なぜ令和ロマンは賞レースに出続ける?3冠制しヘイトも無視する戦闘力

帽子田 芸人、ライター
更新日:2024-08-03 06:00
投稿日:2024-08-03 06:00

賞レース3冠の令和ロマンに賛否

 芸歴10年以下のお笑い賞レース「ABCお笑いグランプリ」(テレビ朝日系/以下ABC)が7月7日に開催。M-1に続き、令和ロマンが圧倒的強さで優勝した。これで令和ロマンの保持タイトルが「M-1グランプリ」(テレビ朝日系)、「NHK新人お笑い大賞」(NHK)、「ABC」の3冠となった。

 まさに令和ロマン一強といった様子だが、これを現役のお笑い芸人はどうみるか。別名義で芸人活動をするなか、年間100本以上のライブに出演。自身もライブ主催の経験もあるという帽子田さんは以下のように考察する。

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かが屋の「マジだるい!」は出場者の総意だろう

 今年のABCも面白かった。お笑いファン以外の人が想像する賞レースは漫才の「M-1グランプリ」やコントの「キングオブコント」(TBS系/以下KOC)、ピン芸人の「R-1グランプリ」(フジテレビ系)のように種類ごとに分けられている。

 それに対して、ABCは漫才・コント・ピン芸なんでもあり。個人的にはすごく見ごたえがある。しかもお笑いに対しての熱が高いABCテレビが制作しているから、限られた予算ながらすごく盛り上げてくれるし、芸人に対してのフォローも手厚い。僕はとっくに出場資格を失っているが、もっと若手の時は出たくて出たくてたまらなかった。

 というのも、ABCはM-1やKOCに比べて、優勝までの道筋を想定しやすいからだ。まず若手同士の戦いなので、参加人数も少ないし、何よりネームバリューのあるベテランがいるわけでもない。かつての優勝者は同世代の若手なので、優勝した姿も想像しやすい。やはり若手は、ABCに対して、より強く優勝を夢見てしまうだろう。

 というのを踏まえたうえで、今年のABC。M-1 2024の王者でもある、令和ロマンが危なげなく優勝。

 番組上でもくるまは「またM-1でお会いしましょう」という上からムーブで、他の出場者のブーイングを大いに食らっていた。令和ロマンと同じブロックで敗れたかが屋・賀屋の「マジだるい!」と素直な敗者コメントに、会場が沸いたりもしていた。

 しかし、この「マジだるい!」というセリフ。結構多くの若手芸人が本気で思っただろう。僕はこのABC優勝で、令和ロマンが若手芸人から割とヘイトを集めてしまったと考える。

帽子田
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別名義では芸人として活動。一時期は年100本以上のライブに出演、ライブ主催の経験もアリ。一応現役の芸人ではあるが、ただのお笑い、バラエティ番組ファンでもあります。

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