「おじたちから評判いいよ」で得た自分の価値。パパ活女子の末路は惨め一直線なの?

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2024-12-14 06:00
投稿日:2024-12-14 06:00

したたかな女の「成功談」は嫌われる

 ネットを眺めていると『パパ活女の悲惨な末路』がこれ見よがしに提示される。高慢で惨めな女は娯楽として消費されがちだから。

 だけど、したたかな女の成功談は耳にほとんど入って来ない。

 おもしろくないからだ。あっても、悪意ある表現で語られ、それが一歩踏み出そうとする女の呪いとなっている。

 カウンターでひとり、鮨をつまむ友梨佳は格好よかった。

 だけど、あのおじは惨めな女だと表現していた。同意できなかったことを思い出す。

「じゃあ、お疲れ様。がんばってね」

 サロンから出ようとする友梨佳の背中が目の前にある。

 7cmのハイヒールでまっすぐ立つその背中は大きい。距離は近いのに、まだ遠い背中。早く辿りつきたいと、素直に見上げる。

「後悔しないように生きます」

「まぁ、すべてが自己責任だけど」

 友梨佳は、ニヤリと微笑んだ。清潔感あるヌードなルージュに彩られた口元から、綺麗にホワイトニングされた歯をちらりと見せて。

自分の選んだ方法で後悔したい

 個人的な関係を誘って来たおじには、丁寧におことわりを申し出た。

 以降、月を経るごとに連絡は途絶えがちになっているが、それはそれでいい。自分を尊重してくれるおじはまだたくさんいるのだから。

 はじめてのギャラ飲みから半年。晴乃は、相変わらずの日々を過ごしていた。変わったのは友梨佳のテストに合格し、お客様の前に立つことができるようになったくらいだ。

 色々言う人はいる。

 だけど、後悔をするなら自分の選んだ方法で後悔したい。

 言われたとおりにして、その選択が間違っても、その人は責任をとってくれない。だから、したたかに、まっすぐに、生きる。

後悔のない人生をしたたかに送ろう

 休憩時間、Diorのチャームが揺れるiphoneで、母親へ今朝届いたお米2kgのお礼LINEを送った。

 連絡帳を眺めていると、気がつけばここ数カ月、まひなからの連絡が来ないことに気づいた。

 サロンにもやって来ない。

 この前赴いたギャラ飲みの現場で、太おじに切られたとか、整形に失敗したなどという真偽不明な噂は耳に挟んだが…。

「ま、いいか」

 知らせのないのは良い便りだと晴乃は思うことにする。

 まひなが後悔のない人生をしたたかに送っているのを願いながら。

Fin

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「なんで風は吹く?」子どもの質問に知識以外で答えてみたい
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
子育てをしたくない若者が急増!複雑に絡むネガティブな原因
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  先日、「子ど...
雪平莉左さんとリオの日常「人間の彼氏もお眼鏡にかなわないと絶対ダメ」
 私が24歳で上京したとき、一緒に東京にやってきてずっと同棲しているのがマンチカンの男のコ、リオです。  リオは高...
連れて帰りたい! 人懐っこすぎる“たまたま”の激レアショット
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
茜色に心和むひと時、だからこの時間が好きなんだ
 忙しない街にも訪れる特別な時間。  足早に歩く人々は顔を上げ、しばし空を仰ぎ見てから、また現実へと戻っていく。 ...
女+家=嫁…「嫁ぐ」と「結婚」の違いはある?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ほっこり癒し漫画/第68回「コウメばあちゃんはどこ?」
【連載第68回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
貸したお金を催促するのにこんな手が…! モヤモヤを解消するLINE3選
 人にお金を貸した後、なかなか返してくれなかったら、とても嫌な気持ちになりますよね。  とはいえ、お金の話は、言い...
電マの営業からラブホの清掃員へ…羞恥心とも戦うストリッパーが思うこと
『電マの営業・新井です!』(略して「電マの新井」)という新作が大変好評だ。  書店員にとっての新作といえば「新しく...
口喧嘩で負けたくない! 勝ちたい時に使えるマル秘戦術3選
 みなさんは誰かと口論になった時、どんな戦法で勝ちにいきますか?  方法は十人十色ですが、今回は代表的な勝ちパターン...
凍り付いた湖の夜が更けて
 もしも突然、この瞬間に、氷が解けたらどうなるんだろう。  そう思いながら、凍て付いた湖の上に立つ自分が結構好き。...
「レンジでゆたぽん」人気じわり..足を温めると眠りやすい!
「レンジでゆたぽん」を知ったのは、年末年始に長野県の義実家に行った時。寒がりな私を気遣って、義母が用意してくれたのです。...
青空にオレンジボディが映え“たまたま”の見返りメンチにキュン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
私って性格悪い? 自分のダークサイドを自覚した4つの瞬間
 誰の心にだって、優しい部分と優しくない部分が存在するもの。そうわかっていても、自分の心のダークサイドを自覚すると「もし...
卒入学、彼岸、送別会【花屋が教える】予算内で理想の花束を贈る7カ条
「斑目さん、今年こそは頑張って期限内にお願いしますよ!」  お正月がなんとなく終わったばかり、なんて思っていたら、我が...
「とにかく盛り上がるやつ頼むよ」ってさぁ 先輩の無茶ぶりLINEがすぎる
 お笑い芸人の松本人志とその後輩芸人たちによるアテンド飲み会が話題になっていますね。  ニュースの真偽はともかく、...
2024-02-21 06:00 ライフスタイル