【おむすびにモヤっと】コロナ禍を描いた1週間。結の不可解な言動が目につく中、ピークだったシーンは?

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-03-15 06:00
投稿日:2025-03-15 06:00

第23週「離れとってもつながっとうけん」#115

 結(橋本環奈)は職場で、医療従事者の子どもたちが学校で除者(のけもの)扱いされる現状を同僚たちと嘆く。

 それを聞いていた科長の塚本(濱田マリ)は、結にコンビニ会社からの転職の誘いに応じるのがいいとアドバイスする。

 帰宅後、歩(仲里依紗)からテレビ電話がかかってきて、結のすっぴんで髪がボサボサなのを見た歩は、おしゃれして元気を出せと言う。

【こちらもどうぞ】弁当開発に「病院の管理栄養士」の売りはもう不要? “新型コロナ編”にも懸念が…

【最新回のモヤっと】

結の転職話を漏らす“おしゃべり科長”塚本

 ※※以下、ネタバレあります※※

「それはひどい。医療従事者は頑張ってるのに」。娘の花(宮崎莉里沙)が学校で「お前の母さん、コロナまみれ」といじめられているという結の話に憤る後輩のイシダッチ(吉田剛明)。“医療従事者”という単語に違和感を覚えました。「僕達がこんなに頑張ってるのに」ならわかるのですが、当事者が自分たちのことを“医療従事者”って言いますかねえ。

 結の話を聞いて、塚本科長は「米田さん、例のフォーチュンストアの件、まだ返事してない? ほらコンビニの商品開発にスカウトされた…」と話しかけます。

「コロナのことですっかり忘れてました」と結が答えていましたが、あれからどのくらい時が経ったのか知りませんが、返事もせずに保留だったとは驚きです。紹介したなっちゃん(田畑志真)の立場が悪くなったらどう責任をとるつもりなのでしょう。

「改めて連絡してみなさい。働きたいって」と塚本科長。「娘さんやお父さんのこと考えたらそれが一番いい」と。「考えてみます」と答える結。

 驚いたのはここからです。感染エリアを担当する看護師たちの休憩室でのこと。「塚本科長から聞いた。米ちゃん、転職するかもしれへねんて」と看護師の桑原(妃海風)が結に話しかけます。「いや、まだどうするかは…」と言う結に、「私はええと思う。まずは家族大切にせんと」と。

 さすが桑原。無類のウワサ好きで病院内のあらゆる情報をつかむ「病院の生き字引き」と呼ばれているだけのことはありますね、と言いたいところですが、それよりも、人の転職話を簡単に漏らしてしまう塚本科長がどうなのか、と思いました。

 部下思いで優しくて度量が深いと思っていたら、とんでもないおしゃべり科長だったとわかり、がっかり。「おむすび」の数少ないまともな人物かと思っていただけに裏切られた感も大です。

 というか、結はどういう理由で、感染エリアの休憩室にいたのか謎です。おそらく、蒲田医師(中村アン)からと思われる差し入れの栄養ドリンクをちゃっかり飲んでいたようですが、結がレッドゾーンに行くことはなかったはず!?

 あの休憩室は感染エリア担当者専用ではないのでしょうか。ほかの人たちはわざとらしいくらいにグッタリしている様子を醸し出していましたが…。

 そのあとのシーンでは、管理栄養科の部屋でお弁当を食べていましたので、結がなぜあそこに行ったのか、余計にわかりません。

「医療従事者たちが力を合わせて危機を乗り切り、令和2年5月21日、ついに大阪、兵庫、京都の緊急事態宣言が解除」、今週はナレーションが大忙しでした。リリー・フランキーもいい仕事をしたと思っていることでしょう。

 結局、この1週間で描かれたコロナ禍は、糸島に行った愛子(麻生久美子)と佳代(宮崎美子)が神戸の米田家とリモートで繋がって、途中、何度かフリーズするのがピークでした。歩の「キングオブギャル」の洋服もステイホームでバカ売れ、よかったですね。

来週は、新津ちせが花役に


 最後に、久しぶりに花(宮崎莉里沙)との再会シーン。いったん待たせて風呂に入るのかと思いきや、洋服はそのまま。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、医療従事者たるもの、手洗いとうがいでチャッチャと済ませて終わりって、あまりにも切り替えが早過ぎです。

 それとも結、風呂キャンセル界隈なのでしょうか。もしかして汚ギャル? 大事な娘のためにも、外から帰ったら、お風呂に入って、それからハグしてあげて、と思いました。

 予告編で花が大きくなって新津ちせになっていました。あのボーイッシュだった花はどこへ…。結が娘の成長に見合うだけの成長をしてくれるのか、見守りましょう。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


梅丸少女歌劇団による山寺でのダンスシーンはニュースになった“アレ”
 山寺でのストライキが続く中で、大和礼子(蒼井優)はスズ子(趣里)に自分の過去の話をする。両親に反対されて、縁を切ってま...
桧山珠美 2023-10-24 17:03 エンタメ
道枝駿佑“マイハル”の無表情は拙い?いいえ、ラストの笑顔のためだった!
 秋の新ドラマがスタートしています。いくつかチェックしましたが、ミステリーや考察ドラマって疲れて帰ってきた頭と体にはなん...
色恋に敏感なリリー、昭和8年が舞台の朝ドラに「百合」の描写は必要?
 大和礼子(蒼井優)はストライキをするしかないと言い出す。一方、橘アオイ(翼和希)は、お客様が大切だと言い、また、礼子が...
桧山珠美 2023-10-20 16:20 エンタメ
直撃!俳優・藤原大祐の恋愛観「告白するなら年上、1回目のデートで」
 10月20日から全国公開となる新感覚ホラー映画「リゾートバイト」。小さな島の民宿でアルバイトする大学生たちに様々な怪奇...
2023-10-20 06:00 エンタメ
【写真特集】藤原大祐を直撃! ここでしか見られない本編&未公開カット含む全29枚!!
                                        ...
2023-10-20 06:00 エンタメ
労働争議で板挟み…“スズ子の恩人”林部長役・橋本じゅんの意外な一面
 世界恐慌の波が押し寄せ、USKの賃金削減と人員削減が告げられる。一部の楽団員と新人の劇団員は解雇されてしまった。 ...
桧山珠美 2023-10-19 15:40 エンタメ
大和礼子(蒼井優)さまの箴言…誰にも負けないスズ子の個性とは?
 昭和8年。デビューから6年が経ち、スズ子(趣里)は脇役ながら劇団の中心メンバーとして活躍し、新人の教育係にもなっていた...
桧山珠美 2023-10-16 14:30 エンタメ
タバコの逢引き場面にズキュン!“喫煙イケメン”柳俊太郎にやられます
 コンプライアンスなるもののせいで、昨今のドラマはなにかと不自然なことが多いようで。  犯人が車で逃げるシーンで「...
朝ドラ本編とは別にオリジナルの舞台演目フルver.も制作、手が込んでいる
 鈴子(澤井梨丘)は1週間で稽古に復帰し、同期3人で切磋琢磨して稽古を続けた。  単独公演まで1カ月となり、鈴子た...
桧山珠美 2023-10-14 13:30 エンタメ
宝塚からセクシー女優に転身、“芸能人の有名税”となぶっていいのか
 セクシー女優という職業は、昔と比べると女性にとっても身近に感じる職業となってきました。モデルやグラビア、アイドルなど、...
大和礼子(蒼井優)が手渡したトンボ柄の布は…主人公・鈴子そのもの
 公演で橘アオイ(翼和希)の衣装の羽を忘れたことをきっかけに鈴子(澤井梨丘)たち3人は仲違いをしてしまう。  そん...
桧山珠美 2023-10-11 16:15 エンタメ
物語が動き出した2週目、鈴子指導役は宝塚不合格の現役OSK男役スター
 鈴子(澤井梨丘)は梅丸少女歌劇団(USK)に研究生として入団する。鈴子たち新入生は、まず先輩の稽古を朝から見て覚えてい...
桧山珠美 2023-10-09 15:20 エンタメ
ご意見番GACKTがバカなフリしてジャニーズ問題連投の訳、「貝」も得意
GACKT様(歌手、実業家・50歳)  GACKT様はセルフブランディングに余念がなく、常に自身の好感度アップのた...
堺屋大地 2023-11-14 16:25 エンタメ
ジャニーズの看板消滅…北公次のバク転から始まったイケメンアイドルたち
 ジャニーズ事務所の名称が10月17日からSMILE-UP.(スマイルアップ)に変更されるそうですね。頭では理解している...
近藤真彦がジャニーズの長男坊と呼ばれた必然、逃げ上手と無責任のプロ
近藤真彦様(歌手・59歳)  近藤真彦さんことマッチ様と言えば、40年以上にわたりジャニーズ事務所のタレントとして...
堺屋大地 2023-11-14 16:26 エンタメ
「清く 正しく 美しく」改め「清く 素直に 華やかに」におこだわり?
 自分の将来について悩んでいた鈴子(澤井梨丘)は、ツヤ(水川あさみ)から言われた「自分がこれやと思うことで生きていくんや...
桧山珠美 2023-10-05 16:35 エンタメ