いよいよ裁判官編。NHK制作陣の遊び心、8時14分過ぎに見たり

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-06-03 16:05
投稿日:2024-06-03 16:05

NHK朝ドラ「虎に翼」~第10週「女の知恵は鼻の先?」#46

 昭和22年3月。新しい日本の憲法に希望を見出した寅子(伊藤沙莉)が向かったのは法曹会館。そこには空襲で被害を受けた司法省の仮庁舎が設置されていた。

 裁判官として雇って欲しいと直談判にやって来た寅子だったが、人事課にいたのはなんと桂場(松山ケンイチ)。

 熱弁する寅子に興味津々の久藤頼安(沢村一樹)は「人手不足の上に、GHQも彼女を見たら喜ぶ」と語るが、桂場は難色を示す。

【本日のツボ】

いよいよ裁判官編

 ※※以下、ネタバレあります※※

 今週からはいよいよ「裁判官編」へ。先週の終わり、司法省へ乗り込んだ寅子。人事課長はまさかの桂場。甘党は変わらずでふかし芋を食べようとしていました。

 その少し前には、甘味処「竹もと」の店前で、店主夫妻がふかし芋を売っている姿がちらりと映り、あそこで購入して来たのは間違いありません。気になるのは桂場の鼻についたお芋の皮です。あれはどうなるのかと気になったまま、週をまたぎ、今週の始まり始まりです。

 桂場との対面の前に、ライアン(沢村一樹)が現れ、アポなし訪問で中に入れてもらえない寅子を助けてくれました。そんな恩人を「うさんくさい」と値踏みする寅子。たしかにあの慣れ慣れしさ、戦前の日本男子にはいないキャラです。

 てっきりGHQの通訳か何かと思ったら判事、久藤頼安(くどう・よりやす)で名前を音読みして「ライアン」。しかも、世が世ならお殿様などと初登場にしてキャラ大渋滞。もうパニックになりそうでした。

 が、彼の登場で、一気に時代が変わったことが伝わってきました。寅子にとって、心強い味方になってくれるのではないか、と。

 で、桂場の鼻についたお芋の皮でしたが、てっきり桂場と寅子の距離を縮めるツールになるのかと思いきや、そうではなくライアンが自然に取ってくれていました。孤高に見えた桂場にもこんな同僚がいたとは。2人の仲の良さがわかる名シーン(!?)でした。

“失礼垂れ流し野郎”小橋(名村辰)再登場!

 そして、もうひとり。モブキャラかと思っていた小橋の再登場です。ライアンから「うちの課には大学の同級生がいる」と言われた寅子。「彼って、まさか…」とあきらかに期待していました。それはわれわれ視聴者も同様です。一瞬、ガンちゃんの笑顔が映りましたし。

 ですが、そこに現れたのは小橋でした。「よう!」と寅子に声を掛ける小橋に、「ああ」と。気の無い返事の寅子に、「なんだよ、その態度は!」とご立腹。「こんな奴いたっけ?」という視聴者のために、法廷劇の最中にヤジを飛ばし、よね(土居志央梨)に股間をキックされた場面をフラッシュバック。あの小橋か~と一瞬で思い出しました。

 小橋は小橋で、「どうせ花岡かと勝手に勘違いして勝手にがっかりしたんだろう。でもあいつはほかの女と結婚したんだったな。じゃあ花岡がいても困るわけだ」などと失礼なことを言い、寅子に心の中で「失礼垂れ流し野郎」とネーミングされる始末。

 さらには、ピンとハネた髪の毛の先に「つづく」の文字。制作陣の遊び心に思わず笑ってしまいました。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


“百戦錬磨”香川照之ゆえの提案「全6話、スイッチを仕込んでいます」【主演ドラマ『災』インタビュー】
「連続ドラマW 災」(WOWOW、6日22時スタート)は、湿り気を帯びた陰鬱な雰囲気とぞわりとする劇伴が感情を揺さぶる不...
朝ドラ「あんぱん」の描写に25年前の“名台詞”が…CA役だった松嶋菜々子の変わらぬ美貌はさすが過ぎる
 ある日、のぶ(永瀬ゆずな)は千尋(平山正剛)とシーソーに乗る嵩(木村優来)を見かけるが、千尋が軽くて動かない。そこでの...
桧山珠美 2025-04-02 17:20 エンタメ
「あんぱん」ヒロインの着物がオレンジ色の納得。ドキンちゃんのモデルゆえの演出
 昭和初期、家族の愛情をたっぷり受けて育った少女が高知の町中を勢いよく駆けていく。「ハチキンおのぶ」こと朝田のぶ(永瀬ゆ...
桧山珠美 2025-03-31 17:20 エンタメ
朝ドラ「あんぱん」男性俳優陣がめちゃ豪華! 赤楚衛二路線で大ブレーク必須な最注目の若手は?
 31日(月)から新しい朝ドラが始まります。その名も連続テレビ小説「あんぱん」。あの「アンパンマン」の作者やなせたかしと...
【おむすびにモヤっと】伏線をまき散らして放送終了、そしてモヤモヤが残った。結はとんでもなくヤベ~やつ?
 歩(仲里依紗)から詩(大島美優)を引き取ろうとするのは甘かったかもしれないと聞いた結(橋本環奈)は、仮定の話を気にして...
桧山珠美 2025-03-29 06:00 エンタメ
【写真特集】倖田來未の美し過ぎるバスト♡ギリギリショット5連発
【この写真の本文に戻る⇒】40代の倖田來未が《全盛期と変わってない》と話題に…20年前と同系ファッションでも、なぜ痛くな...
2025年「冬ドラマ」を調査! 独走状態の『ホットスポット』、疲れた大人世代に『御上先生』は難しかったか
 2025年1月よりスタートした冬ドラマ。惜しまれつつ最終回を迎えたドラマがあった一方で、期待されていたものの視聴率が振...
【おむすびにモヤっと】一瞬の表情で孤独をにじませる歩。最後の最後でヒロイン逆転!?
 結(橋本環奈)は大腸がんで入院している患者・丸尾(細川岳)を担当し、食欲不振の対応に苦慮する。  一方、歩(仲里...
桧山珠美 2025-03-26 17:20 エンタメ
【おむすびにモヤっと】最終週は最後の顔見世? 糸島移住“言い出しっぺ”の愛子さん台詞を深読みすると…
 福岡・糸島に移住することが決まった聖人(北村有起哉)と愛子(麻生久美子)。ヘアサロンヨネダを翔也(佐野勇斗)が継ぐこと...
桧山珠美 2025-03-24 17:20 エンタメ
【募集】冬ドラマの感想は?面白かった&ガッカリを教えて!『御上先生』『ホットスポット』『べらぼう』etc
 コクハクでは2025年冬ドラマを対象としたアンケートを実施します。1月よりスタートした冬ドラマ、「面白かった」作品や「...
刮目! STARTO所属“歌うま”な佐野晶哉、ジェシー、田中樹以上に目が離せないアーティストは?
 田原俊彦(64)に初孫が誕生しました。おめでとうございます。「NINJIN娘」のトシちゃんも今やおじいちゃん…なんだか...
【おむすびにモヤっと】懐かしの風見先輩降臨でも願わくば…最終週はナベベ×詩のご対面?
 結(橋本環奈)は栄養失調の少女・詩(大島美優)になんとか食べてもらおうとラーメンを出してみるが、結局手をつけない。 ...
桧山珠美 2025-03-24 13:58 エンタメ
timeleszは一般人も加入、菊池風磨が逆風の中でタイプロを仕掛けた納得の理由と予想される快進撃
 一大ムーブメントを巻き起こした新メンバー募集オーディション「timelesz project -AUDITION-」(...
こじらぶ 2025-03-22 06:00 エンタメ
【おむすびにモヤっと】「米田家の家訓」のほうが良かった? 悔やまれる「米田家の呪い」のネガティブ要素
 結(橋本環奈)の娘・花(新津ちせ)は、病院で未成年の田原詩(大島美優)が人目を盗み隠れる手助けをしようとする。しかし詩...
桧山珠美 2025-03-24 14:02 エンタメ
【おむすびにモヤっと】リーダーの結、栄養失調の患者対策に献立本をパラパラとめくるだけの物足りなさ
 2023年。一人前の理容師となった翔也(佐野勇斗)は、娘の花(新津ちせ)が中学生となり大人びるのを心配するが、結(橋本...
桧山珠美 2025-03-17 18:05 エンタメ
“桃尻”といえば佐野勇斗!? 翔也の何十倍も生き生きと見えた「あさイチ」出演でのはっちゃけぶり
 14日放送の「あさイチ」(NHK総合)の「プラチナトーク」は、朝ドラ「おむすび」でヒロイン結(橋本環奈)の夫・翔也役を...