【おむすびにモヤっと】すべては結のおかげ、動かずして感謝されるヒロインの今後は?

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-01-18 06:00
投稿日:2025-01-18 06:00

第15週「これがうちの生きる道」#75

 2012年1月17日。結(橋本環奈)は神戸で両親や商店街の人たちと17年前の阪神・淡路大震災の犠牲者を追悼して黙とうする。とはいえ、徐々に忘れられつつあるとみんな感じており、子どもたちの世代にも伝えていかないといけないと、思いを新たにする。

 一方、歩(仲里依紗)は真紀の墓前で、孝雄(緒形直人)とともに黙とうする。

【こちらもどうぞ】【おむすびにモヤっと】“不揃い”な春キャベでロールキャベツ? 平成のバカップルにこうのとりが…

【本日のモヤっと】

「これがうちの生きる道」(キリッ!)

 ※※以下、ネタバレあります※※

 1月17日は「おむすびの日」なんだそうです。「おむすび」というタイトル、そして、阪神淡路大震災での「おばちゃん、このおむすび冷たい、チンして」と言った幼き結のエピソード、さらには「困っている人を助ける米田家の呪い」などから勝手に結は東日本大震災の際にいち早く現地に駆けつけ、被災者におむすびを届けるのだろうと思っていました。

 なんなら星河電器に就職したのも温かいおむすびがいつでも食べられるような、そんな夢のホッカホカマシーンを開発することもあったりして…と。

 それがなんということでしょう。

 結局のところ、東日本大震災において結の役割はカスミン(平祐奈)に感謝されただけ。「結ちゃんにお礼を言いたい」とカスミンがアパートに訪ねてきましたが、それは差し込みで行われた炊き出し課題による影響のようです。

「大量調理については2年でやりますが…」などと先生(相武紗季)が告知した2年次の正式な授業はたいして役には立たなかったのかもしれません。

 動かずして感謝される結。すべては結のおかげ。もしかすると結は、結信教、いやおむすび教の教祖様になったほうが向いているのではないか、と。

 結局、東日本大震災の年の話はこれにて終了のようです。壮大な肩透かしをかまされた気分です。ほんとうにこれで終わりなのでしょうか。

 放送回当日(17日)は、阪神淡路大震災から17年経った2012年1月17日からスタートしました。その冒頭は一瞬、朝ドラはおやすみで追悼式のニュースをやるのかと勘違いしそうなほどにリアルな映像です。

 画面右上に<実際の映像>というテロップ、納得がいきました。場面変わって「ヘアサロン ヨネダ」でも、おなじみの商店街面々が黙とうを捧げていますが、リアル映像を前にした後ではなんだか安っぽく見えてしまいます。

「徐々に忘れられてしまうんかなあ」と聖人(北村有起哉)が心配すると、「しっかりうちらの世代が伝えていきます」と頼もしい菜摘(田畑志真)。結も「うちも花が大きくなったら、あの日のこともちゃんと話そう思っとう」と言っていましたが、結に「おむすびチンして!」以外の話ができるのかはなはだ疑問です。

スーパー管理栄養士の西条さん

 病院では西条(藤原紀香)が、「あ、おむすびちゃ~ん」と結に声をかけてきました。「担当した患者さんのことはほぼほぼ覚えている」(帝国ホテルのドアマンか!)と話すスーパー管理栄養士の西条さんにすっかり感化されてしまった結。

 夜にはキラキラとした目で、「うち西条さんみたいな管理栄養士になる」と翔也(佐野勇斗)に宣言。頑張り屋さんの結ですから、来週はもう管理栄養士になっているのでは、とも思ったり…。

「育児をしながら、働きながら、管理栄養士の勉強をやる。もちろん国家試験やけん、すごい難しいし、簡単には合格できんと思うけど、それでも挑戦してみたい」というのが前振りになっているような気がしてなりません。

 視聴者が見たいシーンを見せてくれないことには定評がある「おむすび」です。超難関国家試験に合格した結はなんて凄いんでしょう~と、ギョっとするようなショートカットもやりかねないのでは。


桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


大谷結婚モロ被りの不穏も何のその!各世代イケメン網羅のキムタクドラマ
 木村拓哉(51)主演ドラマ「Believe-君にかける橋-」(木曜21時、テレビ朝日系)がスタートしました。待ちに待っ...
永瀬廉は大人の色気、髙橋海人はヘタレの真逆 確かに築くキンプリ2人体制
 昨年より、2人体制となったKing & Prince(以下、キンプリ)の永瀬廉(25)と髙橋海人(25)。4月期に始ま...
こじらぶ 2024-04-27 06:00 エンタメ
岩ちゃんか仲野太賀か…優三株の上昇、高等試験に落ち続ける原因判明!?
 突然、猪爪家に検察が押しかけ、はる(石田ゆり子)は直言(岡部たかし)が贈賄で逮捕されたと告げられる。  証拠品と...
桧山珠美 2024-04-26 16:45 エンタメ
まるでコント!寅子との恋フラグは立たず、崖から落ちる花岡(岩ちゃん)
 親睦を深めるためハイキングに行くことになったが、花岡(岩田剛典)たちの態度に溝を感じ、浮かない気持ちの寅子(伊藤沙莉)...
桧山珠美 2024-04-24 14:35 エンタメ
ガンちゃん登場! 目の前にビール瓶2本…寅子の酒豪ぶりは母のはる譲り説
 本科と呼ばれる明律大学法学部に進学した寅子(伊藤沙莉)たち。法改正が行われ、女子も正式に弁護士になるための試験を受けら...
桧山珠美 2024-04-22 15:40 エンタメ
「366日」、髙橋海人「95」学生服コスプレ繚乱!関口メンディー何留?
 新ドラマを見ていて気づいたことがあります。それは過去と現在を行き来するドラマで、俳優さんたちがそのまま高校時代や大学時...
すわ、嫁姑戦争勃発か!? 月のもので結束力まで描く脚本の妙
 実際の事件を調べるため、まんじゅうを作ってみることにした寅子(伊藤沙莉)たち。すると涼子(桜井ユキ)が急に謝罪したいと...
桧山珠美 2024-04-19 15:50 エンタメ
「お月のもの」ネタ再び、寅子らの生理談議にマスターのヘンな気遣い
 よね(土居志央梨)は貧しい生い立ちを明かし、涼子(桜井ユキ)や寅子(伊藤沙莉)など、同級生らが恵まれていることに憤りを...
桧山珠美 2024-04-18 16:50 エンタメ
森香澄は“嫌われる女”を演じてる説 「女子アナ」抹消計画を進行中!?
 元・テレビ東京の「女子アナ」で、昨年3月に退社してフリーに転身後、バラエティ番組を中心に引っ張りだことなっている森香澄...
堺屋大地 2024-04-17 06:00 エンタメ
朝ドラ史上初の快挙!ヒロインの月のもの(生理)事情が描かれた
 生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため2年生の寅子(伊藤沙莉)たちは先輩の久保田(小林涼子)・中山(...
桧山珠美 2024-04-15 15:48 エンタメ
平野、神宮寺、岸のNumber_i返り咲きの春! 欲いえばもっともっと…
 さくら満開の春、Number_iがテレビに帰ってきました平野紫耀(27)、神宮寺勇太(26)、岸優太(28)、お久しぶ...
「ニャニャニャニャニャ」寅子の必殺技!いずれ強い虎になる“伏線”か?
 判決の日。寅子(伊藤沙莉)たちの予想は外れ、妻が着物を取り戻すことが認められる。大喜びする女子部の面々だったが、よね(...
桧山珠美 2024-04-12 18:20 エンタメ
不祥事芸人・フジモンの賛否両論の復帰劇!実は吉本への貢献度が抜群?
 昨年10月に当て逃げ事故を起こして活動自粛していたフジモンことFUJIWARA・藤本敏史が、3月23日放送の『さんまの...
堺屋大地 2024-04-12 06:00 エンタメ
寅子「あきらめたらそこで終わり」はもしや…名作漫画のイズムにニヤリ
 傍聴した裁判について尋ねた寅子(伊藤沙莉)に対し、穂高(小林薫)は皆で議論してみるよう促す。  暴力を振るう夫か...
桧山珠美 2024-04-11 15:25 エンタメ
トラコ入学、伊藤沙莉は表情筋を自由に操る女優…男装の山田よねにも注目
 昭和7年。晴れて「明律大学女子部法科」に入学した寅子(伊藤沙莉)のクラスには女子の憧れの的の華族令嬢・桜川涼子(桜井ユ...
桧山珠美 2024-04-08 18:38 エンタメ
“お騒がせ”青井実アナが心機一転、なにわ男子の道枝駿佑と似てるって⁉
 世の中の人がNHKに持つイメージといいますと、「真面目」「お堅い」「地味」といったところでしょうか。  そんな中...