「見るんじゃない」と直言。ダチョウ倶楽部の“押すなよ、押すなよ”を彷彿

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-05-28 15:30
投稿日:2024-05-28 15:30

NHK朝ドラ「虎に翼」~第9週「男は度胸、女は愛嬌?」#42

 直言(岡部たかし)の体調が優れない。寅子(伊藤沙莉)と直明(三山凌輝)はマッチ製造の仕事を紹介してもらい、はる(石田ゆり子)と花江(森田望智)は繕い仕事をすることでなんとか生活していた。

 寅子はかつて世話になった雲野(塚地武雅)の事務所を訪ねてみるが、雲野も苦しい生活をしているようだった。

 そんな中、直言がある重要な知らせを寅子たちに隠していたことが発覚する。

【本日のツボ】

東京空襲も玉音放送もすっ飛ばす

 ※※以下、ネタバレあります※※

 電光石火のごとく戦争の時代が終わりました。本日は早くも年が明け、昭和21年に突入、かと思ったら、オープニングの後、もう5月になっていました。

 3月10日の東京大空襲も、よね(土居志央梨)とカフェー燈台のマスター(平山祐介)が店から避難するシーンのみ。焼夷弾の音と遠くに上がる火の手のみで描かれました。さらに、終戦といえばおなじみの玉音放送も流されることなく、7月になっていました。

 このスピードはもはや快感です。東京空襲で逃げまどうシーンも、玉音放送を聞いてうなだれるシーンも、これまでの朝ドラでは何度も何度も見て来たシーンでした。それをあえて描かずとも、戦争がもたらす悲劇、家族の悲しみはきっちりと伝わります。

 直道(上川周平)に続き、とうとう優三(仲野太賀)までも…。直言が寅子に優三戦死の報(しら)せを隠していたのもわかる気がします。

 それにしても、写真の中に隠されていた紙を見つけた寅子に向かって、「見るんじゃない」というあの直言の言葉、あれじゃあ逆に気になって寅子でなくとも見てしまいますよね。ダチョウ倶楽部の「押すなよ、押すなよ」に通じるものがありました。

「名探偵コナン」の阿笠博士、降臨!

 そして、そして。あのマッチの仕事を一緒にしていた白髪のおじいちゃん、「名探偵コナン」の阿笠博士の声優・緒方賢一さんでした。

 なにか寅子の役に立つものを発明してくれるのでは、と密かに期待しております。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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