「私は彼のATM女?」15歳下の恋人がTDLデートをドタキャン、職場の病院には不倫がバレて… #2

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2025-01-10 06:00
投稿日:2025-01-10 06:00

先輩女医にカミングアウト

 誰にも言えずにいた不倫だったが、久美さんは、ある日、信頼のおける先輩の女性医師にカミングアウトした。

「卓也くんとの交際を告げると、開口一番『15歳も年下? 久美は騙されてる。単なるATM女じゃないの?』と言われました。その言葉に『やっぱりそうなの?』と思う気持ちと『彼だけは違う』と反発する気持ちが同時に湧きました」

 結果、後者が勝(まさ)った。

「先輩医師の言葉に反発するように、卓也くんとはその後も交際を続けました。営業職の彼は、接待などもあって夜遅くまで忙しいのですが、休暇を合わせてデートや旅行を楽しみましたね。カフェ巡りや美術館の他、箱根や草津の温泉、北海道や沖縄へも行きました。

 そうそう、冬のロンドン旅行もしたんです。世界最古のおもちゃ屋さんでパディントンやハリーポッターと写真を撮ったり、ソンドハイムシアターで『レ・ミゼラブル』を観たり」

 嬉しそうにインスタを見せてくれる彼女だったが、支払いの件をたずねると、笑顔から一転、表情を曇らせた。

遅れがちな返信、そしてドタキャン

「交通費と宿泊代、そして食事代もすべて私持ちです。誘ったのが私だから、お財布を開かせるのは申し訳なくて…。私、やっぱりATM女でしょうか?」

 久美さんは言葉を継いだ。交際が4カ月を過ぎたころ、次第に、LINEの返信が遅れがちになったという。

「連絡が減ってきたので、卓也くんに聞くと『仕事が楽しくなってきて、少しでも久美さんにお返しできるよう頑張っているところ』と言ってくれましたが、私としては不安が膨らむ一方で…。

 一番ショックだったのは、ディズニーランドに行く約束をしていた日の前夜に『明日は会社の先輩と一緒に一泊で伊豆に釣りに行ってきます。大物が獲れたら写真送りますね』とLINEが来たこと。すぐに『明日はディズニーランドの予定でしょう?』と返信すると、『ごめんなさい! すっかり忘れてた。延期してもいいですか?』って…。これには失望しましたね」

大ピンチ! 職場で不倫の噂が

 悪いことは重なるもので、絶縁状態だった父からも連絡が入った。「サラさんとは近々に再婚する予定だが、異論はないな?」という確認の電話だった。

「私は『再婚はもう少し待って欲しい』と言いました。でも、それ以上に私を脅かしたのは、大学病院で『久美さんが不倫している』という噂が立ったことです。最悪でした。おそらく、先輩女医がバラしたのでしょう。もう何を信じていいか分からなくて…」

 久美さんは以前よりも最悪の状態に追い込まれてしまった。

 続きは次回。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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