お金以外では揉めないだろうけど
「なんか…、家にいても怖いんですよね。
妻は俺をケダモノでも見るような目で見てくるし、会話をしようとしても“つっけんどん”な返事しか返ってこない。
あ、稼ぎは妻のほうが圧倒的に上です。前は似たようなモンだったんですけど、妻が転職してからは圧倒的に彼女が上ですね。
あ〜ぁ…、話していてもため息しか出ないですね。
今の妻は定期的に離婚をしたいって言ってくるんです。こっちとしてはワケがわからんですよ」
夫婦間に子どもはいないため、いざ離婚となってもお金の話以外では揉めないだろうとマサカズさんは考えています。
しかし揉める要素がないとは言っても、妻からの離婚の申し出を受け入れるのには、強い抵抗があります。
修復したいけれど
「もう夫婦関係は壊れちゃったのかなぁ。俺としては修復できるなら、したいですけどね。
でも手も握らせてもらえないばかりか、近づこうとしただけでも露骨に避けてきますからね、今の妻は。
もう、妻からの離婚の申し出を受けるしかないんですかね? だけど俺は真面目に“夫”をやってきましたし、何も悪いところはないんですよ。
それなのに離婚をしたいって言われている俺って、めっちゃ可哀想じゃないですか?
『はい、そうですか』って離婚に応じるのって、負けたような感じで嫌なんですよね。いっそ妻が浮気とか借金とかしてくれれば、こっちの踏ん切りもつくんですけど…。
妻は俺よりも真面目な性格だから、それはないんだろうなぁ…。
何かのきっかけで夫婦仲が戻ればいいですけどね、今はそのタイミングを待つしかできません…」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
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