」~第26週「世紀のうた 心のうた」#126

 スズ子(趣里)のさよならコンサートが始まる。客席には懐かしい多くの面々がかけつけている。茨田りつ子(菊地凛子)、愛子(このか)らが見守る中、舞台に登場するスズ子。

 歌を愛し、家族を愛し、義理と人情に満ち、ズキズキ・ワクワクしながら、多くの人々に歌で勇気を与え続けた歌手・福来スズ子の最後のステージ。

 照明が落ち、静まる客席。その中で、羽鳥善一(草彅剛)のピアノ伴奏が静かに始まる。

【本日のツボ】

さだまさしもビックリなロングトーク

 ※※以下、ネタバレあります※※

「皆さん、きょうはワテのさよならコンサートにこないにぎょうさん起こしいただいて、ほんまに、感謝の言葉しかありません」

 ――そんなスズ子のお喋りからスタートした「さよならコンサート」。お喋りが長すぎてさだまさしもビックリですわ。

 そして、羽鳥のピアノはスローなテンポで。「東京ブギウギ」をたっぷりの感情を込めて歌ったところで、羽鳥渾身の「トゥリー、トゥー、ワン、ゼロ」からの盛り上がり。最終回も見事なステージでした。

 そんな素晴らしいステージに水を差すようでなんですが、たった1曲で終わってしまったのは残念です。

 ナレーションに「この日、スズ子は羽鳥善一から贈られた全ての曲を心に刻み込むように歌いきりました」とありましたが、だとしたらあと2、3曲はやって欲しかったです。

 それにしても、おそらく1曲目と思われる「東京ブギウギ」を歌いきったあと、スズ子はステージにひざまずき、投げキッスならぬ置きキッスをしました。

 これまでの感謝ともう二度とここには帰ってこないという決意のようかと思いましたが、そのあとに何曲も歌ったとしたら違和感ありです。

 あのパフォーマンスは、白いマイクを置いてステージを去った山口百恵のように、最後の最後にやってこそ伝説になるのに…。

服部家3代揃い踏み

 客席には懐かしの顔ぶれがありました。梅丸同期の和希(片山友希)の抱いていた幼子、あれはおそらくただの布。せめて人形を抱かせて欲しかった

 そして、スズ子の初恋の人、松永(新納慎也)。私の記憶が正しければ、彼は梅丸を裏切り、スズ子を引き抜こうとしたはず。

 なので、梅丸歌劇団の林部長(橋本じゅん)と梅丸楽劇団制作部長の辛島一平(安井順平)、梅丸関係者2人の間にいるのは相当気まずいんじゃないかと思うのですが…。

 ツボ的な最後の見どころは、「服部家3代揃い踏み」でしょう。「ブギウギ」音楽担当の服部隆之は指揮者で、その父・服部克久(役名・勝男)は客席に、そして、草彅演じる祖父・服部良一(役名・羽鳥善一)はピアノ演奏と、夢の共演になりました。

公演祝いの花に懐かしの名前

 楽屋の花にも注目です。よく目を凝らして見れば、「はな湯 伊福部玉五郎・光子、常連客一同」「小村五郎 チズ」「おでん屋 坂田伝蔵」「福来スズ子とその楽団 元メンバー一同」とあります。

 さらに、大阪に帰ったタイ子(藤間爽子)や、アメリカに行った小夜(富田望生)からの手紙も。いささか無理やりな感じもしますが、みんな生きていて「ハッピーカムカム」。

 ともあれ、歌にダンスにお芝居に、スズ子役の趣里は小さな体でよく頑張りました。本当にお疲れさまでした。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


【ブルーボーイ事件】性転換手術の医師をさばいた60年前の実話。その判決は?
【孤独のキネマ】  ブルーボーイ事件   (配給:日活/KDDI)全国公開中   ◇  ◇  ◇  筆者は日刊ゲン...
2025-11-14 17:03 エンタメ
放送40周年『アッコにおまかせ』が終了しますが、長寿番組の止め時はどうやって判断していますか?
【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】  そうなんですよね…「いよいよ」って感じですよね。これは以前にも別のところに書...
2025-11-14 17:03 エンタメ
昭和100年という節目に終焉した仲代達矢の軌跡 「影武者」代役出演時の勝新太郎との確執
 11月8日、俳優の仲代達矢が肺炎のため、92歳で亡くなった。これで第2次世界大戦後、日本映画に黄金時代を築いた三船敏郎...
2025-11-14 17:03 エンタメ
「DOWNTOWN+」50万人登録は個人視聴率0.43%に相当 新プラットフォームの今後を占う
 11月1日にスタートした、有料動画配信サービス「DOWNTOWN+」(ダウンタウンプラス)の加入者が50万人を突破した...
2025-11-14 17:03 エンタメ
森七菜の出演作にハズレなし! 岡山天音「ひらやすみ」で《ダサめの美大生》好演&評価爆上がり
 森七菜(24=写真)、完全に追い風に乗ったようだ。現在は岡山天音(31)主演のNHK夜ドラ「ひらやすみ」(月~木曜夜1...
2025-11-13 17:03 エンタメ
Perfumeあ~ちゃんの結婚発表とこれまで封印してきた3人のマル秘私生活…残る2人も続いてゴールイン?
 3人組テクノポップユニット「Perfume(パフューム)」のあ~ちゃん(36)が11月11日に自身のインスタグラムで一...
2025-11-13 17:03 エンタメ
FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?
 フジテレビは、嵐の相葉雅紀(42)が司会を務める音楽の祭典「2025 FNS歌謡祭」を、12月3日と10日の2週連続で...
2025-11-13 17:03 エンタメ
福山雅治の「不適切会合問題」で紅白に地殻変動が? “やらかし”がPerfume「トリor大トリ」誘発の可能性アリ
 今年も残すところ2カ月弱。ぼちぼち「紅白内定!」なんてニュースが出始めているが、例年通りの「当確」に注目が集まった人物...
2025-11-13 17:03 エンタメ
「抱きたいでしょ!」名場面が誕生!? これぞ『ばけばけ』、シリアスとコミカルの絶妙な塩梅が最高
 物乞いとなったタエ(北川景子)の前に記者の梶谷(岩崎う大)が取材をしたいと現れる。三之丞(板垣李光人)はタエを守るため...
桧山珠美 2025-11-13 13:05 エンタメ
Number_iとキンプリ、年末特番での共演はあるか? 山下智久&赤西仁に見る“脱退グループ”との関係性
 2025年も年末が近づき、音楽特番への出演者発表でそれぞれのアーティストのファンが盛り上がりを見せている。そんな中、注...
こじらぶ 2025-11-13 11:45 エンタメ
畑芽育には12歳にして風格が…その予感通りに親しみやすい「国民のいとこ」のような女優になった
【2025秋ドラマ 注目美女の魅力と素顔】#4  畑芽郁  (終活シェアハウス/NHK BS)   ◇  ◇  ◇ ...
2025-11-12 17:03 エンタメ
「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因
 NHK連続テレビ小説「ばけばけ」が、9月29日の放送開始から第7週に突入した。第6週の週間平均視聴率(世帯)は14.9...
2025-11-12 17:03 エンタメ
N党・立花孝志容疑者逮捕で芸能界も激震…あの羽賀研二を映画化めぐる“名誉毀損”で激怒させていた
 ことし1月に亡くなった元兵庫県議に関する虚偽の情報を発信したとして、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志容...
2025-11-12 17:03 エンタメ
日テレ菅谷大介アナの急逝に悲しみ広がる…人望厚く後輩思いの“アナウンス部の神”だった
 消化管からの出血のため8日に急逝した日本テレビの菅谷大介アナウンサー(享年53)の突然の訃報に悲しみが広がっている。 ...
2025-11-12 17:03 エンタメ
高市首相に上がり始めた「午前3時のヒロイン」の呼び名 総裁選当選直後から「福田麻貴に似ている」の指摘
 世間をアッと驚かせた高市早苗首相(64)の「午前3時の勉強会」。衆院予算委員会の答弁に臨むためだったとの説明だったが、...
2025-11-12 17:03 エンタメ
【芸能クイズ】難易度高い!? 藤岡弘、の「直筆メッセージ入りマグカップ」に書かれている四字熟語は?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...