「おいしいものは一緒に」出征前の河原デート。はて?初回を思い出すと…

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-05-24 15:30
投稿日:2024-05-24 15:30

NHK朝ドラ「虎に翼」~第8週「女冥利に尽きる?」#40

 寅子(伊藤沙莉)は訪ねてきた後輩の小泉(福室莉音)から、女子部が閉鎖されることになったと知らされる。

 今年は高等試験も行われないため、寅子たち女性法曹の道は途絶えてしまうことに。戦局が厳しくなる中、寅子は優三(仲野太賀)と娘・優未と戦争を乗り越えることを最優先にしようと心に決める。

 しかし、とうとう優三の元にも召集令状が届く。

【本日のツボ】

優三、渾身の変顔に込められた想い

 ※※以下、ネタバレあります※※

 ついに優三に赤紙がきました。直言(岡部たかし)に、「出征前になにかしておきたいことはあるか?」と聞かれた優三。「明日、少しだけ寅ちゃんとお出かけさせてもらえたら」と伝えます。

 どこにお出かけするのかと思えば、あの「おいしいものを一緒に」食べた河原でした。突然、土下座で優三に謝る寅子。

「私のわがままで私なんかと結婚させてしまって。普通の結婚生活を送らせてあげられなくて…私、自分が弁護士として出世したいばかりに、優三さんの優しさに付け込んで結婚して。でもすぐやめて、優三さんに甘えて、子どもも作って…」

 そんなふうに一気にまくしたてる寅子。

「はて? 寅ちゃんの『はて?』便利だね」

「寅ちゃんが僕にできるのは謝ることじゃないよ。寅ちゃんができることは寅ちゃんの好きに生きることです」

「寅ちゃんが後悔せず、人生をやり切ってくれること。それが僕の望みです」

 優三はどこまでも優しい優三でした。

「おいしいものは一緒に」。おにぎりを仲良く笑い合いながら食べる姿に、涙が止まりませんでした。

「日本国憲法」の文言をそらんじた場所?

 そもそも、この河原は、第1話で寅子が「日本国憲法」の文言をそらんじていたあの場所ではないか、と。だとするならば、戦後、寅子がなぜあの場所に行ったのか、と考えてしまいます。

「帰って来るから。寅ちゃんと優未のもとに必ず」。その言葉を信じたいです。

 そして、出征当日です。浮かない顔の寅子を和ませようと、優三が渾身の変顔をしました。

 少しだけ笑顔になった寅子。そのままお別れになるのかと思いきや、優三を追いかけて、変顔を見せる寅子。それに応えて優三も変顔を。笑い合う2人にこちらの涙腺は崩壊しました。

「あさイチ」の鈴木アナ同様、ゲストの草彅剛の明るさに救われました。この日のゲストがつよぽんで良かったです。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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