猫嫌いの犬と犬嫌いの猫
「彼はお金がキツそうだから家賃も取らず、食費も日用品も私が面倒を見ようと思っています。まずはユウジに元気になってもらわないといけないので」と香織さんは言います。
「ところがですよ、問題が勃発なんです。
私は犬、彼は猫を飼っていますが、うちの犬は大の猫嫌い。そしてあっちの猫は、大の犬嫌いです。
だから犬と猫を一緒にするわけにはいきませんし、うちに来るならユウジの猫はどこかに預けてきてもらわないとダメなんです。
正直、もともと私も猫はあまり好きではないから、無理をしてまでユウジの猫を受け入れる気まではありません。
だけど、食事も満足に摂れなくなっているユウジをまずはケアしないといけないのに。ユウジは『猫と離れたくない』と駄々っ子のようなことを言っていて…」
引き離すのは酷だけど
ユウジさんのメンタルだけを思えば、猫と離れないほうがいいのだろうとは香織さんも感じてはいるそう。
しかし「現実問題として、それが無理なんだから、最善の方法をとるしかない」と冷静です。
「このままユウジのメンタルが壊れていくのを黙ってみているわけにもいかないし、かといって、ウチで猫を受け入れるなんてもってのほか。
ユウジは自分の体のことも含め、優先順位をつけられなくなっているのかもしれないですけど、だからこそ私の判断に従ってもらいたいですよね。
“あれもいや、これもいや”ばかりで、物事が前に進まなくてイライラしますね。
そもそも単に恋人である私が、そこまでしてユウジを支えてあげる必要もないかもしれないけれど、乗りかかった船だし…。
生活の面倒を見てあげようとしているのに、ユウジにはその重大性すら理解していないように見えます。
とにかく猫をなんとかして、早い段階でウチにきて療養生活を始めてもらわないと、このまま彼が廃人のようになっていくのではないかと思って不安で仕方ありません」
◇ ◇ ◇
以前とは別人のようになってしまった恋人を、1日でも早くもとに戻したいと願っている香織さん。
では、香織さんの恋人であるユウジさんは、今の自分の状況や将来についてどう考えているのでしょうか。次回に続きます。
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