「芸人=女とギャンブル」の時代は終わった。M-1王者・高比良くるまの謹慎がもたらすもの

帽子田 芸人、ライター
更新日:2025-03-07 06:00
投稿日:2025-03-07 06:00

クズ芸人たちが(今のところ)クリーンという可笑しさ

 吉本はもちろん、他事務所でも芸人のオンラインカジノに関する内部調査は進んでいるらしい。

 こういう時に動きが早いのはやっぱりタイタンで、調査の結果複数人がオンラインカジノに関与していたことを発表。ただその程度から名前は公表せず、陳謝して捜査に協力させることを約束するなど、まさにパーフェクトな対応だった。吉本も見習った方がよい。

 その他の事務所も聞き取り調査などが入っているようで、今後はギャンブルについてのコンプライアンスも強く遵守されるようになるだろう。

 ダイタクのダイはギャンブル好きを売りにしていたので、似たようなクズ芸人が真っ先に狩られると思っていたが、今のところ何にもないのが面白かった。きっと問題が生じたときに、吉本のクズ売り芸人たちもきっとヒアリングなり聞き取り調査なりが行われただろう。

 それなのに現在に至るまで、名前が上がらないので、クズ芸人は疑われやすいからこそ、「法には触れない」というボーダーを意識していたのかもしれない。

不祥事を笑いに変える芸人の強み

 これからは「女や金にだらしないクズ」もブランディングとして管理しながら、ボーダーを守って行動していく必要がありそうだ。ギャンブルも女遊びも芸人の特権だったが、M-1を連覇した偉業を持ってさえしても謹慎を食らってしまう世の中になった。

 令和ロマンや他の謹慎している芸人たちのファンはきっと生きた心地がしないだろうが、部外者の僕から見ても解雇される可能性はほぼ0だと思う。どちらかと言えば、責任を感じた芸人から申し出てフリーになる可能性の方がまだありそうだ。

 この問題が起こってから、仲間の芸人たちが謹慎芸人たちを大いにイジっている姿をよく目にする。それは該当芸人たちに「悪人」イメージをつけないように、「復帰してもこうやっていじって面白くするから、彼らを排除しないでください」と奔走しているのだ。

 不祥事を起こした芸人がタブー視されることで復帰できなくなる選択肢を全力でかき消そうと連携プレーで動けるところは、芸人の強みだと思う。

芸人は他芸人の大失敗から学ぶ生き物

 とはいえ、吉本は闇営業事件から厳しくコンプライアンス研修をやっているが、全く効果がないのはちょっと皮肉に感じてしまう。

 しかし、芸人は他の芸人の失敗から学ぶので、今後は同じような問題は起こらないと思う。芸人という生き物は何百回のコンプラ研修より、1回の他芸人の大失敗から学ぶ生き物だからだ。

 芸人はこれからは汚いように見せながらも潔白にやっていく必要があるらしい。いま謹慎中の芸人たちも皆とてつもなく面白くて才能があり、これからのお笑い界を担う人材ばかりなので、反省したうえでまた劇場に戻ってきてほしい。

帽子田
記事一覧
芸人、ライター
別名義では芸人として活動。一時期は年100本以上のライブに出演、ライブ主催の経験もアリ。一応現役の芸人ではあるが、ただのお笑い、バラエティ番組ファンでもあります。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


いよいよ裁判官編。NHK制作陣の遊び心、8時14分過ぎに見たり
 昭和22年3月。新しい日本の憲法に希望を見出した寅子(伊藤沙莉)が向かったのは法曹会館。そこには空襲で被害を受けた司法...
桧山珠美 2024-06-03 16:05 エンタメ
「虎に翼」お宝物件!三山凌輝はピアスにアクセジャラジャラの“チャラ”男
 先週のNHK朝ドラ「虎に翼」第9週「男は度胸、女は愛嬌?」は、ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)にとって、悲しみの連続でした。...
刮目!伊藤沙莉“静”の演技、「佐田優三 仲野太賀」表示も期待は泡沫に…
 これまでの後悔と秘密をすべて打ち明けて、直言(岡部たかし)は安らかに亡くなった。  寅子(伊藤沙莉)は何事もなか...
桧山珠美 2024-05-30 19:10 エンタメ
古谷徹は“あの役”降板?声優不倫騒動の後始末、カギは「キャラの私物化」
 レジェンド声優・古谷徹(70)の不倫報道が世間を騒がせている。 『文春オンライン』よって報じられた37歳年下女性...
優三も草葉の陰で苦笑い? 前代未聞な別れの“懺悔”は直言らしい名場面に
 直言(岡部たかし)は栄養失調と肺炎でもう長くはないと診断される。直言が大事なことを隠していたと知った寅子(伊藤沙莉)の...
桧山珠美 2024-05-30 18:50 エンタメ
「見るんじゃない」と直言。ダチョウ倶楽部の“押すなよ、押すなよ”を彷彿
 直言(岡部たかし)の体調が優れない。寅子(伊藤沙莉)と直明(三山凌輝)はマッチ製造の仕事を紹介してもらい、はる(石田ゆ...
桧山珠美 2024-05-28 15:30 エンタメ
視聴率苦戦だから失敗に物申す!山下智久と錦戸亮、5年ぶり民放作の意義
 山下智久(39)が主演を務める「ブルーモーメント」(フジテレビ系)、錦戸亮(39)がキーマンとして出演する「Re:リベ...
こじらぶ 2024-05-25 06:00 エンタメ
「おいしいものは一緒に」出征前の河原デート。はて?初回を思い出すと…
 寅子(伊藤沙莉)は訪ねてきた後輩の小泉(福室莉音)から、女子部が閉鎖されることになったと知らされる。  今年は高...
桧山珠美 2024-05-24 15:30 エンタメ
優三の優しさシャワー全開!寅子のゴロゴロ床入り作戦も大成功だった神回
 昭和17年3月。直言(岡部たかし)の工場は軍からの注文が途切れず、順調に稼働を続けていた。戦時下で食べ物が貴重になる中...
桧山珠美 2024-05-21 15:30 エンタメ
朝ドラヒロインは「大日本国防婦人会」と揉めるのがお約束
 結婚した寅子(伊藤沙莉)は弁護の依頼も来るようになり順調な日々を送る。  ある日、手伝いとして働くよね(土居志央...
桧山珠美 2024-05-20 15:30 エンタメ
角界一の美容力士・翔猿らが明かした脱毛&モテ事情、全力で推したいのは
 圧倒的な強さと精神力、鍛え抜かれた筋肉美、昭和の名横綱“ウルフ”千代の富士、整った顔立ちと沸き立つ色気がたまらない“各...
「僕じゃ駄目かな」あすなろ白書のキムタクを想起、優三渾身のプロポーズ
 寅子(伊藤沙莉)は、弁護士として社会的な信用を得るためにお見合いをさせて欲しいと直言(岡部たかし)とはる(石田ゆり子)...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ
事件はいつも「あの階段」で起こる! 岩ちゃん演じる花岡もう婚約
 晴れて弁護士になったが、女性であることを理由になかなか依頼をしてもらえない寅子(伊藤沙莉)。「女の幸せより大事なものか...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ
炎上芸人・粗品は松本人志にビビってない!キンプリへの暴言も計算済み?
 2018年にコンビとして『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)のチャンピオンとなり、2019年にピン芸人として『R-1ぐ...
堺屋大地 2024-05-15 06:00 エンタメ
「握手」の演出に伏線?寅子と花岡は友情の証、優三のそれとは真逆だった
 寅子(伊藤沙莉)の1年先を行く花岡(岩田剛典)は司法修習後の試験に合格。どうしても早く伝えたいと寅子に電話をしてきたの...
桧山珠美 2024-05-14 16:00 エンタメ
あぶ刑事ヒットならドラマ化も?柴田恭兵の“枯れた老人”は世を忍ぶ仮の姿
 先月までNHK-BSで放送していた「舟を編む~私、辞書つくります~」はなかなか素敵なドラマでした。  三浦しをん...