【おむすびにモヤっと】「米田家の家訓」のほうが良かった? 悔やまれる「米田家の呪い」のネガティブ要素

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-03-24 14:02
投稿日:2025-03-19 17:45

第24週「家族って何なん?」#118

 結(橋本環奈)の娘・花(新津ちせ)は、病院で未成年の田原詩(大島美優)が人目を盗み隠れる手助けをしようとする。しかし詩は体調が悪く、とても遂行できそうにない。

 その後、結は詩が持っている手鏡のブランドが、歩(仲里依紗)の立ち上げたものだと気づき、手鏡の修理を任せてくれと詩に言う。

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【本日のモヤっと】

「米田家の呪い」のネガティブ要素

 ※※以下、ネタバレあります※※

 病室を抜け出した詩が倒れているのを見つけ、備品庫にかくまう花。病院の備品庫なのに鍵はかかっていなかったのか、誰でも入れたことにも驚きましたが、「ありがとう、助けてくれて」と詩に言われ、「ううん。困ってる人がおったら助けなさいっていっつも言われてるから」と花。これは「米田家の呪い」がまだまだ続いていますよ、というアピールなのでしょうか。

 そして、今さらながらこれ、「米田家の呪い」ではなく「米田家の家訓」などならポジティブな感じがしますが、「呪い」ではネガティブ要素がぐんと強くなり、いやいや人助けをしてしまうイメージにとられかねません。「おむすび」が底抜けに明るいドラマだったら「呪い」という言葉も生きるのでしょうが、半年前に始まって以降、ヒロイン結はお天気でいえば、ずっと曇り空か雨で、スカーッと晴れたことがなく、その陰キャと“呪い”が妙に一致して、見ているこちらもいや~な気分になります。

「私にはなんにもない…住む場所も家族もお金も、なんにも」「なんなら生きてる意味もない」と詩。今まで家族の愛情に包まれて育ってきた花にしてみれば、まるで異星人。かける言葉も見つからない様子でした。

 結局詩は再び倒れてしまい、病室に逆戻り。花は父・翔也(佐野勇斗)に叱られるも、愛子(麻生久美子)は「花、偉かったよ、よく助けてあげたね」と頭をポンポン。聖人(北村有起哉)にも「それでこそ米田家の人間や」と褒められます。孫には激甘のジジババ、こんなふうに花を甘やかすことで、制作陣は詩の不幸を際立たせようという魂胆かもしれません。

「KING OF GAL」のミラー、ハウマッチ?

 結は食欲のない患者にゼリーを持ってきて「私のオススメはいちご味」とやっていますが、いっこうに食事に手をつけない詩。そんな時、結は詩の持ち物のなかに、歩のブランド「KING OF GAL」のミラーを見つけます。そこで、アユが自分の姉だと明かし、まわりのパーツがとれたミラーを修理してあげると話します。

 少しだけ2人の距離が縮まった瞬間でしたが、そのミラーは100均で売っているラメピンクの手鏡を加工したもののようで、修理は歩が手作業で行っていました。いくらで販売しているのか、気になるところです。

 米田家では愛子が「一人で糸島に行きます。」と書き置きを残して家出。愛子の家出グセは名古屋を出た時から始まり何回目なのでしょう。いままでも<一人>で糸島に行っていたような気もするのですが…。

 放送も残り2週間だというのに、さほど興味の持てないエピソードを見せられて、ちゃんと収集できるのか、と心配でになります。

 詩は“真紀ちゃんそっくり”ということですが、東京でギャルに囲まれご機嫌なナベベ(緒方直人)を巻き込むのだけは止めて欲しいものです。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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