クズのくだりに違和感。マツケン演じる栄吉のカラオケは「おむすび」の名物シーンに?

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-10-03 17:05
投稿日:2024-10-03 17:05

第1週「おむすびとギャル」#4

 天神のゲームセンター近くでギャルたちに出くわした結(橋本環奈)が、しつこく博多ギャル連合(ハギャレン)への加入を求められ困っているところに警察が現れる。

 結とギャルたちを見かけたサラリーマンの男が恐喝と勘違いしたようで、ギャルたちは何も悪いことはしてないと反発するが、男はギャルたちを見た目で判断して社会のクズ呼ばわりをする。


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【本日のツボ】

マツケンの「君といつまでも」

 ※※以下、ネタバレあります※※

 ギャルたちを見た目で判断し、「お前らこのままやったら社会のクズになんぞ!」と“クズ”呼ばわりしていたサラリーマン。スーツにネクタイ姿で手にはビジネスバッグを持っていることから、おそらく仕事中かと思われるのですが、だとしたら、勤務時間内にゲーセンに出入りしているアナタもたいがいクズですよ、と言ってやりたくなりました。

 一方、米田家では収穫した野菜を選別。形の整っていない規格外の野菜たちは、はじかれ、売り物にならないとクズ野菜扱い。

 廃棄処分される箱に入っている曲がったきゅうりをひとかじりして、「こんなにおいしいのに」と納得がいかない結に、「どんなに味が良くても見た目が悪かったらクズになる」と父・聖人(北村有起哉)が言います。

 社会の“クズ”呼ばわりされていたギャルと、廃棄される“クズ”野菜たち。本日のテーマは“クズ”。

 そんなふうにクズ扱いされた野菜を、軽トラに積み込む祖父の永吉(松平健)。精魂込めて作った野菜をクズ呼ばわりする息子に対して、「やっぱり、お前はホンモノの農家やなかな」と。そして、永吉は結を伴って商店街に出向き、「男はつらいよ」の寅さんばりの口上で通りすがりの買い物客にアピールし、規格外の野菜の即売会をやります。

「はて?」。ここまでで、ギモンなのはこの父と息子のやりとりです。ずっと農家をやっているわけで、規格外の野菜が出たのはこの日初めてじゃないはずなのに、その揉めごと入りますかねえ、と思いました。

「スナックひみこ」が救世主に?

 野菜を売り終えた永吉と結は「スナックひみこ」へ。永吉は常連のようで、店主ひみこ(池畑慎之介)とも気心が知れる仲といった感じです。

 そこで、「ほとんどタダ同然にしよったよね」と言う結に、「儲けやらどげんでんよか。雨ん日も風ん日もみんなが精魂込めて作った野菜やけん。1円でんよか。誰かに買うて貰えたら立派な商品として報われる」と永吉。さらに、「結、覚えとき。形が悪かろうが、見かけがひどかろうが、この世にクズなんてものはなか」と言います。

「ちびまる子ちゃん」の友蔵・心の俳句はまる子に響きませんが、永吉の言葉は間違いなく結に響いていたようです。

 そうこうするうちに、ひみこママが永吉の十八番を入れていたようで、加山雄三「君といつまでも」のイントロが流れてきました。「ほら、永吉さん。出番たい」とひみこママに促され、「きたきたきた、ハハハ」とマイクの元へ向かう永吉。「♪ふたりを夕やみが~」とご機嫌で歌うのでした。

 このスナックひみこの永吉カラオケはドラマの名物になるかもしれません。マツケンではなく、永吉になりきっての熱唱なので、ちょっと下手に歌っているのもご愛敬です。

 なんでしたら毎日、マツケンのカラオケで締めてくれてもいいくらい。どうせなら、祖母・佳代(宮崎美子)を前に、「いまのキミはピカピカに光って」を歌ってくれないかな、などと妄想を膨らませたり…。

 もちろん、「マツケンサンバⅡ」を踊り付きで歌うのもアリです。

 前期「虎に翼」に引き続き、今期もマツケンがドラマを盛り上げてくれそうです。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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