本命だからといって散財はしない
「店が“これが名物です”とアピールする料理を、僕は食べる気にはならないですね。だからメニューに“名物”とか“人気”とか書いてあると、それ以外のものを食べると決めています。
名物にふさわしいかどうかは僕が決めること。店が押し付ける話じゃないでしょう?」
高価なコースが主流なお店でも、実際にメニューを見てみるとそれよりも何割も安いコースが設定されていることが多いので、食事を楽しむなら「それで十分」とトシオさんは考えています。
そして、本命とのデートだからと散財する気もなければ、そういうお金の使い方を正しいとは思わないと強調します。
ご馳走してるんだからとやかく言われたくない
「いかにお金を使わずに、上質な体験をするかっていうのが楽しいんですよ。
それに、こっちがご馳走してお金を使っているんだから、明奈にとやかく言われる筋合いはないじゃないですか。
僕が決めた料理を一緒に食べているから、明奈はタダ飯にありつける。それで十分じゃないですか?
いや、割り勘でお金を払ってくれって話ではありません。年上の男としてみっともないから、明奈にそんなことをさせたくはない。
場面に応じて、払う側の意向に沿って食事をすればいいでしょう? っていうだけの話です。その店で僕が選んだものではない別のものが食べたいなら、明奈が後日ひとりでその店に行けばいわけですから。
女ってのは、なんで“映え”とか“これが人気”とか“限定”とかって言葉に弱いんですかね? そんなものを求めたって、腹に入れば一緒でしょ」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。
少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
ラブ 新着一覧