更新日:2025-06-15 10:27
投稿日:2025-06-14 06:00
なんだか、あの頃に戻ったみたいだ
「本当にいい先生なの。イケメンだし」
「イケメンだからでしょ」
「いやいや。生理あがっちゃってるし、今さらそんな」
「もうあがったんだ。いつ? どんな感じ?」
絶賛更年期中の百恵は食い入るように美鈴の話を聞きだそうとする。いま、癌の話題と同じく、リアルタイムで知りたいトピックだった。
あたりは暗くなってもおしゃべりは止まらず、気がつけば、百恵は『毎々』に詩織と美鈴を連れて行っていた。
ママさんも笑顔で受け入れてくれて、明るい彼女たちはヤスさんの死で沈んでいたお店の雰囲気に新しい風を吹き込んでくれていた。
「じゃあ、詩織の言っていた病院予約してみるね」
「また会おう、じゃあね」
終電で帰っていった詩織。眠くなったと美鈴は百恵の家に泊ることになった。
――なんだか、あの頃に戻ったみたい。
結局、いろいろあっても行きつく先は同じだ
6畳のフローリングの上にそのまま眠る美鈴の寝顔を眺めながら、百恵はしみじみと思い知る。
結局、いろいろあっても行きつく先は同じだということを。
人生のライフステージでマウントをとっていた、とられて苛立っていた、あの頃が懐かしい。
結局、みんな、老いて、死ぬのだ。どんな人生であっても老いや死は誰にでも訪れる。恐れていたって、恐れていなくたって、結局同じ。
美鈴のいびきを聞きながら、百恵は詩織に紹介された病院の予約をネットで済ませた。赤羽に戻ってきた彼女たちと、もう一度あの頃のような時間をともに過ごしたいと思ったから。
――年を取るのも案外、楽しいかな。
百恵はとりあえず化粧だけでも落として寝ようと洗面台の前に立つ。ずっと嫌だったタルミと皺が、なんだかどうでもよく思えてきたのだった。
Fin
ライフスタイル 新着一覧
コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(65)。多忙な現役時代を経て、56歳...
芸能界ではシニアの恋愛・結婚が話題になっている。8月27日配信の文春オンラインはシンガーソングライターの長渕剛(68)...
夏は“大掃除向き”の季節だと思っています。冬のように水が冷たすぎないので、特に水回りの掃除は今がチャンス。
気...
2025年4月にスタートした大阪万博も、残すところあと僅か。今回の万博は、何かと大行列ができることで話題になっていまし...
結婚式や祝賀会などの引き出物で、「正直いらない」と思ってしまったものはありますか? 折角の品物だと分かっていても、いら...
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
今年もシビれるくらい暑い夏でございました。
最高温度は毎日のように体温超え。心配していたのは作物の生育。備蓄米...
あなたの職場に、親が会社の中心人物である「2世社員」はいますか? コネ入社ゆえに対応が厄介だったり、逆に出先では信頼さ...
息子が結婚をすれば、息子の妻(いわゆる「お嫁さん」)も家族の一員。だけど、“家族”だからこそ生まれる“摩擦”や“モヤモ...
「この子、社長のお気に入りだから」
そういう一言を、私は何度となく耳にしてきた。現場に漂う空気は一瞬で変わる。誰...
2012年に59歳で亡くなったロック歌手・桑名正博さんとアン・ルイス(68)の長男でミュージシャンの美勇士さんや、タレ...
学校などに対し、自己中心的な要求をしたり理不尽に怒鳴り込みに行ったりするモンスターペアレント。そんな保護者に悩み、現場...
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
職場や近所、SNS界隈に現れる「残念な人」、いますよね。実は今から約2000年前から現在に伝わる「聖書」にも「残念な人...
今回は、育児の恐怖体験エピソードを集めてみました。これらは誰にでも起こり得る出来事。育児真っ最中の方はぜひ参考にしてく...
















