まさか痴漢に遭うとは…更年期真っ最中のおばさんの身に降りかかった「性的な危険」

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-02-05 19:33
投稿日:2025-01-29 06:00

恐怖で震える手足

 私は力を振り絞っておっさんから腕を引き離して、その瞬間に右足で相手の腿を蹴り飛ばした。次の瞬間、相手から距離を取り、スマホをおっさんに向けて撮影を始めた。

「このまま警察に行くぞ!」

 おっさんは私に蹴られた腿を押さえながら逃げていった。実際はスマホを向けただけで、恐怖で慌ててしまったせいか、撮影操作はできていなかった。ほんの数日前、ドラマで喧嘩に巻き込まれた若者がスマホを向けて、相手を威嚇する…というシーンを見たばかり。これが思わぬところで役に立とうとは。

 その後逃げていくおっさんを見届けて、こちらも急ぎ足で自宅に戻った。やはり怖かった。前述通り、痴漢を完膚なきまでに叩き潰す精神は変わらないけれど、誰もいない暗がりの道路というのは、想像になかった恐怖だ。

 念の為、警察に連絡をするとすぐに近所の現場まで来てくれた。事情を話したけれど、捕まる可能性は低いとも言われた。「とにかく無事で良かったです」と、婦人警官が何度も言ってくれたことを覚えている。

男性は女性よりも圧倒的に力が強い

 男女平等がスタンダードになった昨今。交際、結婚、育児や老後など、これまで女性の悩みだと断定されていたことが、男性も悩んでいると周知されるようになった。私も書き手として、男性の気持ちも自然と汲み取るようになったし、これはいい傾向だと思う。ただひとつだけ気になる点があるとしたら、男性は女性よりも圧倒的に力が強い。下手すりゃ殺される。

 さらに悲しいことに昨今、男性の腕力や権力を振りかざした性被害が横行している。この状況と今回、私が遭遇した事件から考えても、男性=警戒という認識をファーストコンタクトでは持ったほうが良さそうだ。

 そして更年期真っ最中のおばさんでも、どうやらこの被害は避けられない。そんなことを改めて伝えたく、今回のエッセイを書いた。みなさま、どうぞご注意を。

 次回(#16)へ続く。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


ほっこり癒し漫画/第85回「食べる! 食べるでござるーッ!」
【連載第85回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
酔っ払い同士の胸熱&ちょっと恥ずいLINE3選。きのこたけのこ戦争の和解にもおすすめ?
 人はお酒を飲むと日頃心に秘めている本音が出てきますよね。酔っ払い同士のLINEをのぞいてみると、本音同士の面白い会話が...
お互いの「子どもの共通点」に愕然。平凡になったのは元彼と私、どっち?
 新川崎の大規模マンションに暮らす真央。「量産型主婦」を自覚しているが、かつての真央はバリバリの個性派女子だった。そこで...
言われたくない! ただのオジサンになった「元彼からの一言」に怒りが…
 新川崎の大規模マンションに暮らす真央。量産型主婦を自覚しているが、かつての真央はバリバリの個性派女子だった。20年前の...
「浜崎あゆみみたい」って褒め言葉? サブカル女からママ友への小さな抵抗
 かつて京浜工業地帯を支えた巨大な貨物列車ターミナルだった新川崎は、今や「品川から3駅に住まう」などというまやかしのよう...
「奢る代わりに…」急に見せた“男”にドン引き! 仲良かった友達が苦手になった瞬間【LINE編】
 仲良くしていた友達と、LINEがきっかけで疎遠になった経験はないでしょうか? 「こんな人だったの?」という違和感から、...
「センスが悪い」ってモラハラじゃないの? かつての「センスがいい人」はどこに…
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
これは盲点…!カラオケ苦手な人が乗り切る必勝法。カギは「地元」にあり
 気づけばもう2024年も残すところあと少し…。なんか今年早くないですか?? こうやって時間は過ぎていくのかと思うと、本...
総額いくらなの!? 美的の「スキンケア大充実セット版」は韓国コスメの現物も入ってお得感100点満点でしょ
 毎回、付録違いのVer.を発売している美的。12月号は「スキンケア大充実セット版」を購入してみました。  話題の...
40代、職場で地雷女に?「ソフト老害」流行語大賞候補入り、“10のこじらせ言動”に要注意
 職場に一人でも老害と思われる人がいると、雰囲気が悪くなってしまいますよね。2024年の「新語・流行語大賞」の候補には「...
「嫌われる話し方」5選。無意識にやらかしがちだけど、みーんなイライラしているかもよ?
「この人と話を聞くとなんかストレス溜まるんだよな」「会話していてなぜかイライラするの何で?」こんな風に、話していてモヤモ...
チャールズ・ブロンソンみたい! 草原の激シブ“たまたま”にキュン♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
やっべー、既読スルーしてしまった後のLINE3選。返信忘れて気まずさMAXからの挽回方法は?
 もはや日常生活に欠かせない連絡ツールになっているLINE。でも、時にはつい既読スルーしてしまい、大切な人との関係が気ま...
金運ガチで上げたい!「パンジーの切り花」が超絶オススメな理由&“最高のコラボ”の飾り方は?
 猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋は、おかげさまでお客様が途切れることなく(花を買う以外の方が多すぎw)来店くださ...
超エリートな上垣皓太朗アナの使い方を間違えていない? 騒動で露呈したフジ若手社員のキャリア形成
 フジテレビの公式YouTube「めざましmedia」内で公開された動画が、SNSを発端に炎上状態になりました。その内容...
更年期、私はこれで対処しています①漢方薬服用歴15年超、「意味あるのか?」と医師に尋ねた
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...