「子どもがいない人生」は不幸なのか? SNSの“子持ちvs子なし”論争にアラフィフ独女の心がザワつく理由

mirae.(みれ) ライター
更新日:2025-05-13 06:00
投稿日:2025-05-13 06:00

私が“子どもが欲しいと思わなかった”理由

 以前のコラムにも書きましたが、私が子どもを持たなかったのは、ただ「欲しい」と思ったことがなかったから。決して反出生主義を唱えたいわけではないし、子育てを選んだ人を否定するつもりもありません。ただ単に、「母になる自分」をリアルに想像できなかったのです。

 キャリアや自由な時間、精神的な余裕、金銭的な不安……どれをとっても、自分に子育てができるイメージが湧かなかった。そして、そこまで強い欲望も持てなかった。

 そうして気づけば30代後半、そして40代。「子どもがいない人生」が、ごく自然に私の現実となっていました。

 番組を見ていて特に印象に残ったのは、「子どもを持たない」という選択そのものが、どこか語りにくい雰囲気に包まれている、という空気感でした。実際、こうした生き方について話すことすら“わがまま”や“特殊”と受け取られてしまう場面は少なくありません。

 子どもを産む人生は祝福され、語られ、応援される。けれど“産まない人生”はどこか伏せられ、静かにしていなければいけないような扱いを受けてしまう——その理不尽さに、私は長年違和感を抱いてきました。

 この番組は、そんな私たちの「痛み」や「孤独」に初めて光を当ててくれた気がします。

「持たない人生」もまた、自分の選択

 私は今、自分の人生を「間違っていた」とは思っていません。もちろん、周囲と比べて寂しさを感じることがゼロだとは言いません。でも、自分で選び取ってきたこの道には、はっきりと誇りを持っています。

 人生は多様であっていい。「結婚して、子どもを産んで、家を建てて」が幸せのテンプレートだった時代は、もう終わりつつあります。DINKS(子どもを持たない共働き夫婦)や、選択的非婚など、多様な“生き方の地図”がもっと広がっていくべきだと感じます。

 “産まない人生”を選んだからこそ得られたものも、たくさんあります。自由、集中できる仕事時間、趣味への没頭、そして自分自身とじっくり向き合う時間——これは「子どもがいないから仕方なく」得たものではなく、「自分で選んだから得られた」ものなのです。

「子どもを持たない人生」を語ろう

 子どもを持つ人生も、持たない人生も、どちらが正しい・間違っているという話ではありません。大切なのは、「自分の人生をどう生きたいか」という視点です。

 子どもを持つ人生には、確かに尊い喜びや経験があるでしょう。同時に、子どもを持たない人生にも、自由や深い自己理解、そして独自の充実があります。どちらも“正解”です。どちらも祝福されるべき道です。

「子どもを持たないと生きていけないのか?」という問いに、私は胸を張って「そんなことはない」と答えたい。

 そして、同じような立場にいる誰かが、少しでも心軽くなれるように——私はこれからも“語ること”をやめずにいたいと思います。

mirae.(みれ)
記事一覧
ライター
アラフィフのフリーライター。ライター歴は15年以上。いろいろこじれて48歳で処女卒業。現在は性に奔放で貪欲に、独身生活を謳歌中。
X

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


ほっこり癒し漫画/第71回「はふはふぴたっ」
【連載第71回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
美人局の語源に「筒」と「陰茎」
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
結婚式前夜、娘の門出を祝う「親として最後の教え」の内容に涙腺崩壊!
 入学や卒業、就職による1人暮らしなど、門出は1つの節目。嬉しい反面、どこか寂しさや不安を感じる瞬間でもありますよね。 ...
占い好きな成功者と占い好きな非成功者の違い…占いライターで一攫千金も
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
豊洲の人生勝ち組妻でも幸せじゃない?彼女が裕福と引き換えに諦めた事
 独身時代は都心に暮らしていたが、結婚を機に武蔵境に暮らし始めた千佳。しかし、郊外のこの地を愛せない。そんな時、中学の同...
「夫の駐在時にね…」なぜあのコが?田舎の同級生“玉の輿婚”に心ざわつく
 独身時代は都心に暮らし、華やかな生活をしていた千佳。しかし、結婚を機に都内から離れ、武蔵境に住み始めた。しかし、妥協し...
メガバン妻が悟ったリーマンの限界値 吉祥寺より2駅下った中古マンション
 武蔵野の自然を携えそびえる瀟洒な白亜の建物は、まるでこの場所がヨーロッパの一都市であるかのような錯覚を与えてくれる。 ...
帰ったらお風呂に…夫「沸いてるよ!子供が入ってる」危機管理能力ゼロや
 子育て中のママにとって、子供の命と健康を守るのは一番大切な使命。だからこそ、危機管理能力は嫌でも高くなります。 ...
号泣しながら「愛の讃歌」を熱唱 なぜ人はスナックでダサい姿を晒すのか
 私はこれまで多くの夜の世界を見てきましたが、スナックは本当に不思議な場所です。  完全無欠のモテ人間ほど、なぜか...
大人は「さようなら」とハッキリ言わないけど…
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
春の行楽、御朱印集めはスタンプラリーと何が違う? 作法やタブーとは
 山形県東部にある山寺(山形市)で自らの行いについて考える出来事がありました。我よ、御朱印集めがスタンプラリーと化してい...
この勇姿もあとわずか…去勢手術予定“たまたま”を記念撮影!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「クリスマスローズ」で究極のほっぽらかし園芸!怠け者でも花いっぱい♡
 猫店長「さぶ」率いる我が花屋のある神奈川は地球温暖化の影響もあり、ここ近年の特徴は卒業式に桜咲くでしたが、今年は入学式...
人は「趣味が合わない相手」と恋に落ちることがある
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
結婚、出産、身分の違い…仲良かった友達に会いたくないのはダメな感情?
 学生時代を毎日一緒に過ごした親友。でも、年齢を重ねるに連れて「あんなに仲が良かった友達なのに、今ではもう会いたくない」...
かわいい“たまたま”が大集合!夕暮れの集会の議題はなあに?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...