スイスチャードのエピに生煮え感…。糸島編で悔やまれる“やり取り”

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-11-23 06:00
投稿日:2024-11-23 06:00

第8週「さよなら糸島 ただいま神戸」#40

 沙智(山本舞香)が、結(橋本環奈)や佳純(平祐奈)、森川(小手伸也)と一緒の班だと授業の単位を落とすので班替えをしてくれと、講師の石渡常次(水間ロン)に頼む。

 すると、石渡は調理実習までに献立を立てるという課題を出す。

 結と佳純は石渡の意図をはかりかねるが、沙智は自分が献立を全部考えるという。

 その翌日、沙智が早速麦ごはんが主食の献立を持ってくる。結と森川が感心していると、佳純も洋風の献立を披露。どちらがいいかで言い争う沙智と佳純は、結局、結に選べと言い出す。

【こちらもどうぞ】「ちゃんとやれや、ボケ、カス」英語教師の“関西弁”に思わずお返しを…

【本日のツボ】

スイスチャード

 ※※以下、ネタバレあります※※

 班で協力して、献立を考える課題。さらにそれを実際に作りましょうとなり、森川は残って麦ごはんを炊き、残りの3人はスーパーに食材を買い出しへ。

 そのスーパーで小松菜が売り切れ、というハプニングが起こります。ほかのスーパーに行こうという沙智を止めて、店内をスタスタ歩き、どこかへ向かう結。そして、「あった!」と。

 それはスイスチャードという茎のところがカラフルな葉物野菜でした。「それなに?」訝しがる沙智に、「小松菜に風味がよく似とちゃん。栄養素もだいたい変わらんと思う」と結。

「ほんまあそれ」「なんでそんなこと知っとうん?」と2人から聞かれ、「だってうち農家の娘やもん」と。

「うちの畑で獲れる野菜以外にも、糸島ではいっぱい野菜獲れるけん。やけん、このスーパーに売っとう野菜なら、全部わかる」と自信満々。2人も少しは結を見直したような…。

 なかなかよくできたお話でしたが、どうせなら糸島にいる時に一度くらいはスイスチャードとやらを食卓に出すとか、おばあちゃん(宮崎美子)との会話の中で「スイスチャードは小松菜と味が似てるのよ」などとやり取りでもあれば、「おー」っとなったのでしょうが、唐突に出てきたスイスチャードに面食らってしまいました。

 といいますか、(おそらく)はじめて入ったであろうスーパーで、迷うことなくスイスチャードの売り場にたどり着ける結、農家の娘の嗅覚でしょうか。

 しかも、普通のスーパーは葉物は葉物で同じ場所に並べられていると思うのですが、あんなに離れたところにある若干の違和感。アキダイの社長にでも正しいスイスチャードの置き場所を聞きたいものです。

 それにしても、スイスチャードのカラフルな茎はギャルっぽいといえば、ギャルっぽく、余計に、ギャルちゃんたちが米田家に遊びに来た時に、なぜこの野菜を出さなかったか、と悔やまれてなりません。

 結局、班替えはなし。ま、こうなることはわかっていましたが、石渡常次講師(水間ロン)の「卒業したあと、あなたたちはさまざまな職場に就職するでしょう。その時、一緒に働ける人間を自分で選べると思いますか? 社会に出たら、苦手なタイプも、性格の合わない人と一緒に働く場合があります。そんな時、自分はどうすればいいのか。それを学ぶためにも、このままでいきます」というのは、なるほど納得です。

 J班のみんなにもそれなりに刺さってたようで、今週のいいこと言ったで賞を石渡講師に差し上げます。


桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


“マッチ先輩”近藤真彦がうたコン降臨!ヤンチャ返上?謙虚な発言に驚き
 4日放送のNHK「うたコン」は「作曲家 筒美京平特集」。尾崎紀世彦「また逢う日まで」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、...
花岡死す「栄養失調で死亡」見出しの衝撃…“甘党男子”桂場は和洋イケる口
 穂高(小林薫)は法の道へ導いて不幸にしたと寅子(伊藤沙莉)に謝罪し、新しい仕事を紹介すると言い出す。しかし寅子はむしろ...
桧山珠美 2024-06-07 15:30 エンタメ
公園ランチの約束は叶うのか? 花岡の“しょんぼり言動”が不穏すぎる
 ホーナー(ブレイク・クロフォード)から子供たちにとチョコレートをもらった寅子(伊藤沙莉)は、公園で花岡(岩田剛典)に再...
桧山珠美 2024-06-06 17:00 エンタメ
いよいよ裁判官編。NHK制作陣の遊び心、8時14分過ぎに見たり
 昭和22年3月。新しい日本の憲法に希望を見出した寅子(伊藤沙莉)が向かったのは法曹会館。そこには空襲で被害を受けた司法...
桧山珠美 2024-06-03 16:05 エンタメ
「虎に翼」お宝物件!三山凌輝はピアスにアクセジャラジャラの“チャラ”男
 先週のNHK朝ドラ「虎に翼」第9週「男は度胸、女は愛嬌?」は、ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)にとって、悲しみの連続でした。...
刮目!伊藤沙莉“静”の演技、「佐田優三 仲野太賀」表示も期待は泡沫に…
 これまでの後悔と秘密をすべて打ち明けて、直言(岡部たかし)は安らかに亡くなった。  寅子(伊藤沙莉)は何事もなか...
桧山珠美 2024-05-30 19:10 エンタメ
古谷徹は“あの役”降板?声優不倫騒動の後始末、カギは「キャラの私物化」
 レジェンド声優・古谷徹(70)の不倫報道が世間を騒がせている。 『文春オンライン』よって報じられた37歳年下女性...
優三も草葉の陰で苦笑い? 前代未聞な別れの“懺悔”は直言らしい名場面に
 直言(岡部たかし)は栄養失調と肺炎でもう長くはないと診断される。直言が大事なことを隠していたと知った寅子(伊藤沙莉)の...
桧山珠美 2024-05-30 18:50 エンタメ
「見るんじゃない」と直言。ダチョウ倶楽部の“押すなよ、押すなよ”を彷彿
 直言(岡部たかし)の体調が優れない。寅子(伊藤沙莉)と直明(三山凌輝)はマッチ製造の仕事を紹介してもらい、はる(石田ゆ...
桧山珠美 2024-05-28 15:30 エンタメ
視聴率苦戦だから失敗に物申す!山下智久と錦戸亮、5年ぶり民放作の意義
 山下智久(39)が主演を務める「ブルーモーメント」(フジテレビ系)、錦戸亮(39)がキーマンとして出演する「Re:リベ...
こじらぶ 2024-05-25 06:00 エンタメ
「おいしいものは一緒に」出征前の河原デート。はて?初回を思い出すと…
 寅子(伊藤沙莉)は訪ねてきた後輩の小泉(福室莉音)から、女子部が閉鎖されることになったと知らされる。  今年は高...
桧山珠美 2024-05-24 15:30 エンタメ
優三の優しさシャワー全開!寅子のゴロゴロ床入り作戦も大成功だった神回
 昭和17年3月。直言(岡部たかし)の工場は軍からの注文が途切れず、順調に稼働を続けていた。戦時下で食べ物が貴重になる中...
桧山珠美 2024-05-21 15:30 エンタメ
朝ドラヒロインは「大日本国防婦人会」と揉めるのがお約束
 結婚した寅子(伊藤沙莉)は弁護の依頼も来るようになり順調な日々を送る。  ある日、手伝いとして働くよね(土居志央...
桧山珠美 2024-05-20 15:30 エンタメ
角界一の美容力士・翔猿らが明かした脱毛&モテ事情、全力で推したいのは
 圧倒的な強さと精神力、鍛え抜かれた筋肉美、昭和の名横綱“ウルフ”千代の富士、整った顔立ちと沸き立つ色気がたまらない“各...
「僕じゃ駄目かな」あすなろ白書のキムタクを想起、優三渾身のプロポーズ
 寅子(伊藤沙莉)は、弁護士として社会的な信用を得るためにお見合いをさせて欲しいと直言(岡部たかし)とはる(石田ゆり子)...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ
事件はいつも「あの階段」で起こる! 岩ちゃん演じる花岡もう婚約
 晴れて弁護士になったが、女性であることを理由になかなか依頼をしてもらえない寅子(伊藤沙莉)。「女の幸せより大事なものか...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ