“幽霊商店会”から「相談がある」と突然言われ、会合に出てみると…何!ナニ!!なにー!!!

フィッシュバーン真也子 コラムニスト
更新日:2024-09-10 16:30
投稿日:2024-08-21 06:00

コトは「ちょっと相談に…」から始まった

 東京下町育ちの私、ここ35年以上都心(港区、渋谷区、目黒区周辺)暮らしをしている。現在は、とある人気神社周辺、そこそこ商店会が活発な地域に居を構えている。

 おかげで神社の祭礼や地域イベントを身近で楽しむことができ、知らぬ間に地元愛が育まれている。これまで、一住民として各地域の商店会が主催する盆踊りや餅つきなどを楽しんでいたのだが、この春突如、状況が一転する出来事が起こった。

  ◇  ◇  ◇

「ちょっと商店会のことで相談にのってもらえませんか?」

 という連絡を近隣の床屋さんから受けたのが3月末。おや? 私の地元の商店会って、存在はするものの、会費を集めず10年前から実質休止中のはず… はて?

商店会の会合場所は床屋の店内!?

 この辺りは神社の氏子地域であるため、地域イベントや商店会活動が盛んである。しかし、私の地元の商店会だけは、なぜか活動を休止しており、メインストリートの街路灯維持のためだけに存続している。そんな名前だけの幽霊商店会について、相談とはいかに?

 少々不思議に思いつつも、会合には参加することにした。会合は床屋さんの店内で行うと言う。商店会の会合なのに、小さな床屋の店内? 狭くない? 役員参加だよね? 等疑問でいっぱいの中、会合に行ってみると、参加メンバーはたったの2名、私を入れて3名。副会長の床屋さんと会計の元酒屋さんのみ。

 そういえば、この商店会の会長さんは昨年若くして急逝したと近隣の方から聞いた覚えがある。話を聞くと、会長が亡くなった後、商店会は会長不在のまま放置され、残された役員2名はどうしたもんかと頭を悩ませていたという。

【こちらもどうぞ】セレブ妻が赤羽のサイゼリヤに落ちるまで 上流階級との「品格の差」に絶望

会長の弔い合戦、商店会を続けたい気持ちはあるけれど…

 床屋さん曰く、

「実は、会長が亡くなっちゃったんで、もう商店会を返上しようと思ったんですよ。でもね、商店会負担で街路灯を区の仕様に付け替えないといけなくて、それが280万くらいするんですよー。そんなお金ない
し、困っちゃってね~」

「ん? それは、もう商店会をやめるって話ですか?」と私。

「いやー、会長の弔い合戦としてね、続けたい気持ちはありますけど、俺たち2人じゃね…」床屋さんのなんともはっきりしない言い様に、

「続けたいっていうのは、商店会を再びちゃんと運営するってことですか?」と切り込む私。

「いやぁ、そうなると会員も集めなきゃだし、お金もらったらいろいろやらなきゃでしょ? それも大変だしねぇ…ただ、電気代も上がっちゃって、このままだと街路灯の電気代も払えなくなるんですよー」

「…はぁ…つまりどうしたいんでしょうか?」

「いやぁ、で! 相談にのって欲しいなと思ってるわけですよー」と、のらりくらり。

 結局、残された役員2名は、今後どうするのか、ではなく、今後どうしたいのかすら決められず、そこから一緒に考えて欲しい、という主旨の会だとようやくわかった。先が思いやられる臭ぷんぷん。

ポンコツ商店会再起動への渦に巻き込まれる

 話を少々巻き戻し、現在の私の話。私は、このポンコツ商店会エリアで、週末オープンのゆるい養生茶カフェを経営している。

 このカフェ、体にいいお茶、手作りおやつ、パワースポットの神社脇に存在、看板猫が店内をウロウロしているなど、その筋の方にはまぁまぁ刺さるのだ。

 現在はこんなゆるカフェの経営者である私も、20数年前は出版社に勤め、がつがつ働く雑誌編集者だった。34歳でこの商店会エリアに自宅を購入し、ほどなく出版社を退社。その後、自宅の並びでセレクトショップを始めた。その際、この商店会に5年ほど入会していた経緯がある。

 多分近隣での私の立ち位置は、長期居住の住民であり、元商店会会員であり、地域でちょいちょい顔を見かける人といった感じであったろう。

平日は暇な人に見えた?

 神社脇に移住(同じエリア内)し、お茶屋をオープンしてからは、週末しか営業してない平日暇な人、とも思われていた気がする。

 商店会の相談話は、なんとかしてくれそうと思われたのか、暇そうと思われたのかは不明だが、3代続くザ・地元民の商店会役員たちにとっては、新参者ではない顔見知りの私が相談しやすかったのであろう。

フィッシュバーン真也子
記事一覧
コラムニスト
養生茶カフェ店主。とある都心商店会会長。ちょこっと大家業。

出版社でインテリア誌やファッション誌の編集者として長らく勤務したのち、フリーランスのエディター、インテリアスタイリスト、デコレーターとして活動。現在はメディカルハーブのスペシャリスト、ハーバルプラクティショナーの資格を活かし、養生茶と手作りおやつのカフェ『だんで茶屋』を経営。その他、著述業、不動産賃貸業などを少々営む。

外国人との結婚と離婚、シングルマザーでの子育てなど、タフな経験を栄養にして生きる50代。いい『気』を求めて神社脇に移住。住まいや暮らしを自分流にカスタマイズしながら「空間から得る幸福感」を実践研究している。54歳から建築系大学に再入学、現在大学院にて空間によるコミュニケーションデザインを研究中。

著書に食と旅のエッセイ『笑顔になれる美味しいプロヴァンス』(スタンダードマガジン)、住まいのエッセイ『女ひとり・借金アリ・貯金ゼロからのトーキョー大家さんLIFE』(主婦の友社)

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


子どもの友達に「ばあば」と間違えられたショック! 高齢出産の後悔4つ
 世間では、高齢出産する人がとても増えていますよね。晩婚化が進んだ背景や、不妊治療が保険診療になった変化も大きいでしょう...
親バカ上等!いうて夫よりマシかも?子どもの可愛すぎるお手伝い失敗談
 子どもはいつだって、ママを助けたい、褒められたい、役に立ちたいと思っていますよね。だから、小さい子どもはママを喜ばせよ...
おんにゃの子の匂いに夢中!“たまたま”君の恋が実るといいな
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
日本海から吹きつける風の中、黙々と歩く少年たちが愛おしい
 早朝にも夕方にも見える空の色、学生服の少年少女、ミラーに映る電車。  どこか非現実的な景色は、まるで中村宏の絵画...
ほっこり癒し漫画/第65回「パカラパカ、春のひとみにタツノオトシゴ」
【連載第65回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
惚れてまうやろー!彼氏より気が利くChatGPTに「好き」について聞いた
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
恐怖の親知らず抜歯!30女が超ビビりながら人生初抜歯した話
 皆さんは親知らずがまだ生えていますか? 筆者は30代になってもすべての親知らずが生えたままです。  歯は大切にしてい...
世帯年収1500万円でも越えられない壁。耐え難い屈辱を喰らった女の選択
 御茶ノ水駅が最寄りの持ち家で2歳年上の夫・孝憲と4歳の娘・香那と3人家族で余裕ある生活を送る彼女は、ママ友と共に充実し...
え…? 優雅な御茶ノ水ママ友会をブチ壊した、地方出身者の悪気ない一言
 御茶ノ水駅が最寄りの持ち家に住む薬剤師の綾乃。2歳年上の夫・孝憲と4歳の娘・香那と3人家族で余裕ある生活を送る彼女は、...
千代田区民は“勝ち”だよね。通勤ラッシュを知らない自分は上流階級層の女
――『東京の中心に暮らす、ということ』…なんてね。  鈴木綾乃の頭の中にマンション販売のコピーのような、そんな言葉...
「自責と他責」バランス上手な大人が口癖にしている神ワード
 ここ数年、自責思考・他責思考みたいな話題をよく見かけませんか? 私はもう見るたびに「うるせぇ~!」となっている反面、し...
たまにはこんな日もあるよね? 終電を見送ってしまった夜
 久しぶりの仲間との時間が楽しくて、「あと1杯だけ」「あと10分だけ」を続けていたら終電を見送ってしまった。  だ...
出張ホスト、ママ活、女風…女性の金目当てに上京する男性が増えている!
 近頃は地方移住が話題となっていますが、その逆に「地方では稼げないから上京する」男性も出てきています。  出張ホストや...
ご飯をありがとにゃ! お母さんが大好きな“たまたま”君たち
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
荒れる2024年幕開け 花屋が祈りを込めた「復興と希望」の花束
 2024年が明けました。今年は元旦から思いもよらないことが起こって、まさに辰年。大きな変化の年が始まったようでございま...
暇すぎ死にそう…大きな声じゃ言えないけど仕事中にばれない暇つぶし5選
 同じ仕事でも、忙しいと時間は早く過ぎ、暇すぎると永遠に時計が止まったように見えるもの…。とはいえ、仕事の拘束時間なので...