優三のいい人キャラさく裂!予告でヒヤリとした梅子の断崖絶壁シーンも〇

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-05-09 16:30
投稿日:2024-05-09 16:30

NHK朝ドラ「虎に翼」~第6週「女の一念、岩をも通す?」#29

 涼子(桜井ユキ)と香淑(ハ・ヨンス)の思いを背負って、寅子(伊藤沙莉)たちは再び高等試験に挑むが、今度は梅子(平岩紙)の姿が会場にない。

 梅子を気にしながらも筆記試験を終えた寅子が帰宅すると、そこには梅子からの手紙が届いていた。

 夫から離婚を言い渡され、三男の光三郎(石塚陸翔)を連れて家を出たという。梅子が寅子たちに想いを託す中、寅子の口述試験の日がやって来る。

【本日のツボ】

優三(仲野太賀)のためにやった寅子の全力変顔

 ※※以下、ネタバレあります※※

 今週は、留学生の崔香淑が母国に帰り、華族の涼子が家を守るために結婚、梅子は夫に離婚を言い渡され、三男と家を出て…。高等試験間際に仲間が次々といなくなり、寂しくなりました。

 残った寅子とよね(土屋志央梨)は、志半ばで去らざるを得なかった女子部の仲間たちの想いを背負い、高等試験に挑みます。

 それにしても梅子です。先週、予告編で、2時間ドラマなどでよくみる断崖絶壁のようなところで、遠くを見つめているシーンがあり、よもやよもやと思いましたが、三男の光三郎も一緒だったので安心しました。母は強し。きっと力強く生きていくことでしょう。

 筆記試験を前に緊張する優三のために、寅子は変顔をして「つらくなったらこの顔を思い出して」と励まします。結果、寅子も優三も合格でした。官報に名前を見つけた2人の喜びようったら。優三に初めて〇がつきました。

 裁判所で、笹山(田中要次)に「試験はかなり手ごたえがあったんです」と訴える寅子に、「同じ成績の男と女がいれば、男をとる。それは至極まっとうな事だ。かなりの手ごたえ、なんて言っているうちは受かりはしない! 誰もを凌駕する成績を残さなければな」とは、桂場(松山ケンイチ)の言葉。愛のムチに聞こえたのは私だけでしょうか。

よねと優三は不合格に

 口頭試験前日、いつもより6日も前に月経が来てしまった寅子。ほんとうに鬱陶しい猪爪家では、寅子の月のもののことがオープンで、それには、若干の違和感がありますが、下宿人の優三もちゃんと心得ているようで頼もしいです。

 口頭試験を待ちながら、よねが教えてくれた三陰交のツボを押す寅子。あのときの回想シーンが重なり、胸が熱くなります。

 そして、合格発表の日。寅子は合格し、轟、中山、久保田も合格、日本初の女性弁護士が誕生しました。

 残念ながら、よねと優三は落ちてしまい、優三はこれで辞めにすると決断します。「寅子さんのおかげで、腹も下さず、全力を出し切った」と。

「ここが潮時です」と優三。「寅ちゃんもそんな顔しないで。凄いことを成し遂げたんだから、もっと喜ぼうよ」と、優三のいい人ぶりがさく裂した回でした。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り
 昭和37年1月、「原爆裁判」の原告のひとり、吉田ミキ(入山法子)が法廷に立つことを承諾。広島から上京してきたミキを、原...
桧山珠美 2024-09-05 17:30 エンタメ
虎に翼の脚本は朝ドラ特有の“中だるみ”なし!塚地出演「あさイチ」との連携プレイにも救われた
 昭和34年、優未(毎田暖乃)は高校1年生に。直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、猪爪家はますますにぎ...
桧山珠美 2024-09-02 17:30 エンタメ
東出昌大“狩猟系イケメン”面目躍如。通り過ぎていった女性たちは何を思う
 期待に応える男、東出昌大(36)がまたまたやってくれました。今度は“デキ婚”ですって。いつかやってくれるだろうとは思っ...
第110回感動のラストシーン! 余貴美子演じる百合さんの“ある台詞”がとっても可愛かった
 寅子(伊藤沙莉)たちとの同居がつらいと本心を語り、家を出ようとするのどか(尾碕真花)。そんな彼女に、優未(毎田暖乃)は...
桧山珠美 2024-08-31 06:00 エンタメ
【写真特集】10年前の初々しい東出昌大。オールバック、ナチュラル、横流し…髪型3変化
【この写真の本文に戻る⇒】杏との離婚から4年、東出昌大“デキ再婚”で話題の養育費問題。子のために前妻が即やるべき事【弁護...
虎に翼108回目でお見事だった2つのシーン。世の中の“普通人”の理不尽な思いを代弁させた
 稲垣(松川尚瑠輝)と小橋(名村辰)にも手伝ってもらい、裁判所で中学生向けの法律の勉強会を開いた寅子(伊藤沙莉)。だが話...
桧山珠美 2024-08-28 17:15 エンタメ
松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
「生きるお笑い界の伝説」ことダウンタウン松本。還暦を迎えた今も大人気の冠番組を複数抱え、お笑い界で最も大きな発言権を誇る...
帽子田 2024-08-28 09:38 エンタメ
なんて賢い子!“星家イチのオトナ”が優未だった件。27日あさイチに“料理男子”井上祐貴が降臨
 寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)は星家で暮らし始めるが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕...
桧山珠美 2024-08-26 17:35 エンタメ
木戸大聖が世間に見つかってしまった!月9「海のはじまり」スピンオフでファン急増中
 めめ(目黒蓮)の体調不良が心配でなりません。現在、フジテレビ系月9「海のはじまり」に主演していますが、Snow Man...
寅子の「心が躍るような」結婚式。放送残り1カ月ちょっと、NHKにスピンオフで描いてほしいこと
 お互いそれぞれの名字を名乗ったうえで、「夫婦のようなもの」になることを決めた寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)。猪爪家...
桧山珠美 2024-08-24 06:00 エンタメ
平手友梨奈がHYBEと契約終了、2度目の退所で訪れる転機。神童が“本物”に返り咲く日
 平手友梨奈(23)が今月8日、韓国の大手芸能事務所「HYBE」日本本社のレーベル「NAECO」との専属契約を終了した。...
こじらぶ 2024-08-24 06:00 エンタメ
【写真特集】女子アナ時代、初々しい浴衣姿の田中みな実
【この写真の本文に戻る⇒】 なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
 放送中のドラマ『ギークス〜警察署の変人たち〜』(フジテレビ系)にて、3人の主要キャラのうちの1人に抜擢されている田中み...
堺屋大地 2024-08-23 06:00 エンタメ
航一は本当に明治生まれなのか?「夫のようなもの」を許容できる男に疑惑
 航一(岡田将生)から、そこまで悩むのなら結婚をやめようと告げられた寅子(伊藤沙莉)。それは婚姻届を出す結婚をやめようと...
桧山珠美 2024-08-24 00:23 エンタメ
『ラヴィット!』に疑問の声。違和感たっぷりでもギャル曽根の「超ギャルル」を推すワケ
「日本でいちばん明るい朝番組」をコンセプトに、平日の朝に笑いと情報を届けている人気番組『ラヴィット!』(TBS系)。 ...
寅子版「自分会議」はユニークな演出だった! “ラスボス”百合さんに俄然注目
 結婚したら、自分か航一(岡田将生)のどちらかの名字が必ず変わることに、改めて気付いた寅子(伊藤沙莉)。  自分が...
桧山珠美 2024-08-20 15:30 エンタメ