そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。
1. 肩こりが原因の頭重感に悩む女性。処方された薬を飲んでいるが、これで改善されるか不安…
恵子さん(31歳女性/仮名)からご質問をいただきました。
「最近、ずっと頭が重くてつらいんです…」
恵子さんは、つらそうな顔でえりのボスに相談します。
「病院には行ったの?」
「はい。検査もしてもらったんですが…肩こりが原因と言われて。肩こりで頭痛が起きることってあるんですか?」
えりのボスは、心配そうに頷きます。
「そうなの。頭痛や頭がぼーっとする頭重感(ずじゅうかん)の原因が肩こりであることは、意外と多いのよ」
「そうなんですか…。今、病院で葛根湯を処方してもらってちゃんと飲んではいるんですが、これで改善されるのか不安で」
恵子さんは不安そうな表情でえりのボスに話しかけます。
そんな恵子さんに対して、優しく微笑むえりのボス。
「それじゃあ、今日は肩こりが原因で頭痛や頭重感が起きるのか。それと、手軽にできるセルフケアについて説明しましょうね」
「はい。お願いします」
深く頷く恵子さん。
これは放っておけません!
2. 肩こりからくる重頭感は緊張型頭痛のことも
「頭を支えたり腕を動かすために、首から肩、背中にかけて筋肉が広がっているの。猫背や前かがみのような悪い姿勢や運動不足によって、この筋肉がこったりこわばったりすると、筋肉に通っている静脈の血流が悪くなってしまうのね。
血流が悪くなると、痛みに関連する物質が蓄積されるわ。それが、肩こりや頭痛につながると考えられているの。
頭が締めつけられるような痛みや、ヘルメットを被ったような圧迫感のある痛みが、肩こりからくる頭痛の特徴よ」
「私の頭痛は、まさに頭が締めつけられるような痛みです…。姿勢が悪くて猫背なうえに、普段は通勤以外でまったく運動していないんですよね」
「血行不良や運動不足が原因であれば、肩をほぐすと一旦はよくなるわ。でも、姿勢や運動習慣を見直さなかったら、またすぐ肩がこってしまうわね。
肩こりが慢性化して、いつも肩や首まわりが緊張した状態になると、頭に向かう神経が刺激されて頭痛が起こることもあるのよ。緊張型頭痛ともいわれているわ」
真剣な眼差しで話を聞いている恵子さんに、えりのボスは言いました。
「それにね、肩こりが原因で起こる症状は頭痛だけじゃないの。次は、肩こりが原因で起こるほかの症状や、肩こりを軽くするためにできるセルフケアについて解説するわね」
3. 肩こりからくる頭痛以外の症状
肩こりが原因で起こる症状は、頭痛だけではありません。頭だけでなく背中が痛くなることもあります。
肩こりが原因の緊張型頭痛がひどくなると、頭痛に加えて、目の奥が痛くなったり、吐き気がしたりすることもあるのです。
さらに悪化してしまうと、吐き気がおさまらず嘔吐することもあります。
4. 肩こりを軽くするためにできること
肩こりの原因は血行不良や筋肉の緊張です。肩こりを軽くするための方法を3つ紹介します。
4-1. ストレッチをする
同じ姿勢でずっと過ごしていると、筋肉がこわばってこりやすくなります。作業の合間など時間を見つけて、以下のようなストレッチを意識的に行って筋肉をほぐしましょう。
●両腕を内側と外側に6回ずつ回す
●両肩をゆっくり上げて下ろすを10回繰り返す
●首を前後左右に5回ずつゆっくり動かし、次に右回りと左回りに5回ずつゆっくり回す
作業を切り替えるタイミングや席を立つタイミングで肩や首まわりを動かして、血行不良や筋肉の緊張を解消しましょう。
4-2. 肩のまわりを温める
肩まわりを温めるのもおすすめです。湯船に浸かったり蒸したタオルを肩まわりに置いたりすることで、血行をよくし筋肉の緊張状態をほぐすことができます。
4-3. 姿勢をよくする
姿勢をよくして、首や肩、腰への負担を減らすことも重要です。正しい姿勢とは、骨盤が立っていて背中が自然と伸び、その上に首と頭がまっすぐにのっている状態です。骨盤が前傾していたり、猫背や反り腰だったりすると、腰や肩、首に負担がかかりやすくなります。
パソコンを使うときは椅子の高さを調整したり、スマホを見るときは画面の高さを目線まで上げたりするなど工夫して、正しい姿勢を保ちましょう。
5. 頭痛には漢方薬
肩こりからくる頭痛には、ストレッチや姿勢の改善が大切ですが、「忙しくて毎日続けるのは大変」「意識してもなかなか続けられない」という人も少なくありません。
もうひとつの肩こりによる頭痛対策として、漢方薬を活用してみてはいかがでしょうか。漢方薬なら自分の症状や体質に合うものを毎日飲むだけなので、無理なく続けることができますよ。
肩こりは首や肩が血行不良によって緊張している状態であり、慢性化すると頭痛も悪化すると考えられています。
肩こりからくる頭痛の対策には「からだを温めて首や肩のこりをほぐす」「血流をよくして栄養や酸素を届けて筋肉の緊張をゆるめる」「自律神経の乱れを整えて、ストレスが原因の首や肩のこりを軽減する」などの働きがある漢方薬を選び、根本改善を目指しましょう。
<肩こりからくる頭痛におすすめの漢方薬>
・葛根湯(かっこんとう):からだを温め、血行を促進して筋肉の緊張を和らげてくれます。首や肩のこりに用いられます。
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):血流をよくして全身に栄養を届けることで、肩こりを改善します。のぼせるのに足が冷える、生理痛がある、シミができやすい方にも用いられます。
肩こりからくる頭痛に効く漢方薬はほかにもたくさんあり、漢方薬を服用する際には自分の症状や体質に適したものを選ぶ必要があります。
スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。
6. 重頭感の改善には肩こり対策を
「えりのさん、肩こりと頭痛について詳しく教えてくれてありがとうございました!」
不安が晴れてうれしそうな恵子さんを見て、えりのボスも自然と笑顔になりました。
「早く頭重感から解放されるといいわね」
「はい。軽く肩を回すストレッチならいつでもできそうですし、肩まわりを温めるのは、肩こり関係なくとても気持ちよさそうです。病院で処方してもらった葛根湯も、しっかり飲み続けます」
「それはいいわね! 肩こりに効く漢方薬にはほかにもいろいろな種類があるから、もし、このまま葛根湯を飲み続けても症状が改善されなかったら、医師や薬剤師に相談するといいわよ。気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」
優しい表情でサロンを去っていく恵子さんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。
★サロン「コクハク」のオーナー えりの
顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。
(漫画/腹肉ツヤ子)
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<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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