「M-1」令和ロマンが主人公なら、エバースは裏主人公。泥臭い秀才コンビを応援したくなるのが人のサガだ

帽子田 芸人、ライター
更新日:2024-12-27 06:00
投稿日:2024-12-27 06:00

1点差で惜しくも敗退したエバース

 今年も最高の盛り上がりを見せた「M-1グランプリ」(ABC・テレビ朝日系)。令和ロマンが史上初の2連覇を果たしたものの、ダークホースのバッテリィズや4連続の決勝進出となる真空ジェシカらが一歩も引かない戦いを見せてくれた。

 かつて年間100本以上のライブに出演し、自身もライブ主催者の経験もある現役芸人・帽子田(仮名)は「M-1グランプリ2024」は4位になったエバースに注目。エバースの魅力について以下のように語る。

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令和ロマンはお笑い界の主人公になった

 今年のM-1も面白かった。M-1が復活した2015年のエントリー数は3472組だったが、1万330組と3倍近くに増加。すっかり国民的なイベントである。予選の難易度も昔とは桁違いになってしまった。

 令和ロマンが2連覇しようものなら地獄のようなM-1になるのだろうな、と思っていたが、他組も引けを取らないほどウケていたおかげで、例年にないほど良い大会に仕上がった。

 いまや令和ロマンはお笑い界の主人公枠だとつくづく実感する(ダークヒーロー気味ではあるが)。令和ロマンが中心となってお笑い界が進んでいる。お笑い界に物申せばそれがニュースになり、先輩後輩関係なく「令和ロマンの主張」に対して語り合う。「『漫才過剰考察』読んだ?」と楽屋で言い合う。

 それは令和ロマンが若いながらも誰もが追い付けない圧倒的な天才であり、血の滲むような努力というよりかは非凡な才能でもって周囲を魅了しているからだ。芸人が見る夢物語みたいな主人公が「令和ロマン」なのだ。

実力者だが苦労人。エバースにようやく光が

 かく言う僕も令和ロマンの格好良さには目が眩むが、今年はエバースから目が離せない一年だった。エバースは結成9年目。今回初めてM-1決勝に進み、4位と健闘した。

 エバースが名前を知らしめたのは昨年のM-1の敗者復活。まだ知名度がないにも関わらず、人気者であり実力者であるトム・ブラウンを破ったことで話題になった。さらに今年は「上方漫才協会大賞」「ABCお笑いグランプリ」「NHK新人お笑い大賞」の決勝に進むなど、まさに大躍進だった。

 個人的にはエバースが全決勝で違うネタをやっていたのに感心した。「M-1の決勝では弾切れになってしまうのでは?」と思っていたが、完成度の高い別ネタを披露しており、いらぬ心配だった。

 エバースを今年知った人や、上で並べた情報だけ見ると「エバースも天才枠なのかな」と思ってしまうだろう。だがエバースは実は多くの挫折を味わい、血が滲むような努力の末に、ようやく光を浴びだした苦労人なのだ。

帽子田
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別名義では芸人として活動。一時期は年100本以上のライブに出演、ライブ主催の経験もアリ。一応現役の芸人ではあるが、ただのお笑い、バラエティ番組ファンでもあります。

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