更年期、私はこれで対処しています②賛否両論のプラセンタ、筋肉注射で痛みもこの上ないが…

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2024-11-27 14:59
投稿日:2024-11-13 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。
 第5話は「更年期、私はこれで対処しています②」。

かかりつけ医の存在こそ更年期治療

 個人的に更年期対策として一番有効だと思っているのが、かかりつけ婦人科医を持つことだ。この連載にもたびたび登場しているけれど、私には15年以上、通っている婦人科医の医師がいる。

 60~70代の個人医院の男性医師で、不妊治療外来が専門。診療予約は取っておらず、診察希望者は医院に出向いて、順番を待つのみだ。

 出会いのきっかけは…って、結婚披露宴のスピーチではない。通い始めた理由は当時住んでいた家の近くだったこと。

 30代になったので婦人科のかかりつけ医を探そうと、いくつか病院は回っていた。生理の重さ、遺伝性から何となく婦人病に関する予兆があったからだ。が、なかなか話の合う医師はおらず、1~2回の処置、処方だけを繰り返していた記憶がある。

 現在のかかりつけ医となった医師は、生理不順を訴える私に、初診で良性の子宮内膜症の疑いがあると言った。

「まずはひとつずつ、体の疑いを晴らしていきましょう。漢方薬は飲んだことがありますか?」

 そう言うと、彼は漢方薬に関する説明を始めた。ここに長く通院しているのは『加味逍遙散(かみしょうようさん)』という女性ホルモンを整える漢方薬と、低容量ピルを処方してもらっているという理由もある。そのほか不正出血も含めて、体調に不具合があった時はすぐに足を運んでいる。

【こちらもどうぞ】更年期、それはある日突然に…45歳女の体が『倦怠感で満タン』になった【日日更年期好日 #1】

専門家から得る、正しい情報

 医師は毎回、淡々と体内の状況を説明してくれる。時には手描きの図解説も登場。診察というよりは、もうカウンセリングのように患者が納得するまで話をして、こちらの訴えに耳を傾ける。そのせいなのか、彼の手元にある私のカルテは、昔の電話帳のような厚みだ。

「えーと、前にダイエットしたのは…3年前の4月ですよね。彼氏と別れた悔しさで、駒沢公園でランニングを始めたとか」

「先生、そこまでカルテにメモしてあるんですか? それ、私が死んだらすぐ焼いてくださいね!」

 冷静沈着で穏やかな性格の医師と、すぐに熱くなるせっかちな私とはウマが合った。

 長く婦人科に通って、医師から正しい情報を聞いていると感じるが、女性の体とは本当にデリケート。大げさではなく、毎月違うような気がする。私は経験がないけれど、ここに出産も加われば、もっと変化は激しいだろう。

 そんな時にかかりつけ医の出番だ。自分の体のデータを把握していて、なおかつ性格も簡単な家庭環境、職業も知っている専門医がいると、心強い。

 治療だけではなく、話を聞いてもらうだけで救われるシーンが何度もあった。ここは病院なのか、よろず相談窓口なのかとも思うが、先生は私にとってのDr.コトーである。

「先生、なぜか生まれて初めての頭痛が続いていまして…最近、本当に珍しく食欲もなくて、もう、ダメかもしれません。がんでしょうか、いや更年期かなあ」

「いつも言っていますけど、小林さんはがんと縁遠い人ですからね。私は医者ですから、患者さんをパッと見たら(病気かどうか)分かります。もう一度言いますね。がんではありません。仕事が忙しかったみたいですから…、数年前にもあった燃え尽き症候群でしょうね。今日は時間がありますか? 疲労回復に効く点滴を打ちましょうか」

 では読者の皆さまがどうしたら、こういった医師に出会えるのかといえば、もう狙いを定めて何人も医師を回る。いつか自分に合う医師は見つかるし、紹介してもらってもいい。ちなみに自分のかかりつけ医を、文章でさんざん褒めたけれど、この医師があなたに合うとも限らない。

 あまり言葉は良くないが、私は“医者ガチャ”で運が良かっただけかもしれないと思う。もし医師と会えていなかったことを想像すると、今頃も毎度、付け焼き刃の治療ばかりを続けて、婦人科ジプシーになっていた気がする。ああ、怖い。

 思い出そう、恋人や就職のためにはあんなに、さまざまな手段を用いて、各所を駆け巡ったでしょう。それらと同じことを、自分の体のためにしたっていいじゃありませんか。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


【動物&飼い主ほっこり漫画】連載特別編「ハルちゃん 幼少期の思い出」
【連載特別編】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場!  11月下旬発...
「うちはもっとヤバいよ!」え、不幸話で勝負してる? 聞いてて疲れる“愚痴LINE”3選
 人に不幸話をするときは、いくつか気をつけるべきポイントがありそう。なぜなら「それって不幸自慢?」とウザく感じる人が少な...
「着飾るのは何もないから」偽セレブがマウントを取る理由。“本物の令嬢”の前で見つけた本当の自分
 綾乃は千代田区の高級マンションから武蔵小杉に2年前に引っ越して来た。セレブ気取りの綾乃は同じマンション住人でさえない ...
「あの人が…なんで?」地味ママの“富豪人脈”に呆然。勝ち組を演じていた女の勘違い
 綾乃は千代田区の高級マンションから武蔵小杉へ2年前に引っ越して来た。以前の土地では、富裕層中心のママ関係に居づらさをお...
「世帯年収1500万じゃ恥ずかしい」御茶ノ水からの“都落ち”…武蔵小杉のタワマンを選んだ女のプライド
 リビングの大きなガラス窓の向こうには、大樹のようなマンションがいくつもそびえている。  その景色はまるで都会の森...
ママ友の悪口を誤爆!「このLINE、共有しますね☆」やっちまった…恐怖の誤爆エピソード3選
 子どもを介した友達“ママ友”。それぞれ性格が違うので、合う合わないがあるのは当然です。でも裏で悪口や愚痴を言っていると...
昭和や平成にいた“カタカナ職業”とは何だった?バブルを生きた男が思う「総クリエイター時代」の清々しさ
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(65)。多忙な現役時代を経て、56歳...
長渕剛に20代女性との熱愛報道。60代や70代を好む「桶専女子」の生態とは?“枯れ専”との微妙な違いも
 芸能界ではシニアの恋愛・結婚が話題になっている。8月27日配信の文春オンラインはシンガーソングライターの長渕剛(68)...
100均の“お掃除グッズ”でチャレンジ!夏の水回りは「凄腕くん」でピカピカになるか?
 夏は“大掃除向き”の季節だと思っています。冬のように水が冷たすぎないので、特に水回りの掃除は今がチャンス。  気...
大阪万博だけじゃない!行列で起きた“地獄と奇跡”8連発。推しの神対応、彼氏との悲劇…
 2025年4月にスタートした大阪万博も、残すところあと僅か。今回の万博は、何かと大行列ができることで話題になっていまし...
捨てにくい…!困った引き出物、賢い処分方法は?タオルは保護猫に寄付、2人の写真はリメイクで
 結婚式や祝賀会などの引き出物で、「正直いらない」と思ってしまったものはありますか? 折角の品物だと分かっていても、いら...
“にゃんたま”様の背後に潜む怪しい影…おわかりいただけただろうか
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「飲み=仕事」の時代を生きた酒豪おばさん、ついにリタイアか? 老化で変化した飲酒との付き合い方
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
花屋が一押し!敬老の日に「マリーゴールド」を贈りたい理由。長持ちさせるコツはある?
 今年もシビれるくらい暑い夏でございました。  最高温度は毎日のように体温超え。心配していたのは作物の生育。備蓄米...
賛成or反対? 職場にいる“2世社員”への本音。本人的には「バレたくない」ってなんで?
 あなたの職場に、親が会社の中心人物である「2世社員」はいますか? コネ入社ゆえに対応が厄介だったり、逆に出先では信頼さ...
「都合がいい時ばっかり!」未熟な若妻にイライラ…53歳の義母が下した“自己防衛”作戦
 息子が結婚をすれば、息子の妻(いわゆる「お嫁さん」)も家族の一員。だけど、“家族”だからこそ生まれる“摩擦”や“モヤモ...