『虎に翼』脚本家、アニメ界でなぜ高評価?朝ドラ人気の要因は公平な目線

コクハク編集部
更新日:2024-05-09 06:00
投稿日:2024-05-09 06:00

アメリカの賞にも輝いた吉田恵里香の脚本

 NHK連続テレビ小説『虎に翼』が好評だ。主人公は日本初の女性弁護士・三淵嘉子をモデルとした猪爪寅子。彼女が投げかける疑問点は現代の女性が抱える問題にも通じ、視聴者への問題提起ともなっている。

 そんな真摯なテーマをテンポよく、重くなりすぎずに問いかける脚本が「秀逸」と評判のようだ。

『虎に翼』の脚本を担当するのは、NHKドラマ『恋せぬふたり』で第40回向田邦子賞を受賞した吉田恵里香氏。実は彼女が書くのはドラマだけではない。これまで数々のアニメ脚本も手掛けており、アメリカのアワードである「9th Anime Trending Awards(第9回 アニメトレンド大賞)」では最優秀脚色賞を受賞している。

 漫画原作付き作品のメディア化は騒動となることが多い昨今、アニメ業界においても吉田氏が評価される理由はどこにあるのか。

 吉田氏の手掛けたアニメ作品を振り返りながら、業界内やファンの間での評判を関係者に聞いた。

個を尊重しながら“ありのまま”を描く

 アニメ誌で長年執筆するライターはこう語る。

「吉田さんがアニメファンの間で大きな注目を集めたのは、やはり上記の賞を受賞した『ぼっち・ざ・ろっく!』でしょう。本来、淡々と進む4コマ漫画原作をアニメ化するのは難しい。一方、吉田さん脚本は、友達がいない主人公がバンド活動に目覚めるまでの様を丁寧に描いていて、“陰キャに対する解像度が高い”と放送直後から評価がうなぎ登りでした」(アニメ誌ライター/以下同)

 その理由を、吉田氏の“物事を見る視点”にあるのではないかと分析する。

「インタビュー等を読むと、人間の感情や人間関係の多様さに対して非常に公平な視点を持っており、積極的に作品にも取り込んでいるようです。多数派の価値観を押しつけるのでもなく、少数派に過剰に肩入れするのでもない。

 しかもそれを“政治的”に主張するのではなく、何よりも〈個〉の尊厳を重視しながら“ありのまま”に描くことを目指しているように感じます」

 特筆すべきは、漫画を原作としたドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(20年10月期放送、テレビ東京)だという。

 吉田氏が手掛けたのはアニメ版ではなくドラマ版ではあるものの、元々はいわゆるオタク女性から支持を受けているBL作品だ。

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


スズ子出生の秘密に迫る香川編、ナニワの至宝&大地真央のヅカ同期が登場
 スズ子(趣里)と六郎(黒崎煌代)のふたりは、梅吉(柳葉敏郎)とツヤ(水川あさみ)の故郷である香川を訪れる。スズ子が小学...
桧山珠美 2023-10-28 06:00 エンタメ
魂のラインダンスに涙、涙…入浴シーンの「四季の宴」趣里、歌うまい!
 山寺でのストライキは団員たちの要求が全面的に受け入れられ、幕を閉じる。  山を降り、ようやくいつも通りの練習を始...
桧山珠美 2023-10-25 16:30 エンタメ
梅丸少女歌劇団による山寺でのダンスシーンはニュースになった“アレ”
 山寺でのストライキが続く中で、大和礼子(蒼井優)はスズ子(趣里)に自分の過去の話をする。両親に反対されて、縁を切ってま...
桧山珠美 2023-10-24 17:03 エンタメ
道枝駿佑“マイハル”の無表情は拙い?いいえ、ラストの笑顔のためだった!
 秋の新ドラマがスタートしています。いくつかチェックしましたが、ミステリーや考察ドラマって疲れて帰ってきた頭と体にはなん...
色恋に敏感なリリー、昭和8年が舞台の朝ドラに「百合」の描写は必要?
 大和礼子(蒼井優)はストライキをするしかないと言い出す。一方、橘アオイ(翼和希)は、お客様が大切だと言い、また、礼子が...
桧山珠美 2023-10-20 16:20 エンタメ
【写真特集】藤原大祐を直撃! ここでしか見られない本編&未公開カット含む全29枚!!
                                        ...
2023-10-20 06:00 エンタメ
直撃!俳優・藤原大祐の恋愛観「告白するなら年上、1回目のデートで」
 10月20日から全国公開となる新感覚ホラー映画「リゾートバイト」。小さな島の民宿でアルバイトする大学生たちに様々な怪奇...
2023-10-20 06:00 エンタメ
労働争議で板挟み…“スズ子の恩人”林部長役・橋本じゅんの意外な一面
 世界恐慌の波が押し寄せ、USKの賃金削減と人員削減が告げられる。一部の楽団員と新人の劇団員は解雇されてしまった。 ...
桧山珠美 2023-10-19 15:40 エンタメ
大和礼子(蒼井優)さまの箴言…誰にも負けないスズ子の個性とは?
 昭和8年。デビューから6年が経ち、スズ子(趣里)は脇役ながら劇団の中心メンバーとして活躍し、新人の教育係にもなっていた...
桧山珠美 2023-10-16 14:30 エンタメ
タバコの逢引き場面にズキュン!“喫煙イケメン”柳俊太郎にやられます
 コンプライアンスなるもののせいで、昨今のドラマはなにかと不自然なことが多いようで。  犯人が車で逃げるシーンで「...
朝ドラ本編とは別にオリジナルの舞台演目フルver.も制作、手が込んでいる
 鈴子(澤井梨丘)は1週間で稽古に復帰し、同期3人で切磋琢磨して稽古を続けた。  単独公演まで1カ月となり、鈴子た...
桧山珠美 2023-10-14 13:30 エンタメ
宝塚からセクシー女優に転身、“芸能人の有名税”となぶっていいのか
 セクシー女優という職業は、昔と比べると女性にとっても身近に感じる職業となってきました。モデルやグラビア、アイドルなど、...
大和礼子(蒼井優)が手渡したトンボ柄の布は…主人公・鈴子そのもの
 公演で橘アオイ(翼和希)の衣装の羽を忘れたことをきっかけに鈴子(澤井梨丘)たち3人は仲違いをしてしまう。  そん...
桧山珠美 2023-10-11 16:15 エンタメ
物語が動き出した2週目、鈴子指導役は宝塚不合格の現役OSK男役スター
 鈴子(澤井梨丘)は梅丸少女歌劇団(USK)に研究生として入団する。鈴子たち新入生は、まず先輩の稽古を朝から見て覚えてい...
桧山珠美 2023-10-09 15:20 エンタメ
ジャニーズの看板消滅…北公次のバク転から始まったイケメンアイドルたち
 ジャニーズ事務所の名称が10月17日からSMILE-UP.(スマイルアップ)に変更されるそうですね。頭では理解している...
ご意見番GACKTがバカなフリしてジャニーズ問題連投の訳、「貝」も得意
GACKT様(歌手、実業家・50歳)  GACKT様はセルフブランディングに余念がなく、常に自身の好感度アップのた...
堺屋大地 2023-11-14 16:25 エンタメ