内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ

更新日:2025-05-22 16:08
投稿日:2025-05-22 16:05

 春ドラマの中では4月24日という遅めのスタートとなった、テレビ朝日木曜劇場「PJ~航空救難団~」(木曜夜9時)。内野聖陽(56=写真)が15年ぶりのテレ朝連ドラ主演、航空自衛隊の救難員を目指す訓練生を指導する主任教官・宇佐美を演じている。

 世帯視聴率8.8%(関東地区=ビデオリサーチ調べ)の好発進となった初回放送後から、《あの熱血というか暴力的な指導は時代錯誤》《完全にパワハラ肯定ですね》など辛口の意見が目立ったが、その一方で《厳しさの中にも愛情があるし、時折見せる優しさがいい》《内野さんが「きのう、何食べた?」で演じたケンジとのギャップに萌える》など好意的な声もあり、賛否両論といったところ。映画やドラマレビューサイトFilmarksでは5点満点で3.4(5月21日現在)と、可もなく不可もなくのようだが……。

「パワハラと指摘されるのはある程度、織り込み済みだったと思います。ただ、劇中で宇佐美が言っていたように、救難の最後の砦となるPJは理不尽な自然に立ち向かうのだから、厳しさは当然。パワハラに見えるような指導も、きちんとした根拠が描かれていくと思います」と語るのはテレビコラムニストの亀井徳明氏。さらに亀井氏は「それよりも内野さんの役作りの凄さに注目したいですね」と、こう続ける。

「内野さんがケンジ役でインパクトを残した後、他のドラマの現場で西島秀俊さんと共演した時に『ケンジなんだろ?』って耳元でささやかれたそうです。その時の内野さんの返しが『俺はもう細胞から変わってるから、やめてくれ』と。カメレオン俳優と呼ばれる人は何人かいますが、細胞から変わると自覚するほどの役作りは並大抵ではありません。今回の宇佐美教官も、過酷な現場で命を守ることになる訓練生に厳しく接する一方で、父親としての表情もたくさん見せてくれます」

世のお父さんたちがグッと来るエピソード

 さらに亀井氏は、15日放送の第4話の展開を「GP帯のドラマとしては珍しい構成だった」と話す。

「全編ほぼ山岳訓練の描写だったんですが、足をくじいたり倒れたりする訓練生が出たりしたものの、ハラハラドキドキの展開もなく、無事ミッション終了。“八甲田山”までは無理でも、これまでの連ドラなら、手に汗握るような緊迫の場面があってもおかしくないのに、あえてそうしなかったのは新鮮でもありました。訓練生の過酷さをデフォルメするような派手が演出もなかったのは、何か意図があったかもしれませんね」

 その第4話では、吉川愛(25)演じる宇佐美の娘・勇菜が父親を認めるシーンもあった。この“娘の成長”は、同じ週の「続・続・最後から二番目の恋」(フジテレビ=月曜夜9時)でも描かれた、世のお父さんたちがグッと来るエピソードだ。

「そうなんですよ。ほぼ鬼教官と訓練生の話なんですが、変に恋愛要素がないぶん、父と娘の関係性がスパイスになっていて、ホームドラマ的な側面もあるんですよね」と亀井氏。

 開始当初は《海猿の焼き直し?》なんて声も一部にあった「PJ」だが、見るべきツボはいくつもありそうだ。このところオジサン俳優の活躍が目立つが、やはりドラマにも説得力が出る。《パワハラだ》なんて言ってリタイアするよりも、“リアタイ”してみるのもいいかも?

  ◇  ◇  ◇

 西島秀俊(54)と内野聖陽が演じたゲイカップルには視聴者からの絶賛が集まった。【もっと読む】テレ東「きのう何食べた? season2」西島秀俊と内野聖陽の“距離感”に注目…では、当時の絶賛ぶりを伝えている。

エンタメ 新着一覧


平野らTOBEがドーム公演大成功の一方、暗雲立ち込める旧ジャニの逆転は
 3月14日から17日にかけて、滝沢秀明氏創設のTOBE所属アーティストによる東京ドーム公演「to HEROes ~TO...
こじらぶ 2024-03-30 06:00 エンタメ
ブギウギ最終回、水を差すようでスンマセン! 残念すぎる4つの演出と描写
 スズ子(趣里)のさよならコンサートが始まる。客席には懐かしい多くの面々がかけつけている。茨田りつ子(菊地凛子)、愛子(...
桧山珠美 2024-03-30 11:41 エンタメ
スズ子引退会見、“天敵の文屋”鮫島の「シャッポを脱ぐ」演出を読む
 歌手・福来スズ子(趣里)の引退会見の当日。スズ子は結局、羽鳥善一(草彅剛)とは話ができないまま会見に臨むことになってし...
桧山珠美 2024-03-27 14:30 エンタメ
超鈍感力! 羽鳥の絶縁宣言を屁とも思わないスズ子とタケシは似た者同士
 歌手引退――。スズ子(趣里)はその決断を、愛子(このか)や大野(木野花)に伝えた。  羽鳥善一(草彅剛)に絶縁す...
桧山珠美 2024-03-26 15:40 エンタメ
「GTOリバイバル」注目の新人イケメンは?松嶋菜々子は本当に出るのか
 反町隆史主演「GTO」が26年ぶりに帰ってきます。反町演じる元ヤン教師・鬼塚英吉がさまざまな問題を解決する学園モノで、...
ドヤ顔のアユミとヘイヘイブギー歌唱シーン温存の理由がわかる回だった
 昭和31年、大みそか。第7回オールスター男女歌合戦当日。スズ子(趣里)は、楽しみに会場へと向かう。スズ子が楽屋で支度を...
桧山珠美 2024-03-22 14:30 エンタメ
最終回秒読み…スズ子はブレずにお人よし、NHKと沼袋勉の手腕いかに!?
 愛子(このか)は、翌日の体育の時間に足の早い転校生と競争することになっていた。しかし、勝てる見込みがなく、愛子は学校を...
桧山珠美 2024-03-21 16:07 エンタメ
和田勉が転生したら中村倫也に!? 強烈インパクトで霞んだ礼子娘の初登場
 東京ブギウギのヒットから9年、ブギブームも下火になってきつつある中、スズ子(趣里)や羽鳥善一(草彅剛)のブギは古いとい...
桧山珠美 2024-03-18 14:30 エンタメ
「光る君へ」主人公バージン喪失!大石静氏が描く平安エロ&バイオレンス
 NHK大河ドラマ「光る君へ」は、平安中期の貴族社会を舞台に、吉高由里子演じる主人公のまひろ(紫式部)の生涯を描くもので...
沢尻エリカ不死鳥の如く女優復帰!大衆は真似できぬ人生転落リアルショー
 2月25日、沢尻エリカの女優復帰作となった主演舞台『欲望という名の電車』が千秋楽を迎えました。  「『残念プロフ...
堺屋大地 2024-03-16 06:00 エンタメ
NHK大阪が誘拐未遂事件をぶち込んだのなぁぜなぁぜ? かつ丼コント?
 誘拐犯が捕まってから、愛子(このか)は3日間も学校を休んでいた。スズ子(趣里)は、学校に行くようにと言うが、愛子は友達...
桧山珠美 2024-03-15 14:30 エンタメ
“テレ朝ドラマ”常連・ホンモノの刑事よりも刑事な内藤剛志、降臨!
 大野(木野花)が受けた電話は、3万円払わなければ、愛子(このか)を誘拐するという脅しの電話だった。そして、警察には伝え...
桧山珠美 2024-03-13 14:30 エンタメ
りつ子スパークのラインダンス必見!ワクワクズキズキと笑顔が溢れる回
 羽鳥善一(草彅剛)作曲二千曲記念ビッグパーティーの日が近づいてくる。羽鳥はスズ子(趣里)たちに、パーティーで余興をして...
桧山珠美 2024-03-11 15:30 エンタメ
“ユーミンドラマ”で見せたクソ女の夏帆、そして金子大地と中島歩に注目!
この投稿をInstagramで見る 【公式】「ユーミンストーリーズ」オムニバス夜ド...
真木よう子“まっけんセクハラ発言”はわざと?昭和の価値観をエンタメ化説
 ドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(2007年/フジテレビ系)や『最高の離婚』(2013年/同)などでの演技が好...
堺屋大地 2024-03-09 06:00 エンタメ
第111回ブギウギの“三大なぁぜなぁぜ”…畑仕事する農家の手じゃない!
 梅吉(柳葉敏郎)が亡くなった。葬儀では松吉(木内義一)が号泣しながら、遺影の自慢をする。  そんな中、スズ子(趣...
桧山珠美 2024-03-08 15:50 エンタメ