『おむすび』結と翔也の交際は「プロ野球選手と結婚=チャラい女」に対するアンチテーゼでは?

小政りょう ライター
更新日:2024-12-08 16:05
投稿日:2024-12-08 16:05

『おむすび』が本当に描きたいもの

 橋本環奈さん演じるギャルの主人公が、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”という触れ込みのNHK朝の連続テレビ小説『おむすび』。

 神戸編に移ってからは話がだいぶ進んできたものの、開始当初の糸島編は展開がゆっくりで、暗く悩んでばかりの不安定な主人公に批判の声がありました。展開や描写もどこか回りくどさがあり、この段階で離脱してしまった視聴者もいるそうです。

 ですが、ちょっと待ってください。筆者はここ最近の展開を見て、ようやく『おむすび』の描きたいものが分かってきたように感じます。そのカギは結と翔也の交際にある…!?

【こちらもどうぞ】“おむすびチン”結の脅威の記憶力は、おばさんとの再会フラグ?

「ノロノロ展開」には意味があった?

 糸島編で筆者が視聴しながら感じたのは、「ギャルになる人は、そこまで思い悩んで覚悟を決めてギャルになるのだろうか」ということ。

 仲里依紗演じる姉の歩がギャルで確執ゆえにギャルを毛嫌いしていた設定や、黒髪のイイ子が田舎道を自転車で走る「典型的な朝ドラ」ヒロインの橋本環奈を、まずは思う存分見せたい制作側の意図は理解できます。それでも、ギャルになりそうでならない主人公に筆者はヤキモキしてしまいました。

 翔也と結の交際の過程もそうです。想いが通じ合っていることが分かっているにもかかわらず、甲子園を目指している翔也側の都合で、3年次にやっと交際に至りました。

 しかし、2年の期間はなぜか早送り。時間を費やしたという事実や健気に応援する結の姿には、ふたりの強い絆を感じたものの、何も展開がないのであればそこまで結果を引き延ばす必要があったのだろうかとさえ感じました。書道、震災、家族のごたごたなどの情報量も多く、どこかゴチャゴチャしている感もありました。

 ですが、のんびりすぎる展開が表すのは、テンポの悪さを犠牲にしてまでも物語を丁寧に描く選択をしたということです。

スポーツ選手の交際ゴシップでピンときた

 過去の多くの名作で、序盤のダルい展開が答え合わせのように後の展開でハマっていき、なぜテンポが悪かったのか理由が明らかになることがよくあります。

『おむすび』もそのパターンであるはずだと我慢して静観していたところ、最近一部で噂されたある有名スポーツ選手の交際ゴシップにファンたちからの批判がSNSで溢れていることを目にし、『おむすび』の序盤が意味するものが分かってきたような気がしてきました。

小政りょう
記事一覧
ライター
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー
“この村では、人が喰われているらしい……”    2022年の年末にディズニープラス スターにて独占配信がスタートす...
望月ふみ 2025-04-15 06:00 エンタメ
「あんぱん」嵩(北村匠海)の“ジェラシー”がなんとも可愛い! 寛(竹野内豊)の診察シーンが見たかった
 昭和10年、高等女学校の5年生になったのぶ(今田美桜)は、ある日、貴島中尉(市川知宏)と再会。祭りのパン食い競走で使う...
桧山珠美 2025-04-14 19:03 エンタメ
15分の朝ドラで高揚感を得られるんだ! のぶ&嵩の“子役最終回”が見せた未来の夫婦関係
 久しぶりに登美子(松嶋菜々子)の顔を見て胸がいっぱいになる嵩(木村優来)だったが、登美子は困惑した表情を浮かべる。のぶ...
桧山珠美 2025-04-12 06:00 エンタメ
旧ジャニ会見から1年半、STARTO社の再興成否…CD売上と人権意識から考察、ファンは一体何を望む?
 2023年9月および10月、旧ジャニーズ事務所は創業者問題で2度記者会見を開いた。その後、同社所属タレントのテレビ・C...
こじらぶ 2025-04-12 06:00 エンタメ
「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ
ヤムおんちゃん草吉はあんぱん代をきっちり集金。ジャムおじさんとは違う“先導”に期待膨らむ
 草吉(阿部サダヲ)のあんぱんを食べて、生きる力をもらった朝田家。羽多子(江口のりこ)は内職の仕事を始め、釜次(吉田鋼太...
桧山珠美 2025-04-07 17:20 エンタメ
「あんぱん」ウラの見所~初週からブチかまし!細部に神経が行き届いた作品だと印象付けた中園脚本
 結太郎(加瀬亮)があの世に旅立ち、悲しみに暮れる朝田家。しかし、のぶ(永瀬ゆずな)は一粒の涙も流さなかった。そんなのぶ...
桧山珠美 2025-04-05 06:00 エンタメ
“百戦錬磨”香川照之ゆえの提案「全6話、スイッチを仕込んでいます」【主演ドラマ『災』インタビュー】
「連続ドラマW 災」(WOWOW、6日22時スタート)は、湿り気を帯びた陰鬱な雰囲気とぞわりとする劇伴が感情を揺さぶる不...
朝ドラ「あんぱん」の描写に25年前の“名台詞”が…CA役だった松嶋菜々子の変わらぬ美貌はさすが過ぎる
 ある日、のぶ(永瀬ゆずな)は千尋(平山正剛)とシーソーに乗る嵩(木村優来)を見かけるが、千尋が軽くて動かない。そこでの...
桧山珠美 2025-04-02 17:20 エンタメ
「あんぱん」ヒロインの着物がオレンジ色の納得。ドキンちゃんのモデルゆえの演出
 昭和初期、家族の愛情をたっぷり受けて育った少女が高知の町中を勢いよく駆けていく。「ハチキンおのぶ」こと朝田のぶ(永瀬ゆ...
桧山珠美 2025-03-31 17:20 エンタメ
朝ドラ「あんぱん」男性俳優陣がめちゃ豪華! 赤楚衛二路線で大ブレーク必須な最注目の若手は?
 31日(月)から新しい朝ドラが始まります。その名も連続テレビ小説「あんぱん」。あの「アンパンマン」の作者やなせたかしと...
【おむすびにモヤっと】伏線をまき散らして放送終了、そしてモヤモヤが残った。結はとんでもなくヤベ~やつ?
 歩(仲里依紗)から詩(大島美優)を引き取ろうとするのは甘かったかもしれないと聞いた結(橋本環奈)は、仮定の話を気にして...
桧山珠美 2025-03-29 06:00 エンタメ