今さらですが「ボトックス注射」って何。目尻、眉間のシワを一撃!?【目元の美容医療に定評ある女医が解説】

増田えりか 医師(形成外科・美容外科・美容皮膚科)
更新日:2025-01-26 16:13
投稿日:2024-09-16 06:00

「効果はどれぐらい持続する?」気になるボトックス注射の疑問6つ

 ボトックス注射とは、筋肉の収縮を弱める注射のこと。筋肉はアセチルコリンという神経から放出される物質から司令を受けて収縮します。

 ボトックスは無毒化されたボツリヌス菌という菌で、標的部位に直に注射することで神経から出るアセチルコリンの放出に関わるSNAP25をブロックする作用があるため、筋肉は収縮できなくなります。

Q1. ボトックス注射はいつから始める?

 一度皮膚に刻まれたシワを消すのはなかなか難しいため、30代から始めるのが望ましいです。

Q2. 痛くないの?

 注射なのである程度の痛みは感じます。イートップでは痛みを和らげるために3つの対策をご用意しています。1つ目は単純ですが、しっかり冷やすこと。痛覚をある程度麻痺させられます。2つ目は、注入部位とは別の場所に振動を加えて“一点集中”の意識を分散させ痛みを少しでも感じにくくさせます。ここまでは無料で行います。

 3つ目は笑気麻酔です。鼻もしくは口から吸う麻酔で、お酒に酔ったような感覚になり、痛みを感じにくくしてくれます。3,300円ほどかかりますが、私増田自身もボトックスを打つ時は毎回使用し、大変効果があります。

 お酒に強い方は効きにくいというデメリットがありますが、一度やってみる価値はあると思います。

Q3. 効果はどのくらい持続するの?

 ボトックス注射の効果は3カ月~半年ほど。個人差がありますが、年間2~4回施術すれば、シワが少ない状態を維持できます。1回の施術料金の目安はボトックスの種類と必要な量にもよりますが当院では1カ月間の保証付き(効果が足りなければ無料で追加)で、FDAの認可をとった安心安全なアラガン社製で1部位18,000円~。

 エラや脇、肩などは分厚くて大きい筋肉に効かせる必要があるため、料金は高くなります。韓国製のボトックスはさまざまな種類がありますが、数千円の設定にしているクリニックが多いです。

Q4. 打ち続けるとどうなる?

 打ち続けることによる効果は主に2つ。1つ目は筋肉は使われないとどんどん薄くなっていくので、効果が持続するようになっていきます。はじめは3ヶ月に1回、5回目以降は半年に1回でも効果が続くようになる場合が多いです。

 2つ目はボトックスに耐性ができてしまう可能性があります。注入しても効果をあまり感じなくなった場合はこのパターン。ですが、安心してください、対策はあります。ボトックスの種類を変えるだけです。

 韓国製であれば米国アラガン社製にすると効果をまた感じる可能性が高いです。さらにもう一段階、FDAの認可を受けたボコーチェア(ゼオミン)と呼ばれるボトックスで、お値段は少々張りますが、圧倒的に耐性が出にくい商品なのでおすすめです。

Q5. やめるとどうなる?

 1回でやめると、1年以内に確実に筋肉は元通りに復活します。一度やってみて違和感や体質に合わないと感じたら終わりにすることも視野に入れても良いかと思います。

 眼輪筋は目の周りをぐるっと一周取り巻く筋肉ですが、目尻側の一部の筋肉が頑張らなくなると、目頭側の筋肉が頑張って収縮しようとします。この代償反応が目頭側のシワを増やしてしまい、“シワのシワ寄せ”を作ってしまうのです。

“シワのシワ寄せ”は筋肉を強く収縮させないと起こらない現象のため、特に気にならないという方が多いのですが、稀に気になる方がいらっしゃいます。

 写真は私増田の目尻、眉間ボトックス施術前(上)、2週間後(下)のものです。目頭側のシワが深くなっているのが分かります。

  ◇  ◇  ◇

 目尻のボトックス注射を行う際は、しっかりとトレーニングを積んだドクターのいる安心安全な美容クリニックを選んだ上、カウンセリングで希望や不安をきちんと伝えることが大切です。

 次回は「おでこ&眉間のシワ」を取り上げます。またお会いしましょうー!

「イートップクリニック」院長/増田えりか

 2013年日本大学医学部卒業後、東京臨海病院、昭和大学病院、千葉こども病院などの形成外科で経験を積む。湘南美容クリニック高田馬場院長を経て、2021年に赤坂見附にイートップクリニックを開設。目周りの手術では業界トップクラスの症例数。『360度美人』を目指して! 美容医療だけではなく、広くお悩み解決に携われるよう、婦人科専門医による婦人科外来、泌尿器科専門医による男性美容外来、美容師とのコラボレーションで頭皮・髪質治療も展開中。

増田えりか
記事一覧
医師(形成外科・美容外科・美容皮膚科)
「イートップクリニック」院長。2013年日本大学医学部卒業後、東京臨海病院、昭和大学病院、千葉こども病院などの形成外科で経験を積む。湘南美容クリニック高田馬場院長を経て、2021年に赤坂見附にイートップクリニックを開設。目周りの手術では業界トップクラスの症例数。『360度美人』を目指して! 美容医療だけではなく、広くお悩み解決に携われるよう、婦人科専門医による婦人科外来、泌尿器科専門医による男性美容外来、美容師とのコラボレーションで頭皮・髪質治療も展開中。

病院HPYouTubeInstagram

ビューティー 新着一覧


どれを選べばいいの!?  サプリ迷子に捧ぐ“目的別・賢い選び方”。必ず確認したい2つのポイント【薬剤師監修】
「からだにいいことをしたい」と思ったら、食生活を整えるのが大事。とはいえ、毎日の食事に気を配るのは難しく、手軽なサプリメ...
売り切れ続出!「ババアの粉」は本当に若返るのか? 40代美容家が実践した“神ハイライト術”
 SNSで「#ババアの粉」「#BBAの粉」と呼ばれ、バズり続けている『セザンヌ トーンフィルターハイライト 01 フィル...
手足が寒くて眠れない…!「冷え不眠」に心当たりない? 悪化の要因とぽかぽか快眠テク【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
食欲の秋が到来!旬の味覚に秘められた“健康”パワー。サツマイモの美肌効果に注目【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
高市首相もメイクで激変! 強そうな女→柔らかな女に印象を変える“3つの鉄則”ポイント
 第104代首相に選ばれ、今やメディアで見ない日はない高市早苗さん。かつては黒々とした力強い眉が印象的でしたが、最近では...
「生理が終わったのにだるい…」その原因、加齢じゃなくて“鉄分不足”かも。食後のコーヒーは注意して【専門家監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
夏の紫外線+秋の乾燥でボロボロ…化粧水だけじゃない「うるおい対策」で肌を守ろう【専門家監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
急に泣きたくなる…30代以降は“情緒不安定”に注意。不安定な心を整える3つのセルフケア【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
今季のプチプラは大当たり! 大人も“盛れる”目元・口元・肌の新作コスメ3選。「キャンメイク」で老け感を一掃♡
 今季のプチプラが、ものすごく「当たり!」です。コスメの進化は著しく、もはやデパコス要らずの実力!? とざわついてしまう...
女性の6割が悩む「生理前の便秘」痔やイライラ悪化の原因に? 放置せず試したい改善法4つ【医療従事者監修】
 生理前の便秘に悩む女性は、6割もいるといわれています。「でも生理が終われば治る」「便秘くらい、大したことはない」こんな...
流行りの「耳つぼジュエリーダイエット」信じていいの? 貼るだけで楽痩せできる噂の真相【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
【再現メイク】今田美桜になれるか!? 大人世代が3つのポイントを真似してみた。“への字眉”でぐっと近づく
 これまではキュートで華やかなイメージが強かった今田美桜さん。しかし今放送中のドラマ『あんぱん』では40代の役柄に挑戦し...
暑くて無理~! “ドライヤー”キャンセル界隈に捧ぐ、お風呂上りの汗だくを回避する6つの方法
 お風呂上がり、せっかくすっきりしたのにドライヤーをかけてるうちにまた汗だくに…。こんな経験、ありますよね。  髪...
30歳から「骨活」のススメ。将来の“寝たきり”リスクを防ぐため大切な3つの対策【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
健康診断でわからない「隠れ貧血」のリスク。 だるさ、イライラの原因は年齢以外にあり?【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
ブルドッグ顔におさらば! 3秒でできる若見え“メイク”テクニック。コンシーラー1本で激変するコツ【美容家解説】
 夏の疲れが、顔に出ていませんか? 鏡を見て、「なんだか不機嫌そう…」と感じるなら要注意! 年齢を重ねると、どうしても顔...